スター・ウォーズ、レイ役のデイジーが語る『最後のジェダイ』

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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のヒロインが語る、レイ役の両親についての謎、理想とする女性像、そして今後のキャリアとは? US版ローリングストーン誌のカバーストーリーより、本誌未掲載の内容を含むデイジー・リドリーの拡大版インタビュー をお届けする。

10月下旬、ダグ・リーマンが監督を務めるSF作品『混沌の叫び』の「クレイジー」な撮影のため、3カ月前からカナダに滞在していたデイジー・リドリーは、モントリオールの賑わうワインバーで本誌の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』カバーストーリーの取材に応じた。彼女はその時点で完成した映画を観ていなかったものの、本作が「レーザーやら何やら」に満ちている一方で、現在の社会情勢を反映している部分があること、少なくともその時点では次回作以降レイを演じるつもりがないこと(その数週間後には態度の変化を見せている)等について語ってくれた。以下にインタビューの拡大版を掲載する。

ー『フォースの覚醒』が公開されるまで、レイが物語の主人公であることを把握していなかったファンは多かったと思います。そういう狙いがあってのことだったのかもしれませんが。

実は昨日別の人から「取材に対して少しもったいぶり過ぎだったのでは?」って言われたの。でも出演者の誰一人として、自分の役について誤解を招くような発言はしていないわ。視聴者が内容を知って驚いたことを意外に感じたもの。

ー 雪に埋もれたライトセーバーを手にする瞬間の興奮を、予告編に反映させるという案はなかったのでしょうか?

ライトセーバー・モーメント! 『フォースの覚醒』のプレミアで、あのシーンを目にした時のジョン(・ボイエガ)のリアクションが可笑しくって。彼は私の前に座ってて、『イェー!』みたいに声を上げたの。満員の会場で人目もはばからず興奮してたわ。あの夜のハイライトね。

ー 女性がライトセーバーを初めて手にするあの場面は、様々な意味でとても重要な意味を持っていると思います。あなたにとって、あの瞬間は何を意味しているのでしょう?

何十年もの間に無数の映画を観てきた40歳くらいの女性に、あのシーンはどう映るのかしらね。もちろん『エイリアン』とかの例もあるけれど、女性がヒーローになる映画は決して多くないから。親が娘をおもちゃ屋に連れていって「何でも好きなものを選びなさい」って言えない状況って、絶対におかしいと思うし。何より素晴らしいのは、その歴史的瞬間を生んだのが男性だっていう事実だと思うわ。マイケル(・アーント)、J・J(・エイブラムス)、ラリー(・カスダン)、あれは彼らの功績よ。3人の男性による革命に貢献できたことを、私は誇りに思ってる。フェミニストが女性の権利を必死に訴えるようなやり方じゃなくてね。

共演者やスタッフと関わる中で学んだことも多かったわ。現場におけるジョンと周囲の人々を見てると、映画業界における問題が過去のものになりつつあるんだって分かったの。キャストが全員白人で、無言の人種差別が蔓延しているような撮影現場とはまるで違ったから。そういうことに囚われない人々に囲まれて、とても心強く感じていたわ。

ー プロデューサーのキャスリーン・ケネディに対してはどういう印象をお持ちですか?

彼女は素晴らしい女性だし、一緒に仕事ができたことを嬉しく思うわ。数週間前に行われたWomen in Hollywoodっていうイベントで、彼女はスピーチを披露したの。彼女がスマートでクールで親切な人だってことを再認識したわ。この業界における彼女の功績はとても大きいと思うし、そういう意味では感謝もしてる。でも彼女はその功績を少しも鼻にかけたりしないの。ただやるべきことをやる、彼女はそういう人なの。

ー プロジェクトの壮大さを自覚した瞬間などはありましたか?

