(写真提供=SPORTS KOREA)

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日本企業の取り組みを紹介した記事が韓国で話題になっている。SBSが報じた「“人口減少時代”は悪いだけか?“労働”が優遇されはじめた日本」という記事だ。

日本企業の取り組みに羨望のまなざし

同記事では、日本のヤマト運輸や佐川急便が値上げしたことや、時給2000円でも働き手が集まらないという日本の現状を紹介。と同時に、ヤマトが宅配指定時間の「昼12〜午後2時」を見直して、従業員が昼休み時間を確保しやすくしたことなどを伝えている。

また、カード大手のクレディセゾンが全従業員の55%にあたる2200人の非正規社員をすべて正社員にしたことも報じている。

こうした実例を挙げながら、韓国の現状を踏まえて「日本でも高齢化と若者の減少は大きな社会問題だが、ときには人口減少時代の利点も話される」とチクリ。

そして「韓国ではいつになれば“剰余人間時代”を終えて、人間の労働が優遇されるだろうか」と締めくくった。

つまり、韓国メディアの見方はこうだ。人口減少や人手不足によって日本では労働者の待遇が上がっているが、同じく少子高齢化が進む韓国ではそのような“好転”が起こっていないということを指摘しているのである。

労働環境が改善されない韓国

韓国では意外と日本の働き方への関心が高い。

日本で電通社員が過労死した事件が韓国でも大きく報じられた際も、「高橋まつりさんの事件は他人事ではない」という意見が多かった。

韓国では近年、「情熱ペイ(pay)」という辛辣な造語が社会問題化しているが、事件とそれがダブったのだろう。

若者たちの仕事に対する情熱(労働力)が最低賃金、もしくはタダ同然で搾取される現象はさまざまな分野で起きている。“韓流ブーム”の産室といえるドラマや映画の労働環境も、その華やかさやドラマチックさとは対照的に過酷で厳しい。

韓国でも過労死は決して珍しいことではなく、それは民間企業に限らない。「自殺予防相談窓口」の担当者が自殺するという皮肉まで起こっているのだから、穏やかではないだろう。

人手不足の日本に韓国の労働者を?

何よりも深刻なのは、韓国の若者の失業率の高さだろう。

12月13日に韓国統計庁が発表した雇用動向を見ると、青年失業率は9.2%。11月の数字としては、1999年の統計作成以来、最も高い数字になってしまっているという。

そんな状況を打開すべく、韓国の経済団体「全国経済人連合会」は、日本に目を向けている。日本の人手不足を韓国の若者で埋めようと模索しているようだ。

ちなみに、冒頭で紹介したSBSの記事には、1700件以上のコメントが書き込まれているのだが、多く見られたのは日本と韓国の違いを指摘する声だった。

「日本と違って韓国は、中国の朝鮮族や東南アジア人を労働力に使うから…」
「“ヘル朝鮮”は人口が減っても関係がない。労働者を東南アジアから輸入するから」
「韓国では絶対に日本のようなことはできない。発展途上国の労働者を呼べばいいとしか考えていない」

「外国人労働者のせいで…」

東南アジアから賃金が安い労働力が入ってくるせいで、韓国人の待遇は改善されないということだろう。

その諦めにも近い叫びには同情の余地もあるが、そういった不満がいびつに捻じ曲がって、外国人に対する恥ずかしき “侮辱造語”にも表れてしまっていることはいただけない。

(参考記事:「外国人はゴキブリ」「トンナムアジア」…韓国で続々と生まれる恥ずかしき“侮辱造語”

いずれにしても、日本で起こっている労働者への待遇改善や働き方改革に、韓国が注目していることは間違いないだろう。

韓国も日本の良い点は積極的に取り入れればいいと思うが、はたして……。

(文=慎 武宏)