大手メディアのハーストマガジンデジタルメディア(Hearst Magazine Digital Media)は、デジタルプラットフォーム向けのオリジナル動画シリーズの開発、制作、販売を手掛ける5名のチームを立ち上げた。

この6カ月で結成されたハーストオリジナルズ(Hearst Originals)のチームを率いるのは、オーディエンス担当バイスプレジデントのブライアン・マッデン氏、そしてハーストマガジンデジタルメディアのパートナーシップ担当エグゼクティブディレクターであるマイケル・ムラーツ氏だ。2週間前、ハーストは元MTVおよびVice News幹部のエリック・リーベン氏をハーストオリジナルズのディレクターとして迎え入れ、今後は彼が日々のオリジナル番組開発の責任者となる。

「我々の組織内には動画チームが数多くあり、多くの編集チームにそれぞれ専門の動画チームが存在する」と、マッデン氏はいう。「オリジナルズのチームでは、SNS動画で学んだことをすべて踏襲し、デジタルのオーディエンスに適したテレビ品質の動画シリーズに挑戦、また開発していく。その使命は、FacebookやMusical.ly、またはそれ以外にも、あらゆるプラットフォームで機能する動画シリーズを作ることだ」。

動画シリーズの需要



ハーストがデジタル番組の開発チーム立ち上げを決断した背景には、このタイプのコンテンツに主要動画プラットフォーム各社からの需要が集まっている、という現状がある。Facebookは新たな動画プラットフォーム「ウォッチ(Watch)」に番組を募るため、2018年に最大10億ドル(約1130億円)を費やす用意があると報じられている。また、Snapchatを運営するスナップ(Snap)が番組制作に先行投資することはまれだが、ディスカバー(Discover)セクション向けに、メディア会社と契約してバーチカル動画番組を制作するという。Musical.lyまでもが今年はじめ、同様の活動に参入した。

「プラットフォームは皆、ある種のロイヤルティを求めており、[ほかにはないものを得ている]、とユーザーに感じてもらえるような体験を作りたいと考えている」と、マッデン氏はいう。「そのもっとも簡単かつ速い方法が、より長く、より高品質な動画なのだ」。

デジタルパブリッシャーはいずれもSNSあるいはストリーミングプラットフォームに動画シリーズを販売するため、テレビおよびデジタル業界の人間をそろえた開発チームを結成する、という策を講じている。10月には、グループナインメディア(Group Nine Media)が同じ理由でグループナインソーシャルスタジオ(Group Nine Social Studios)を設立。グループナインに投資するディスカバリー(Discovery)もまたデジタルのオリジナルチームを所有する。

同時に、BuzzFeedやブリーチャーレポート(Bleacher Report)、マッシャブル(Mashable)、リファイナリー29(Refinery29)などの配信メディアパブリッシャーは、デジタルソーシャルプラットフォームやテレビネットワークのコンテンツバイヤーとの距離を縮めるため、ロサンゼルスにショップを開設している。

ハーストの動画制作体制



ハーストにはFacebookのWacthプラットフォーム向けに7つの動画シリーズがあり、それぞれ別の制作段階にある。最近放映された動画には、新進気鋭の美容師2名がそれぞれのメイク技を競う「ビューティバトル(Beauty Battle)」やペットを迎えるカップルを支援する「ペットミープリーズ(Pet Me Please)」、そしてレシピ動画のデリッシュ(Delish)編集者ジョアンナ・ソルツ氏が有名人ゲストとともにスモアナチョスやラザニアピザといった一風変わった料理を楽しむ「マッシュアップ(The Mash-Up)」などがある。

ハーストはすでに、口パク動画アプリのMusical.lyでふたつの番組をリリースしている。それが、セブンティーン(Seventeen)の「ファッション・トゥ・DIY・フォア(Fashion to DIY For)」と「セブンティーン・イン・ザ・シティ(Seventeen in the City)」だ。

さらに、まもなくハーストはスナップやTwitterなどのプラットフォームとも提携し、複数の番組制作をしていくことになる」と、ムラーツ氏は語る。

ハーストのオリジナルチームが作成した番組すべてが、雑誌のブランドと結びついているわけではない。「ペットミープリーズ」と「マッシュアップ」はそれぞれコスモポリタン(Cosmopolitan)およびデリッシュ(Delish)と共同制作され、またMusical.lyでの2番組はセブンティーン向けだったが、同チームはハーストが所有するメディアから独立したプロジェクトにも注目している。

「新たな動画資産や[番組]ブランドの構築も視野に入れている」とマッデン氏は話す。「これにより、我々はさらに多くのオーディエンス、またいままでとは違うオーディエンスを追うことができるだろう」。

「ブランドの代謝というものは」



ハーストはすでに雑誌制作チーム内で動画チームを所有していたものの、専任の開発チームの必要性を感じていた。

「ブランドの代謝というのは、日々のことに集中することだ」と、ムラーツ氏は語る。「高品質のストーリー性のあるシリーズを考えるには、リソースが必要だ。チームは急速に成長しており、既存の取引は実行できるようになった。そして、それは今後も成長していくと思う」。

Sahil Patel (原文 / 翻訳:Conyac)