女子プロがうらやむ!?今季4勝の実力者、テレサ・ルー(撮影:村上航)

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今季国内女子ツアーで活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第19回では今季4勝を挙げたテレサ・ルー(台湾)をフォーカス。ツアー屈指の飛ばし屋は、いかにしてその飛距離を生み出すのか。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に解説してもらった。
【連続写真】飛ばし屋テレサ・ルー その飛距離の秘密を探る
17年はツアー4勝を挙げ、賞金ランキング3位となったテレサさんですが、実は女子プロ界で皆がうらやましく思うスイングの持ち主なんです。その理由は、軽く振っているのに、飛距離が出るところにあります。実際、ルーさんのスイングには力感がないにもかかわらず、今季のドライビングディスタンスでは、254.18ヤードで4位に入っています。それだけ効率のいいスイングをしているのでしょう。
具体的に見ると、アドレスからトップまでは一体感があり、トップでは正面から右肩が見えるほど上体を捻転しています。手首のコックを使わず、足、膝、腰、腹筋を使ってクラブを上げた結果です。ここからダウンスイングを行いますが、左足の裏→左ヒザ→左腰の順番で動かし、バックスイングで貯めたパワーをボールに伝えていきます。正しい順番で動かしているからこそ、シャフトも走るのでしょう。その間、左のほほを開かずに、小さい幅の中で体重移動を行っています。
飛距離が出て真っすぐ飛ぶのは、体の使い方にあります、基本的にはクラブに100パーセントの仕事をさせたいので、静かに動かしていますが、理にかなったポイントがいくつかあります。まず、ダウンスイングの切り返しです。なるべくトップで下半身の形を変えずにクラブを下ろそうとしていますが、自分の重心を真下に使うため、ベルトのラインを下げながらダウンスイングに入っています。腰を高い位置で横に回すだけでは、ボールにパワーが伝わりません。低い位置で腰を入れるからこそ、自分のエネルギーをボールに伝えることができるのです。
次に、左サイドの使い方です。スイングにとって左足は弓矢の弓を持つ手と同じです。ここがブレてしまうと正確に矢を射ることができないように、左足がブレると正確なインパクトを迎えることはできません。テレサさんの左ヒザは、インパクト直前でもまだボールを見ようと正対しています。その結果、体のラインをスクエアに保つ時間を長くできるため、安定感が生まれます。弓矢で右手を離すと矢が飛んでいくのと同じように、あとは安定した左サイドに向かって右サイドが入り込んでいくだけの準備を整えているわけです。
飛球線後方からの写真を見ると、フィニッシュでは左ヒザが多少曲がっていることが分かります。左足を突っ張る動きがないからです。左足で地面を蹴りにいくと体がブレるので、テレサさんのようにフィニッシュでは左ヒザを曲げたままのほうがいいと思います。ある意味、中腰の状態でヘッドスピードを加速しながらスイングしているようにも見えますが、これも飛んで曲らない理由の一つです。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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