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元 国税局職員 さんきゅう倉田です。趣味は「税務調査」です。

先日、菅官房長官が、将棋で前人未到の「永世七冠」を達成した羽生善治さんと、囲碁で2度の七冠独占を果たした井山裕太さんに国民栄誉賞の授与を検討すると表明しました。

この中で菅官房長官は「将棋の羽生善治氏は、将棋界で初めて七冠すべての永世称号の資格を獲得した。また囲碁の井山裕太氏は、囲碁・将棋界を通じて初めて2度目の同時七冠を達成した。いずれも歴史に刻まれる偉業であり、社会に明るい希望と勇気を与えた」と述べました。

国民栄誉賞は、日本の内閣総理大臣表彰のひとつで、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」を目的としています。

表彰されると、表彰状と盾、記念品又は金一封がもらえます。記念品は銀製品や時計、鷲の剥製、熊野筆の化粧筆7本、真珠のネックレス、西陣織による金色の帯など。贈呈・表彰式は内閣総理大臣官邸で開催されます。長嶋茂雄さん、松井秀喜さんへの贈呈は、東京ドームにおける読売ジャイアンツ主催公式戦の中で松井さんの引退式を兼ねて実施されました。

これまでに23個人と1団体に対して授与されており、亡くなってから受賞される方もいます。

ここに、羽生さんや井山さんの名前が並ぶかもしれないのです。制度上、報奨金がもらえる可能性がありますが、いままでは記念品はもらえても、報奨金は支払われたことはなく、今回も記念品だけとなるでしょう。さて、この記念品や報奨金は、課税の対象となるのでしょうか。所得税法では次のように規定されています。

所得税法

第9条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十三 次に掲げる年金又は金品

 ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品

十四 オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの

ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品やオリンピックで優秀な成績を収めた者を表彰するものとして交付される金品が挙げられていますが、「国民栄誉賞」については記載がありません。

国民栄誉賞は1977年に創設され、所得税が作られたのはそれより前なので、対応できていないのかもしれません。お金でなくとも、記念品が高価であれば、受け取った記念品は一時所得となると考えられます。受賞者がどのように確定申告をしているかは定かではありませんが、記念品は、真珠や西陣織の帯など一時所得の控除金額50万円を超えており、非課税の規定がない限り確定申告が必要です。

可能性としては、国民栄誉賞に準ずる賞の非課税規定を用いて非課税としていることが考えられますが、このあたりは、内閣府か国民栄誉賞受賞者に直接確認する必要がありそうです。

みなさんも何か賞を頂いたら、賞金や賞品が非課税かどうかを調べて、非課税でなければ確定申告が必要です。

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○さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら