『明日の約束』最終回で井上真央が訴えた“逃げる勇気” 毒母からの愛情に下した決断

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 『明日の約束』(関西テレビ・フジテレビ系)が昨日12月19日に最終回を迎え、第1話から追い続けてきた吉岡圭吾(遠藤健慎)の死の真相が明らかになった。これまで回を重ねるごとに、別の容疑者が浮上。いじめたクラスメイト、そのいじめの種を巻いた担任の霧島直樹(及川光博)、いじめた部活のメンバー、精神的虐待を与えた母親・真紀子(仲間由紀恵)……圭吾の自殺の要因となったとされるそれぞれの人物に、疑いの目が向けられていた。

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 しかし、圭吾が亡くなる前日に残していた「明日が来るのが怖い」という言葉を、幼馴染の香澄(佐久間由衣)は「死ぬって決めてたから、自分のいない明日が来るのが怖かった。自分のいなくなった世界でみんながどうなるのか怖かったんじゃないかな」と口にする。圭吾は、皆が疑い合うことを望んでいない。日向(井上真央)は、真紀子が自らを責めて圭吾の後を追おうしているのを知り、「圭吾くんは誰のことも責めずに亡くなりました。だから、きっと彼はお母さんのせいだなんて言いません。あなたがそう思わない限りは」と伝える。誰のせいでもない、とは言えない。ただ、圭吾は、誰にも苦しんで欲しくないと思い、最後まで、優しすぎる愛情を持った死に方を選んだ、それが真相だった。

 ヒューマン・ミステリーと題打って描かれてきた本作、謎が解けたのと同時に、劇中では、重要なメッセージを発信していたように思う。それは、大きく言えば、“苦痛から逃れる方法”。日向は、学校を去る最後の挨拶で、全校生徒に向かって「自殺という行為が辛い現実から逃げる手段だと思って欲しくないんです」と話す。圭吾にも「生きて逃げる勇気を持ってほしかった」と。主に、母親が苦痛の象徴として描かれてきたが、日向と同じく母親との問題を抱えてきた増田希美香(山口まゆ)は親戚の元へ、圭吾の妹の英美里(竹内愛紗)児童養護施設へと「母親から自由になる選択肢」を選んできた。そして、彼女たちのその選択を支えたのは日向だった。最終話では、増田は母親ともう一度会い、改めて向き合うことができ、英美里も自宅へ戻り、真紀子を支える姿が映っていた。彼女たちが「逃げる勇気」を持てたのは、日向の支えがあったからでもある。

 「親の思い込みやきめつけは、子どもにとって辛いんです。愛情だってわかるから、心がどんどん縛られていくんです」。日向は尚子に怪我を負わせたことで、さらに尚子に心を掴まれてしまっていた。そんな日向も、増田や英美里ら生徒たち、再び兄を乗り越えようと歩き出した恋人の本庄和彦(工藤阿須加)、様々な人からの支えがあって、尚子に別れを告げる勇気を踏み出した。「もういらない。そんな自分勝手な愛情、もういらない」。言い放った日向の目からは、涙がこぼれ落ちていた。やっと言えた開放感と、母親に別れを告げることの恐怖、その涙には、筆舌にし難いが詰まっていたように感じる。

 最後に、日向が幼い頃、尚子につけさせられていた日記には、久々に日向から尚子の返事のメッセージか綴られていた。「私は、私のために生きていきます」。“逃げること”に対して、本当に辛い人の気持ちは分からないから言える、という声も多い。だからこそ、日向のように誰かを頼ってほしい。頼れる状況でもない、という声もあるかもしれない。しかし、そこで選択する“勇気”を持って欲しいと訴え続けたのが、本作だったのではないだろうか。

(大和田茉椰)