個性的なゲスト参加のハイ・クオリティーなポップ・ソング集 / 『POP 2』チャーリーXCX(Mixtape Review)

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 2017年3月に『ナンバー1エンジェル』をリリースしたばかりのチャーリーXCXが、それに続くミックステープ『POP 2』を早くも発表。前作の赤いポップなジャケットとは対照的に、本作は白地をバックに黒のドレスを着て写る、やや地味なカバー・アートとなった。奇抜なメイクとファッションがトレードのチャーリーだが、アーティストの表記がなければ彼女だと気付かないくらい、まったく別人のような風貌に驚かされる。だた、曲調やボーカルに大きな変化はないので、ご安心を。

 日本でも高い人気を誇るカーリー・レイ・ジェプセンとデュエットした「Backseat」で幕を開ける本作。同曲は、『ナンバー1エンジェル』でも大活躍したエー・ジー・クックとチャーリー&カーリーの共作で、両者のポップ・センスが見事に融合したエレクトロ・チューンに仕上がっている。2曲目の「Out of My Head」には、フィンランドのオーディション番組から誕生したアルマという女性シンガーと、新作 『ブルー・リップス』でどぎつい個性をアプローチしたトーヴ・ローの2人が参加。「アウト・オブ…」のリフレインが何度も頭の中をループする、目の回るような曲。3曲目の「Lucky」は、どこかノスタルジックな雰囲気のある哀愁系のメロウ・チューン。ラストの「Track 10」もそうだが、チャーリーのミディアム〜スロウはなかなか完成度が高いので、もっと推すべきだと思う。アルバムの中の1曲で終わるのは、非常にもったいない。

 シンセポップ・バンド=チェアリフトのヴォーカル、キャロライン・ポラチェックとコラボした「Tears」や、前作でも相性の良さをみせたムーとのデュエット「Porsche」、ドリアン・エレクトラ&トミー・キャッシュとの「Femmebot」など、チャーリーの王道ともいえるエレポップも、もちろん悪くはないが、安定は無視してもっと冒険しても良いのでは……とも思う。本作の中では、キワドイ演出が話題の、米オックスナード出身の女性ラッパー=ブルック・キャンディーと、パワフル過ぎるボーカルで視聴者を圧倒させる、ブラジルの女性シンガー=Pabllo Vittarという、とてつもないインパクトの3人が揃った「I Got It」と、“東欧のカニエ・ウェスト”というキャッチコピーをつけられた、トミー・キャッシュ参加のトラップ・ソング「Delicious」の2曲が、強烈な個性を放っている。

 前述のエー・ジー・クックの他には、昨年ビヨンセの「オール・ナイト」や、メジャー・レイザーの「コールド・ウォーターfeat.ジャスティン・ビーバー&ムー」をヒットさせたキング・ヘンリー、『ヴィルーム・ヴィルーム』(2016年)や前作『ナンバー1エンジェル』にも参加した、UKのレコード・プロデューサー=ソフィーなどがプロデュースを担当している。もう少しひねった方が……なんてつぶやきながらも、彼らが生み出したエレクトロ・ポップは、当然ながら高水準な仕上がり。

 ところで、ローリングストーン誌の2014年ベスト・アルバムにランクインした大ヒット作『サッカー』に続く、3作目のスタジオ・アルバムはいつリリースされるのだろう……。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『POP 2』
チャーリーXCX
2017/12/15 RELEASE