伝説のロックバンド・BOOWYが、1987年12月24日に東京・渋谷公会堂でおこなった解散コンサートを再編集した映像作品『BOOWY 1224-THE ORIGINAL』が12月24日に発売されることを受けて、今月12日、その上映イベント『BOOWY 1212-THE ORIGINAL-ONE NIGHT PREVIEW 1212』が東京と大阪のZeppでおこなわれた。東京会場では、BOOWYのドラマー高橋まこととダイノジが登場。このなかで高橋は1985年の時点で「頂点に立ったら解散する」ことを4人で決めていたことを明かした。

 『BOOWY 1224-THE ORIGINAL』は、BOOWYの35周年プロジェクトの集大成として再編集し、発売されるもの。今年、事務所の倉庫で見つかったオリジナルフィルムを、米ロサンゼルスのスタジオで4Kスキャニングし、デジタル映像データ化した。それを、BOOWY作品を数多く手掛けてきた映像ディレクターの前嶋輝氏が新たに編集し、初めてHD・HDR化、16:9画角で映像作品化した。音源は新たにリマスターされたものを使用。この映像には幻の「ONLY YOU」の空白の数十秒が初めて復元されている。

 この日、1000人の観客を出迎えたのは、BOOWYのドラマー・高橋まこととBOOWYの大ファンとして有名なお笑いユニットのダイノジ。映像をいち早く見たというダイノジは「30年前に戻った」と感慨深く語った。高校時代はBOOWYのコピーバンドをやっていたダイノジ・大地洋輔。世界エアギター大会で二度優勝しているが、その時に真似をしたのは布袋寅泰の演奏スタイルだったとして「現地でもお前の好きなギタリストは誰だ? と言われて布袋さんと答えた」と回顧。さらに、布袋ファンを証明するべく、布袋の愛用ギター「HOTEI」モデル「G柄」の幾何学模様が入ったノートを披露して「高橋さんにサインしてもらおうと思った」と語った。

BOOWY

 この日、会場を喜ばせたのは高橋の登場。高橋といえば、大声を張り上げてドラムを叩く光景が印象的だが、当時のエンジニアから、高橋と松井常松のヴォーカルマイクのフェーダーを下げられたとのエピソードを明かした。また、ダイノジから「ドラムの位置から見た氷室京介、松井、布袋寅泰の姿はどう映ったか」という問いには「かっこよかったよ。バランスが取れていたバンドだと思う」とし、メンバーそれぞれの象徴的なポージングを真似、特に氷室の時は「ヒムロックの体勢はキツイんだよな」と笑顔をみせ、会場を喜ばせた。

 今回の映像作品については「前回の編集よりも格段に良いです」と太鼓判。この時の解散コンサートはもともとライヴ用として撮る目的ではなかったようで「16ミリフィルムという映画用で撮った」と解説。ダイノジ・大谷ノブ彦も「大スクリーンで本当に映える映像。奇跡的にメンバーそれぞれを撮っていた」と偶然が重なった貴重映像であると補足した。また、前回映像には欠損していた「ONLY YOU」の幻の数十秒間のコマが復元されている。大谷は「布袋さんが泣いていたことがうかがえる」と語るも、高橋は当時それには気づかなかったとして「渋谷公会堂は広いステージじゃないんだけど、そこまではわからなかった」と振り返った。

 話題はBOOWYのテンポにも及んだ。ダイノジのお気に入りは、自身のコントにも取り入れているという「PLASTIC BOMB」であるとし、大谷は改めて同映像に収録されている同曲を聴いて「信じられないぐらいかっこいい。そしてめっちゃ早い」とし、BOOWYの曲はライヴではテンポが速くなることを指摘。これに対し、高橋は「いいんだって早くて。今のようにイヤモニをしてクリックを聴いてやらなくて良いんだから。その時の感情なのよ。大概早いよね、ライヴになると」とあらかじめ決められたテンポに左右されることなく、その時の空気感でテンポが変わるBOOWYの特徴を明かした。

解散を意識した時期

 また、BOOWYの解散時期について言及する場面もあった。映像作品には1回目のアンコールを終えて楽屋に戻る4人の姿も記録されているが、当時の心境を高橋は「まだヒムロック、解散のことを言ってねえと当時は思っていた。基本的にはあの日で終わるということは俺たち決めていたから、あれまだ言ってねえよ、いつ言うんだろうという。ちょっとドキドキ感があった。どこで言うんだろうって」と明かした。

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 当時、このコンサートでは「解散」は公になっておらず、さらにスタッフでも限られた人しか知らされていなかった。その解散は、その年の初めにすでに決まっていたというのは、関係者取材でも明らかになっているが、ダイノジ大谷は『BEAT EMOTION』が発売された1986年11月頃かと尋ねると、高橋は「もっと前よ」と、ツアー『BOOWY'S BE AMBITIOUS』が開催された1985年の頃であるとし、「今でも覚えています。長野のワシントンホテルの上にラウンジがあって、そこで4人だけで、そういう話をして。売れたらやめようと。そこでやめようぜ、ではなくて、その頃はやっと階段を昇った頃だったから。上に行ったらやめようぜと」と解散コンサートからさかのぼること約2年前の時点ですでに4人の間では解散についての共通認識があったと告白した。

 この日の上映イベントの会場には当時、渋谷公会堂での解散コンサートを観覧したファンの姿もあった。当時は、会場に入れないファンがたくさんおり、会場の周りを埋め尽くしていた。押し寄せるファンによって会場のガラス扉が割れたことも当時はニュースになったが、ダイノジは「ガラスを割った方はいますか?」と呼びかけて笑いを誘った。

 トークも終盤、ダイノジ大地から「もし4人が再び集まって1曲だけ演奏するとしたら?」の問いに高橋は「『NO.NEW YORK』か『IMAGE DOWN』。どっちか」と答え、観客を喜ばせた。

 映像上映では、イントロダクションの音が流れ始めた瞬間から当時にタイムスリップ。映像から流れる歓声と会場の歓声が合わさるなど、時空を超えて当時の感動が蘇っていた。終盤、解散を告げる氷室に見えるはっきりとした涙。会場もその涙で心を潤していた。縦横無尽に踊る布袋のギター、それを支える高橋と松井のリズム。そして、その演奏のなかで華麗に歌いあげる氷室。いまも色あせることない4人のビートがそこにはあった。

 なお、BOOWYの左から3つ目の「O」は、ストローク符号を付したO。【取材=木村陽仁】

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