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フォーティネットはこのほど、主力製品であるUTMアプライアンス「FortiGate」のコア技術「ASIC」を支える半導体技術に関する説明会を開催した。

同社は専用プロセッサを搭載するUTMアプライアンスを提供しているが、汎用プロセッサと独自のソフトウェアから構成されるUTMアプライアンスを提供しているベンダーもある。汎用プロセッサと比べて、同社の専用プロセッサは何がすぐれているのだろうか。

説明を行ったのは、米国本社で次世代のASICの開発に携わるPrincipal ASIC Design Engineerの坂東正規氏だ。同氏は、次世代コアルータ、超高速ネットワーク・セキュリティに関する特許を保有している。

○ムーアの法則とネットワークの進化のギャップを埋めるセキュリティ・プロセッサ

坂東氏は初めに、同社がセキュリティ・プロセッサを開発する理由から説明した。同社は2002年にセキュリティ・プロセッサをリリースし、現在に至る。

プロセッサの進化は「ムーアの法則」で示されるが、坂東氏は、ムーアの法則よりもネットワークのスピードの進化は速く、ギャップが広がっていると指摘した。セキュリティの分野でこのギャップを埋めるため、同社がセキュリティ・プロセッサとなる。

ネットワーク・セキュリティに関するソリューションを提供するベンダーは1000社以上あるが、「ネットワーク・セキュリティの5つのカギとなる機能をすべて提供できる企業はほんの一握り。われわれが5つの機能をすべて提供できるのはセキュリティ・プロセッサがあるから」と、坂東氏は同社のセキュリティ・プロセッサの優位性を示した。

○ビットコイン、人工知能でも利用が進む専用プロセッサ

続いて、坂東氏は汎用プロセッサと専用プロセッサの処理機能を比較して見せた。まず、ビットコインのマイニングを行う場合、どちらのプロセッサのほうが適しているだろうか。

そもそも、マイニングの処理がCPUの得意分野ではない」という。ということで、CPUからGPUでマイニングが行われるようになったが、GPUは消費電力が多い。そこで、消費電力が抑えられているFPGAでマイニングが行われるようになったが、パフォーマンスがそれほど出ない。そこで、最終的に行き着いたのが、ASICだ。

マイニングでは経済性が追及されており、消費電力を抑えつつ、高いパフォーマンスが出せるASICが利用されるようになったというわけだ。

こうしたASICへのシフトは、人工知能の世界でも起きている。例えば、Googleは、ディープラーニング(深層学習)専用プロセッサ「Tensor Processing Unit(TPU)」を開発した。TPUはGPUよりも消費電力が少ないが、処理速度は速い。

人工知能の世界でもビットコインと同様の動きが見られており、Amazon、Facebook、Microsoftといった米国の大手ベンダーに加え、Alibaba、Baidu、TenCentといった中国企業も自社開発のハードウェアにシフトしつつあるという。

坂東氏は、CPUの価格はパフォーマンスに対して指数関数的に上昇するため、安価な専用プロセッサを利用すれば、高価なCPUの負荷を移行できると指摘する。

同社のセキュリティ・プロセッサは、ネットワーク・プロセッサ(NP)、コンテンツ・プロセッサ(CP)、システムオンチップ(SoC)に分類できる。

NPはパケット・フォワーディングやアクセラレーションを処理し、CPはCPUにとって負荷が高いタスクをオフロードする。SoCは、マルチコア・プロセッサ、コンパクトなNPとCPから構成され、中小事業者や大規模な配備に適している。

坂東氏は、これまでの研究の成果があるからこそ、同社の専用プロセッサは今のスループットが出せると述べた。この開発は創業からずっと続いているが、投資家も同社の創業者の意向を理解してくれているそうだ。

坂東氏は、AppleのiPodが成功した理由について、「ハードウェアに加えて、iTunesというソフトウェア、iTunes Storeというコンテンツがあるから、成功したと言える。われわれのFortigateも独自のセキュリティ・プロセッサに加え、プロセッサによりさまざまなセキュリティ機能を提供し、面でセキュリティ対策を提供することができ、いわばiPodと同じモデルと言える」と、同社のビジネスの強みをアピールした。