日経新聞に12月14日付けで掲載されたコラム「読み解き現代消費」がネット上で話題になっている。40〜50代の独身女性の持ち家率が高いことを挙げ、中でも「中古のリノベーション物件」が人気だという。

金融機関で働くA子さん(48)は、"ピーちゃん" のために中古物件を買い、床をすべてフローリングにリノベーションした。このピーちゃん、ペットなのかと思いきやロボット掃除機「ルンバ」なのだという。

「掃除してくれるペットやわ。そこらの男より有能」

A子さんはひとり暮らしをする直前に、ピーちゃんを購入。文句も言わず、留守中に動き回って部屋を綺麗にしてくれるピーちゃんを「いつも指示待ちの部下とは、雲泥の差ですよ」と大絶賛している。

5年前、マイホームを手に入れる際も「自分の城を買うならピーちゃんが掃除しやすい家がいい」と考えた。A子さんは中古物件を購入し、浮いた予算で「自分好み」にリノベーションしたという。

ひとり暮らし用の物件といっても、床全部をフローリングに替えるとなると通常、数十万円かかる。たしかに、一生懸命に部屋を掃除するルンバは可愛げがあるが、ロボットのためにそこまでする人は珍しいだろう。

ネットでは、"ピーちゃん"という名前から、「インコ部屋でも作ったのかと思ったら、なぜルンバがピーちゃん」「闇深」という声が非常に多く寄せられた。しかし中には、

「掃除してくれるペットやわ。そこらの男より有能」
「一生懸命掃除してる姿が健気で可愛いし名前つけたくなる気持ちは分かる」

と理解を示す人も少なくなかった。

ルンバユーザー「送り返す? そんなのダメよ。うちの子にそんなこと出来ないわ」

実際、ルンバをペットのように思っている人は多い。『萌え家電 家電が家族になる日』(大和田茂著 ディスカヴァー携書)では、ルンバに関する興味深いエピソードが紹介されている。

ルンバが発売されて間もないころ、販売元のiRobot社の共同創設者ヘレン・グレイナー氏は「買ったルンバがちょっとおかしいんだけど」という電話を受けた。同氏は「ではすぐにおくりかえしてください。問題のないものと取り替えます」と申し出たところ

「送り返す? そんなのダメよ。うちの子にそんなこと出来ないわ」

と言われたという。当初から、ルンバは開発者自信の想像を超えてペットになってしまっていたというのだ。

現在、同社では愛着を高めるためかルンバ用のステッカーも販売している。他社からはルンバに着せることができるかわいらしいカバーも発売されており、それなりにニーズがあるようだ。名前を付けて、服を着せて、かわいがる。ペットとルンバ、愛する心に差はないのかもしれない。