韓国に行ったときのことなんだけど、(『フォースの覚醒』が公開される前にもかかわらず)レイのコスプレをしている小さな女の子に会ったの。すごく可愛くて一緒に写真を撮ったんだけど、あっという間にインターネットで拡散されて、その影響力を実感したわ。

ー レイの両親について様々な憶測が飛び交っていることは気になりますか?

ならないわ。重要なのはキャラクターたちの過去じゃなくて、彼らがどこに向かうのかっていうことだと私は思ってるから。

ー 『フォースの覚醒』を見ればその答えは明らかだと、以前発言されていましたよね。

確かに言ったわ。プレミアの直後、私はエージェントと弁護士、パブリシスト、親友でもあるスタイリストと一緒にいたんだけど、記者からいろんな質問を浴びせかけられて混乱しちゃったの。既に答えを知っていたからこそ、頭の中がこんがらがっちゃって。でも推測するのは人の自由だし、私が口を挟むことじゃないわ。

ー マーク・ハミルはあなたのことをすごく評価している様子でした。

彼は、なんて言ってたの?

ー あなたとの共演を心から楽しんだそうです。プレッシャーに屈しない集中力に驚かされたと話していました。

怖気付きそうになったこともあったけどね。

ー 今作ではどういうスタンスで撮影に臨みましたか?

ノイローゼになりそうだって(監督を務めた)ライアン(・ジョンソン)に話したこともあったわ。撮影開始当初は半ばパニック状態だった。でも撮影が進むにつれて、こんな状態じゃやり遂げられない、何とかしなきゃいけないって思うようになったの。それでプレッシャーを意識しないことに決めたの。


『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でのリドリー(Disney/Star Wars)

ー ライアンとJ・J、両者と仕事をしてみて違いを感じましたか?

それぞれアプローチが違ったわ。J・Jは明確なヴィジョンを持って撮影に臨むタイプ。でもライアンはもう少し柔軟っていうか、状況を見ながら撮影を進めていくの。イメージ通りにいかないときは、撮影を中断して「どうするかなー」なんて言ったりすることもあって。そういう時、私は「監督! やる気を出してくださいよ!」なんて言ってた(笑)。もちろん彼にやる気がなかったわけじゃなくてね。ただ彼はJ・Jほど饒舌じゃないから、彼の考えを読み取る努力が必要だったの。でも今作ではレイのより深い部分が垣間見えることを考えれば、そのアプローチは合ってたと思う。ストーリーの表面には現れないキャラクターたちの心情を読み取ることが、今作の醍醐味の一つでもあると思うの。

ー 『エピソード9』の撮影半ばでコリン・トレヴォロウが降板し、後任が決まるまでの間は不安もあったと思います。

全部ひっくるめて、『スター・ウォーズ』の撮影は素晴らしい経験だったわ。監督の交代劇についても、私はキャシーのことを信頼してた。出演者やスタッフが力を出し切れる環境を作るために、彼女は必要なことをしたんだと思う。もちろんコリンの降板は残念だったけれど、「あなたたちは何も心配せず、自分の役割に集中すること。思うところがあれば遠慮なく口にするように」なんて言ってくれる周囲の人々に囲まれて、頼もしく感じていたわ。

ー 『スター・ウォーズ』の夢を見ることはありますか?

寝ている間に見る夢のことよね? 見たことないわね。私の夢っていつも支離滅裂だから。マークが出てきた夢もあれば、キャリーが出てきたこともあるだろうし、ハリソンが登場する夢もあったんじゃないかな。私は睡眠障害を抱えてるの。夜驚症で、真夜中に飛び起きて叫んだりするのよ。

