2度の海外メジャーを達成しているインジのスイング(撮影:鈴木祥)

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今季国内女子ツアーで活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第20回では、世界ランク5位のチョン・インジ(韓国)を解説。2015年の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で日本ツアー初参戦初メジャー制覇を達成、その後同年の「全米女子オープン」、2016年の「エビアン選手権」と2度海外メジャーを制しているインジのスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に解説してもらった。
【スイング連続写真】世界ランク5位のチョン・インジのスイング
17年は優勝こそなかったものの、2位が5回と安定した成績を残したチョン・インジさん。世界ランク5位の実力者ですが、ショットだけでなく、メンタル面のコントロールがうまい人ですね。どんな試合のどんな場面でも慌てる様子はなく、落ち着いてプレーしている印象を受けます。だからこそ、技術の引き出し方もうまいのでしょう。
スイング的には、アドレスの形はものすごくきれいです。左右の体重配分を5対5にすることで、体の軸を中心にスッと立っています。何か物を置くときでもそうですが、バランスよく立たせるためには左右どちらかに重心が多く乗っていることはNGです。人間も同じで安定感を生み出すのは左右均等の体重配分です。
テークバックでは、足の形を変えずに上体を捻転させることで、しっかりと左肩を入れています。トップで右足に重心が乗っているオードソックスなバックスイングです。ただ、ダウンスイングには多少のクセがあります。顔が目標を向き、ドローボールヒッターに特有の右肩が落ちて左肩が上がる形です。おそらくジュニア時代からこの形でゴルフを覚えたのでしょう。まだ体力のないジュニアゴルファーに多く見られますが、クラブの重さに負けてこのような形になったのだと思います。それでも、両足で地面をグリップし、右足の上に重心を戻しているのはさすがです。上体が目標方向にスライドしないように防いでいます。
最近の主流として、フォローで左サイドにクラブを振り抜く動きがありますが、インジさんのスイングにはその動きが見られません。インサイドアウトのスイング軌道のまま、アウトサイドにクラブを放り投げるようなイメージで振り切り、そのままハイフィニッシュをつくっています。ある意味、ひと昔前のスイングですね。
フォローで左足のツマ先が少しめくれていますが、左腰は引けていないことも特徴です。普通は左足のツマ先がめくれると、左ヒザが外を向いて腰が引ける形になりますが、インジさんにその形が見られないのは、足の動きを横ではなく、縦に使っているからです。また、左足ツマ先と右足カカトが浮くと、クラブヘッドが遠回りするようなスイングになるのを、縦に動かすフットワークによって防いでいます。一般的には、左足のツマ先を上げないようにレッスンしますが、インジさんの場合は、右足よりも左足を蹴ることでクラブが走るタイプなのでしょう。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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