じつは新東名と新名神の大部分は140km/hを担保している

 高速道路の設計速度とは一体何で決まるのか? ぶっちゃけ、曲率と勾配、そして視距だ。

 曲率はカーブのキツさ、勾配は上り下りのキツさ。視距はカーブで何メートル先まで見えるかということで、たとえば曲率がキツくて中央分離帯や防音壁が高いなどの場合、これが短くなる。つまり見通しが悪くなるわけで、規制速度が低くなる理由になる。

 逆に言うと高速道路建設の場合は、曲率や勾配だけでなく、視距を満たすことが重要になる。そのため、カーブでは路肩を広く取って視距を稼ぐことも多い。右カーブでは右側、左カーブでは左型に路肩が広く取られることが多いのも、視距を稼ぐためだ。

 そのほか、路肩の広さや車線数、交通量なども設計速度に影響してくるが、つまり「何キロまでなら安全に走れるか」を、お役所的に決めたものだと考えればいい。ちなみにこの設計速度、天候は無視している。つまり悪天候の場合は「設計速度では危険」と判断され、規制速度が低くされるケースも多い。

 設計速度を規定しているのは何かというと、1970年に定められた「道路構造令」という政令だ。すべての道路は、基本的にこれに則って造られている。

 そこには第1種第1級から第4種第4級まで合計15種の種級が定められているが、高速道路と呼ばれる道路に関しては、第1種第1級から第2種第1級まで、5種類に分類される。第2種第1級の設計速度は60km/hから80km/h。首都高などはこれが多い。

 一方、頂点に君臨する「第1種第1級」はどうかというと、設計速度は100km/hと120km/hの2種類。120km/hを超える設計速度は、そもそも設定がない! つまり、どれだけ曲率や勾配がゆるやかで視距が取れても、最高速度は120km/hが上限ということになる。

 逆に言えば、今回最高速度規制が110km/hに引き上げられ、今後120km/hへの引き上げも検討されているのは、単に設計速度を最高速度規制とリンクさせつつあるだけだ。もともと120km/hまで安全なはずな路線を、警察が100km/hに規制していたのを、一部緩め始めたということだ。

 ところが、新東名と新名神の大部分は、実は「140km/hを担保する設計」になっている。つまり、本当の設計速度は140km/h。しかし道路構造令には120km/hまでしか規定がない。

 つまり今後新東名や新名神の制限速度を140km/hにするためには、道路構造令を改定する必要がある。改定は手続き的にはそんなに難しくないが、そこまで引き上げの圧力(社会的要望など)が高まるかどうか?

 世界的に見ても、130km/hを超える最高速度を設定しているのは、速度無制限もあるドイツ・アウトバーンとポーランド(140km/h)だけ。新東名・新名神の140km/h規制は、まず実現しないだろう。