企業不祥事4分割

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◆オリンパス500円→5000円、ペッパーフード1000円→7000円など。東芝、神戸製鋼、日産自動車は?

 上場企業の不祥事が止まらない。最近の例だけでも、神戸製鋼所の製品データ改ざん、日産自動車とSUBARU(スバル)の無資格従業員による製品検査など、日本を代表する一流企業であってはならない不正が次々と発覚している。

 企業のガバナンスに詳しい日本大学法学部教授の稲葉陽二氏は、「企業の不祥事は4つの類型に分類できる。不祥事が発生する背景はこの分類により異なる」という。

「最終消費者に影響するか組織の問題かを縦軸、不備やミスによるものか規範逸脱行為によるものかを横軸としたマトリックスで分類できます。問題が左側のAゾーンやCゾーンでとどまっていればいいのですが、右側にいくほど事態は深刻で、企業の存続に関わることもあります」

 たとえば、パナソニックでは過去に製造した石油暖房機を原因とする一酸化炭素中毒事故が’05年に発覚した。同社は全CMを自粛してお詫びとリコール告知に差し替え、長期間にわたって粘り強く回収を呼びかける徹底した姿勢を見せた。

「メーカーであれば、不良品を出すことはある程度仕方がないものですが、迅速かつ真摯な対応で問題の拡大を防ぎ、消費者の信頼をつなぎとめた好例といえます」

 これに対し、粉飾決算が発覚した東芝の場合、製品には問題がないが悪質な規範逸脱がある点でDゾーンに分類される。

 メーカーとして致命的なダメージを負うのが、’00年に発覚した三菱自動車の大規模リコール隠しのようなケースだ。製品不良を組織ぐるみで隠蔽しており、Aゾーンからスタートした問題がBゾーンまで拡大したことになる。

◆会見に社長が出ない企業は不祥事の根が深い可能性も

 こうした組織ぐるみの規範逸脱行為は、大企業ほど起こりやすいと稲葉氏は指摘する。

「大企業ほど組織内のネットワークが強くなりがち。こうした組織には本来、外部に影響力を持つ人や風通しを重視する幹部が必要なのに、現実には内部で力を持つ人がトップに抜擢されます。そういう人ほど企業倫理より組織の存続を優先し、不祥事の発生や拡大を招きやすくなります」

 また、社長が取締役会の議長を兼務することで取締役会が形骸化したり、不正会計発覚時点で17人の役員OBが強い影響力を持っていた東芝のように、退任した幹部が顧問や相談役として影響力を発揮し続けて社内の意思決定ルートが混乱することも、不祥事が起こりやすい土壌となるという。

 事故にとどまるか、それとも悪影響が拡大するかの判断は難しい。マトリックスの右側へと発展すれば、最悪の場合、欠陥エアバッグで多数の死者を出したタカタのように破綻に追い込まれてしまう。

 稲葉氏は、不祥事への初動対応を見ることで、ある程度の判断は可能と話す。発表や対応が遅れたり、社長が会見に出てこない企業は要注意だ。

「社長本人が矢面に立ってこそ、現場の社員も原因を突き止め再発を防ごうとするものです。特に社内のあらゆる情報を掌握しているはずのオーナー社長が逃げ隠れしているようだと、トップが指揮する組織ぐるみの規範逸脱が疑われます」

 悪影響の拡大を食い止められるかどうかは、普段から社長自身が積極的に外に出て消費者や株主と対話しているか、生え抜きではない役員や社外役員がどれぐらいいるか、といった点にも注目したい。

 不祥事を起こした企業を投資対象とする場合、中長期的には「買い場」となることも多いうえ、短期的には株価が乱高下して値幅が広がり、大きな利益チャンスになることもありそうだ。

【日本大学法学部教授 稲葉陽二氏】
京都大学経済学部、スタンフォード大学経営大学院修了。日本開発銀行、日本政策投資銀行を経て現職。著書に『企業不祥事はなぜ起きるのか?ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土』など

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