ー 他の作品への出演オファーが絶えないそうですが、あなたはタイプキャストの問題をうまく回避しているように見えます。

私のエージェントはすごいやり手で、彼女はあらゆる問題に対処してくれるの。『エピソード8』を撮り終えたときは、「どうしよう、今後の予定が全然入ってない」みたいな状況だった。『混沌の叫び』は脚本を読んですごく気に入ってたけど、撮影はずっと先だったから。私がロサンゼルスにいた時に彼女が連絡してきて、「『オリエント急行殺人事件』のオーディションを受けてみないか」っていうから、私は迷わずイエスって答えた。でも移動続きでヘトヘトだったから、やっぱりキャンセルしようと思ったの。ケネス・ブラナーの前でいい加減な演技は見せられないし。結局彼女に説得されてオーディションを受けたんだけど、今でもお粗末なパフォーマンスだったって思ってるのよね。

ー レイのイメージを払拭しなければいけないというプレッシャーを感じたことはありますか?

ないわ、むしろいろんな可能性を与えてくれたと感じているもの。現場で会う人の多くは、私の『スター・ウォーズ』での演技をとても評価してくれてる。でも彼らは同じものを求めているわけではないから。レイを演じていなければ今の自分はいないことは確かだけど、そのイメージのせいで不当に扱われたことはないと思う。そういうことに囚われない人々と仕事ができていることにはすごく感謝してるわ。制作側はキャラクターのイメージにあった女性を求めていて、私がハマることもあればそうでない場合もある。脚本を読んでキャラクターの魅力が不十分だと判断すれば、私はオファーを断るし、そういう立場にいられることはとても幸運だと思ってる。自分の考えをはっきりと示すことで、相手も作品をより磨こうとするかもしれないし。大切なのはそれが大役かどうかじゃなくて、そのキャラクターがリアルな魅力を持っているかどうかなの。

ー 女性のキャラクターに「たくましい」や「ワル」という表現が使われる場合、男性キャラクターのそれとはイメージが異なりますよね。

確かにレイのたくましさってすごく重要視されてると思うんだけど、私には少し不思議に思えるのよね。レイはいろんなことを経験するけど、ごく普通の女性だと思う。(彼女について)私が好きなのは、はっきりとした倫理観を持っているところ。彼女は孤独な人生を送ってきたにもかかわらず、時には周囲の人々のために体を張って戦う。ちょっと鬱陶しいBB-8を守ろうと、2人の男をやっつけたりね。でも私の知ってる人たちなら、きっとみんな同じことをすると思うわ。誰かが一人で歩いているところを複数の人間が襲おうとしていたら、あなただってもちろん助けようとするでしょ? それって人として当然だと思うの。

ー 新たな三部作が制作されることになった場合、再びレイを演じるつもりはありますか?

ないわ。この仕事を受けたとき、私は何が待っているのか把握してなかった。脚本にも目を通してなかったくらいだから。それでもイエスと答えたのは、素晴らしい人々と仕事ができると思ったから。今となっては、思っていた以上に自分はラッキーだったと感じているの。自分の居場所はここなんだって思えるような作品の一部になれたんだもの。去年の撮影が始まった時、自分が居るべき場所に戻ってきたって感じたわ。

ー それはイエスという意味なのでは?

答えはノーよ。もちろん次回作への参加には心から興奮しているわ、同意した3作への出演を完遂するっていう意味でもね。だからこそ、この3作で私の役目はおしまい。エピソード9のストーリーは知らないけど、タイミング的にもそれがちょうどいいと感じるの。

ー 30年後も気持ちは変わらないと思いますか?

どうかしらね。私は次の30年間で世界が滅びかねないって思ってるんだけど、もし30年後に人々が無数の地下シェルターで生活しているような状況になっていなかったら、やってもいいかもね。でもやっぱりわからないな。この作品を通して素晴らしい経験をさせてもらったし、多くの人々を笑顔にできたと思う。それはやっぱりこの作品を作った人々が、誰よりも『スター・ウォーズ』を愛しているからだと思うの。

ー 30年後なら可能性はありそうですね。

その時私は……55歳か。ダメダメ、そんな先のことを考えてる場合じゃないわ。2週間後のことだって分かってないんだから。