岡田和生

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パチスロ界のリア王が明かす「解任劇」と「裁判闘争」(上)

 パチスロ大手のユニバーサルエンターテインメントが、元会長の岡田和生氏を損害賠償で提訴すると発表した。会社の資金を不正に送金したなどの理由だ。家族に造反され、会社からも放逐された岡田氏が明かす解任劇の裏側と、アメリカで続く泥沼裁判の行方。

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「率直に言えば、今回のことは、ユニバーサル社の社長らが起こした『乗っ取り劇』なんです。彼らは1年ぐらいかけてクーデターを画策していた。何より会社を乗っ取るためには、私から議決権を奪わないといけません。そこで、社長らは長男と長女を騙して、私を解任するように仕向けたというわけです」

――長者番付のトップに立ったこともある男が、憤懣やる方なしの表情でソファーに座っている。パチスロ機のトップメーカー「ユニバーサルエンターテインメント」元会長の岡田和生氏(75)によると、同社の経営陣が仕組んだ「奸計」によって、岡田氏は家族に裏切られたというのである。

岡田和生

 ユニバーサル社の株は67・9%を同族企業「オカダホールディングス(オカダHD)」が握っている。ところが5月12日、岡田氏は長男と長女によってオカダHDの代表を解任されてしまう。同社の持ち株は岡田氏が4割強、長男4割強、長女が約1割。長男と長女の株を合わせれば53%になるのだ。

 オーナーの立場を失った岡田氏を待っていたのは不正の追及だった。ユニバーサル社の役員会で20億円の不正送金などを指摘され、6月の株主総会で会長職を解かれてしまう。

「クーデターのせいでうちの家族はバラバラですよ。長男は株主総会の後、どこかに雲隠れしたままです。彼は父親の株を預かって、配当金で遊んで暮らしている。これまでは、遠慮しているところもあったけど、もう私は堪忍袋の緒が切れました。息子に預けている株を返してもらうしかありません」

――子供たちに造反され、ユニバーサル社からも放逐された岡田氏の姿は「リア王」とも重なる。だが、岡田氏の場合はこれで終幕ではない。9月、岡田氏は記者会見を開いて、長女と和解したことを発表。オカダHDの経営権は自分に戻ったと主張し、ユニバーサル社の経営にも復帰すると宣言する。それによると岡田氏は長女から議決権を預かったというのだ。だが、事はそう簡単ではない。

「クーデターの後、幸い、長女とは和解して週に1度は会うようになりました。彼女は自分が騙されていたことに気が付いて持ち株を私に預けると言ってくれたのです。しかし、彼女は持ち株を30年間長男に預ける『信託契約』を結ばされていた。長男にしてみれば長女の株がこっちに来ないための防衛策のつもりなのでしょう。彼女は信託の意味を分かっておらず、兄から『サインしてくれ』と言われて信用してしまった。300ページもある契約書を前に10分間でサインさせられてしまったのです。こんなやり方では信託そのものが無効です」

ラスベガスに進出

――ユニバーサル社から追放されたのにも拘わらず、岡田氏が経営復帰にこだわるのは、カジノビジネスに対する執着もあるからだろう。岡田氏は17年前にラスベガスに進出するために「ウィン・リゾーツ」に出資。カジノホテルを成功させたが、途中で仲違いを起こし、裁判の応酬になってしまう。

「私は十数年前からパチンコ業界を脱出したいと考えていました。カジノが国際的な社交場として認められてゆく中で、業態を切り替えなくてはいけないと言っていたんです。そこでスティーブ・ウィン(ウィン・リゾーツの創業者)と出会った。当時(2000年)、彼は厳しい訴訟を抱えており、応援する者がいなかった。しかし、私は彼の能力を分かっていました。そこで資本金、役員メンバーなどが半々となる条件で共同事業を始めたのです」

――ユニバーサル社はアメリカの子会社「アルゼUSA」を通じて、約3億8000万ドルを出資。岡田氏をパートナーに迎えたウィンは05年、カジノホテル「ウィン・ラスベガス」を完成させる。大人向けの高級リゾートとして高い評価を得ると、次に、マカオに進出する。ところが、ここで亀裂が生じる。

 そのひとつが、マカオの大学の基金に1億3500万ドルもの大金を寄付するとウィンが表明したことだった。だが、岡田氏は金額が多すぎると反対する。調べてみると、基金のメンバーはカジノ関係者で大学とは関係がなかった。また、カジノのライセンスを取得するために120億円もの大金が使われたことにも岡田氏は不信感を隠せなかったと言う。すると、ウィンは、急に「牙」を剥いてきた。

(下)へつづく

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「週刊新潮」2017年12月14日号 掲載