大ブレイクなるか!? 人気ラッパーによる最も勢いがあり、脂の乗り切った最新作 / 『ザ・ビューティフル・アンド・ダムド』Gイージー(Album Review)

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 2015年に「ミー、マイセルフ&アイfeat.ビービー・レクサ」でブレイクした、米カリフォルニア州オークランド出身の白人ラッパー、Gイージー。その「ミー、マイセルフ&アイ」で獲得した自身の最高位である7位タイまで上昇中(2017年12月23日付)の先行シングル「ノー・リミットfeat.エイサップ・ロッキー&カーディ・B」含む、通算5作目のスタジオ・アルバム『ザ・ビューティフル・アンド・ダムド』が2017年12月15日にリリースされた。

 全20曲、トータル74分を超える大ボリュームの本作は、全ての楽曲をGイージー自身が制作し、ドレイクのキャリアを語る上では欠かせないボーイワンダーや、クリス・ブラウン〜トレイ・ソングスといった実力派R&Bシンガーを手掛けるフューチャリスティックがプロデュースを担当。そのフューチャリスティックがプロデュースした、アルバムからの2ndシングル「ヒム&アイ」は、交際が囁かれているホールジーとのデュエット曲で、こちらも最新チャートで21位に初登場しヒットの兆しをみせている。

 チャーリー・プースがファルセットでサビを歌う「ソーバー」も、前2曲に負けずとも劣らないアルバムの目玉曲。特に、半音ずつ下降していくコード進行に乗せた、Gイージーのクールなラップがたまらない。フィーチャリング・ゲストとして引っ張りだこのケラーニが歌う「クラッシュ&バーン」も、大衆受けしそうなメロウ・チューン。シンセ・ポップ・デュオ=アナ・オブ・ザ・ノースとのドリーミーな「ピック・ミー・アップ」や、デヴィッド・ゲッタの「デンジャラス」で注目されたサム・マーティン参加の「レヴィアタン」など、フィーチャリング・ゲストの個性が活かされたナンバーは、我々日本人の耳にも馴染みやすい。Drew Loveがザ・ウィークエンドそっくりに歌う「ラブ・イズ・ゴーン」も、いい雰囲気を生み出している。

 一方、タイトルを何度も繰り返す中毒性のある「プレイ・フォー・ミー」や、ノック音や動物の鳴き声が呻く不気味な「レジェンド」、エミネムを意識したような高速ラップを披露する「ザ・プラン」など、キャッチーとは言い難い、ラッパーらしさを強調したナンバーも目白押し。過去のアルバムもそうだが、Gイージーの作品は聴きやすくも“ポップ”になり過ぎない丁度良さがいい。メルヘンなバックサウンドにイカついラップを絡める「ザッツ・ア・ロット」や、90年代のジャジー・ヒップホップ風「サマー・イン・ディセンバー」、 E-40とジェイ・アントがコラボした寡黙で落ち付いた「チャールズ・ブラウン」など、「センスあるじゃん」とつぶやいてしまう個性的なサウンドメイクにも感服。UKのエレクトロ・プロデューサー=SGルイスが手掛けた「ノー・レス」も、独特のグルーヴが心地よく秀逸。

 Gイージーは、これまで5枚のアルバムをリリースしているが、本作『ザ・ビューティフル・アンド・ダムド』はその中でも最も勢いがあり、脂の乗り切った作品だと太鼓判を押せる。比べるまでもなく、現時点では最高傑作といえるだろう。映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』のサウンドトラックに収録されたケラーニとのコラボ曲「グッド・ライフ」は収録されていないが、アルバムのコンセプトからすると、外して正解だった。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ザ・ビューティフル・アンド・ダムド』
Gイージー
2017/12/15 RELEASE
2,592円(tax incl.)