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台風被害から半月、被災地宮崎は今(13)

2005年09月22日14時52分 / 提供:PJ

pj
台風被害から半月、被災地宮崎は今(13)
宮崎県高岡町消防団に中村副団長の救命活動などを語る妻の浩子さんと長女の和美さん。(撮影:小田光康)
台風14号の中、他の家族を命がけで守った男たち(2)

 浸水している住宅に近づくたびに、ペンライトで必死に生存者を確認した。声は暴風にかき消されて用をなさない。中村副団長は「ボートで近づくと、窓の向こうに首下まで水が浸かってかろうじて息を吸っている高齢の女性を発見しました。間一髪でした」と救助のひとつを振り返る。それぞれのボートが2日間で約60人の住民を救助した。中村副団長が5日午前6時に出動して、最初に胃袋に入ったのが同日午後6時のおにぎりだった。その晩一睡もせず救助を続けた。救助の合間に数回家族と連絡を取った。6日午前3時、浸水する自宅から別の消防団員のボートに頼んで家族は救助された。その間、家族の無事を自分の目で確認する間もなく、救助と取り残された住民の確認で中村副団長は水の上を走り回り、やっと仮眠がとれたのは同日午後3時だった。

 高岡町町場の職員らは声をそろえて「消防団員の働きには頭が下がります。どれほど感謝しても足りません」と話す。我が家が浸水し、家族に身の危険が迫っても、住民のために身体を張り、命を投げ出す男たち。それが消防団員だ。長女の中村和美(21)さんは「不安でこれまでに一緒にいてほしいと思ったことも。でも、救助された方から『あなたのお父さんに助けてもらいました。本当にありがとうございます』と深々と頭をさげられますと、『おとうさんって、本当にかっこいい』と思います」と隣にいる中村副団長に目で合図する。

 中村副団長は今回の浸水で自宅に被害を受けたほかに、収穫予定だった畑の作物の約半分をダメにしたという。「落ち込んでいても仕様がない。笑ってでもいないと沈んでしまいますからね」と中村副団長。住民のそれぞれの顔を知っている以上、心配で自分の家族といっしょに座っているわけにはいかないらしい。こうして中村副団長が飛び回る影には、家族の理解と支えが欠かせない。娘の和美さんは「お母さんがいつも笑顔だから」と言う。妻の浩子さんは「家族ですから」とその笑顔でそのわけについては多くを語らない。

 家族を二の次にしても他の住民のために命がけで飛び回る消防団員。報酬や勲章などほとんどない。「到着が遅い」と住民に苦情さえいわれるときもあるという。それでも、火災や災害のときは誰よりも先に立ち上がる。人のために身を粉にして働く。消防団員らとそれぞれの家族は強い信頼でつながっているのだ。かれらの「勇気」と「使命感」は家族の愛と絆から泉のように湧き上がってくる。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 佐藤 学

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