Facebookは、ニュースフィード向けのビデオ制作のための資金をパブリッシャーに提供することを止めた。複数のパブリッシャー関係者がこれを認めている。

証言をしてくれたパブリッシャー関係者3人のそれぞれの会社はそれまで、Facebookから制作資金を受け取ってビデオを制作していた。しかし、パブリッシャーやビデオクリエーターたちにお金を支払って、毎月オンデマンドやライブ動画をニュースフィード用に制作させる、ということをFacebookは停止するようだ。彼らがFacebookと交わしていた契約は、毎月何分以上のビデオを制作する、というノルマを条件にFacebookから製作資金を受け取るというもの。オンデマンドのビデオの場合は90秒以上、ライブ動画の場合は6分以上でないといけないという追加条件があった。これによってミッドロール広告を試していた。これらの契約は年末で終了するという。

Facebook側からこの契約は終了し、更新もされないと連絡があったと関係者は述べた。契約をしていたパブリッシャー、セレブリティたち、そしてビデオクリエーターたちの数は300ほどになると推測する。ほとんどが年末で契約を終了するものの、来年の前半まで継続してから終了するものもあるかもしれないという。

2016年からFacebookの資金提供を受けてきたパブリッシャーのエグゼクティブのひとりは言う。「毎月支払う手数料を支払いたくなくなったのだ。代わりに全員にミッドロール広告プログラムに入って欲しいと考えている」。

米DIGIDAYはFacebookにコメントを求めている。返答があり次第アップデートしたい。

本来の目的はライブ動画



Facebookの資金提供は2016年にライブ動画を増やす目的で開始された。当初140のパブリッシャーとビデオクリエーターに年間、5000万ドル(約56億円)を支払うと発表した。

ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)によると、参加パブリッシャーにはBuzzFeed(310万ドル[約3.4億円])、ニューヨーク・タイムズ(300万ドル[約3.3億円])、CNN(250万ドル[約2.8億円])、NowThis(150万ドル[約1.6億円])などが含まれる。またケビン・ハートやマイケル・フェルプス、ゴードン・ラムジーなどにもライブ動画を投稿してもらうために資金を支払っている。

資金が提供されたことでパブリッシャーたちは、コンテンツ制作のためにFacebookライブ専用のチームを設立。ニューヨーク・タイムズでは6人編成のチームが毎日ライブ動画を制作した。リファイナリー29(Refinery29)はある時期、10人編成のFacebookライブ用チームを作っていたこともあった。

ライブの不発で契約変更



今年初頭には、Facebookライブ動画が不発であったことが明確になり、ニュースフィード上のライブ動画だけでなくオンデマンド動画への支払いも含むように契約を変更した。この契約の下、ビデオ制作者たちはライブ動画ではなくオンデマンド動画を制作するように求められたと関係者は話す。

この変更は、Facebookライブ動画にリソースを割いていたパブリッシャーたちが、スタッフ人数を減らして別の方向へと転向するきっかけとなったという。パブリッシャーのなかにはTwitterといった別のプラットフォームへとフォーカスを移したものもあるとのことだ。

現時点ではFacebookのリソースはビデオ視聴プラットフォームであるWatchへの番組制作へと集中している。コンテンツパートナーたちにはすでに、番組の数を減らし、大きな予算を持って少ない番組を制作するという方向性を伝えているようだ。

ミッドロール広告で改善?



Facebookのミッドロール広告プログラムもまた優先度が高くなっているという。ミッドロール広告のパフォーマンスについての公開データを増やしはじめているそうだ。以前であれば参加パブリッシャーでも、毎月どれだけの収益が生まれているかというデータしか得られなかった。どのビデオとトピックのパフォーマンスがもっとも高いかといったデータも、いまでは確認できるようになったと、関係者は説明してくれた。

「そのおかげで、番組制作においてオーディエンスと収益をちゃんと検討することができるようになった」と、関係者は語る。

Facebookが資金提供を停止するということは、Facebookに注ぐリソースを減らす良いきっかけであると考えているパブリッシャーもいるようだ。

「一番最近の契約はあくまでも、マネタイズが上手くいくシステムを見極めるまでのつなぎの契約だと言っていた。しかし、このつなぎはどこにもつながらなかった。我々はFacebookでパブリッシュするためのネイティブ動画の量を一気に減らし、ほかのプラットフォームを検討するだろう。もし半年後にFacebookが別のタイプのプログラムでお金を出すから、と言ってきてもそれに乗るかどうかは分からない。これまで上手く行ったものがないのだから」と、トップパブリッシャーのエグゼクティブのひとりは語ってくれた。

Sahil Patel(原文 / 訳:塚本 紺)