米国の税制改革が波及効果をもたらし、日本もこのほど企業を対象とした税制改正を打ち出した。資料写真。

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米国の税制改革が波及効果をもたらし、日本もこのほど企業を対象とした税制改正を打ち出した。日本メディアの報道によると、日本政府は12月9日に閣僚会議を開き、2兆円規模の「経済政策パッケージ」を閣議決定した。主な内容として、賃上げ、設備投資、革新(イノベーション)に積極的な企業を対象に法人税の負担率を引き下げることが挙げられ、関連の政策が2020年をめどに集中的に実施されるという。国際商報が伝えた。

実は日本政府がここ数年間で減税に踏み切ったのはこれが初めてではない。安倍晋三首相が2012年に2回目の就任をすると、日本の法人税率は全体としてそれ以前の37%から29.97%に下がった。だが最近、欧米で減税政策が相次ぎ打ち出されたため、日本も追随する形でさらなる減税を進めることになった。

▽賃上げと連動

南開大学日本研究院の劉雲(リウ・ユン)客員研究員は、「日本はこれまでずっと法人税率の引き下げを願い、ここ数年間も引き下げを推進しようと力を入れてきたが、引き下げ幅は小さかった。日本はもともと18年度に法人実効税率を29.74%に引き下げる予定であり、今回の大規模な税制改正プランがスムースに閣議決定にこぎ着けたのは米国の税制改革の流れに追随した結果だ。法人税引き下げは確かに企業に収益増加というメリットをもたらす。日本の税制改正は実際には『アベノミクス』と通じ合うもので、産業資本サイドの利益を代表するものだ」と述べる。

注視されるのは、日本の税制改正プランが賃上げ政策と連動していることだ。さきに安倍政権は企業の賃上げを、特に大企業の賃上げを推進してきたが、成果はほとんど上がらなかった。データをみると、16年に日本企業が内部留保した収益は406兆円に達し、過去最高を更新した。だが人件費の占める割合はここ数年で最低の63%に下がり、働く人々の賃金にはっきりとした改善がみられない中、個人消費は7四半期連続のマイナスとなった。

今回の米国の税制改革が引き起こした波及効果が安倍政権に大規模な税制改正の機会をもたらした。税制改革プランをみると、日本政府は減税によって企業の賃上げの積極性を高めると同時に、18年の賃上げ目標ラインを3%と明確に打ち出した。

▽有効性に疑問

劉客員研究員は、「これまでのいくつかの経済政策の下で、日本企業の収益はかなり増加したが、内部留保した収益が賃金に回されて賃上げに結びつくことはなく、ひいては社会消費に回ることもなかった。この背後にある根本的原因は日本経済に存在する構造的問題だ。今回の税制改正は賃上げ、設備投資の増加という条件をはっきり打ち出したが、実際に期待されたような効果を上げるかどうか、企業が日本で投資や生産をしたいと思うかどうかには、疑問符がつく。制約がたくさんあり、最も重大なこととして日本は深刻な労働力不足であり、企業が日本国内での投資を増やそうとすると、往々にして働き手が集まらないという状況に陥る。こうした状況の中、日本企業が国内投資を増やすかどうかは大いに疑問だ」と指摘する。

劉客員研究員の見方によると、「米国や欧州が自身で巨大な消費市場を抱えているのと異なり、日本市場は飽和状態に近く、企業が投資を増やすかどうかは消費と収益バランスをはかった上での選択になる。これも日本企業の海外投資がトレンドになっている理由だ。こうした状況の下、より多くの企業が国内投資を行うかどうかには疑問符を付すべきだ。なんといっても米欧諸国も法人税率を引き下げている」という。

日本企業はこうした状況を極力避けようとしているようにみえる。というのも政府の法人税率引き下げの最大のターゲットはモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などの革新分野に投資する企業だからだ。劉客員研究員は、「企業の研究開発投資の拡大についていえば、税率を20%に引き下げることには一定の意義があるが、研究開発投資はさまざまな要因と関わりがあり、たとえば企業が当該分野の研究開発能力を備えているか、教育や人材は十分であるか、ふさわしい制度があるかどうかなどをみなければならない。税金はそのうちの一部分に過ぎない」と指摘する。