2017年の米ゴルフ界、世界のゴルフ界を振り返ってみると、最も頻繁に耳にした言葉は、残念ながら「故障」だった。

ローリー・マキロイ(北アイルランド)は年明け早々の1月から肋骨を傷めて戦線離脱。その原因が用具選びに必死になりすぎた結果の疲労骨折だったため、本人も周囲も複雑な表情になった。
世界ナンバー1まで上り詰めたジェイソン・デイ(オーストラリア)は2016年終盤に背中痛で欠場や棄権を繰り返し、その延長戦上で迎えた2017年の成績は振るわずじまいだった。
春先には実母デニングが肺がんと診断され、「WGC-デル・マッチプレー」を途中棄権したデイは、大急ぎで米国に呼び寄せた母親に寄り添い、しばらくはゴルフが手に付かない時期もあった。そうしたメンタル面の揺れも、その後の彼の成績に影響を与えたのかもしれない。
「マスターズ」開幕前夜に階段から落ちて腰を傷め、初日にスタートさえできず棄権したダスティン・ジョンソン(米国)の悲劇は記憶に新しい。
フィル・ミケルソン(米国)は2度に渡るスポーツ・ヘルニアの手術を経て、ようやく肉体の不安から解放されたと思いきや、実を言えば長年、関節痛に苦しんでいたことを昨季終盤に初めて公表した。
そんなふうに肉体故障で苦しんだ選手たちが、こぞって長年の相棒キャディと別れ、そこに何かしらの突破口を見い出そうとしたことは、決して偶然の出来事ではなかったのだと思う。
そんな中、47歳のミケルソンがそれでもなお奮闘し、昨シーズン終了直後の「ザ・プレジデンツカップ」で元気なプレーを見せてくれたことは、故障の話が頻発した今年のゴルフ界の中で、数少ない明るいストーリーになってくれた。
そして、今年の最後の最後に最大のニュースになったのは、タイガー・ウッズ(米国)の試合復帰だった。今年1月の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」で15カ月ぶりの試合復帰を遂げながら、翌週には欧州ツアーの「ドバイ・デザート・クラシック」で途中棄権となり、4月には4度目の腰の手術、以後はリハビリ生活。5月には世界中を震撼させた、あの逮捕劇。
そんなウッズが12月の「ヒーロー・ワールド・チャレンジ」で10か月ぶりの試合復帰を果たし、パワフルなショットを披露しつつ4日間を戦い抜き、9位タイで無事にフィニッシュ。それは、ゴルフ界に久しぶりに訪れた大きな大きな朗報だった。
心技体すべてが整ってこそのゴルフであることは、昔も今も変わらない。しかし、用具が進化して選手たちの飛距離やコントロール性の差が小さくなり、その結果、技術の差、実力の差が以前よりずっと縮まってきている昨今は、だからこそ、これまで以上に総合力が求められる時代になりつつある。
腰を痛めた後も世界ナンバー1に踏みとどまったDJが王座を死守できたのは、リハビリや練習はもちろんだが、最大の原動力となった強い精神力の賜物。
そして、大きな故障なく2017年を戦うことができたジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス(ともに米国)、松山英樹、そして新人のジョン・ラーム(スペイン)らが世界ランキング上位を占めたことは、心技体すべてを良好に保った彼らの総合力の賜物だったと言っていい。
メンタル面から眺めれば、「アイツにできたのだから僕にもできる」という考え方で、相互に高め合い、上昇した「2011年ハイスクール卒業生」たちの“同期の力”にも驚かされた。
スピースとトーマスのみならず、昨季最終戦の「ツアー選手権」を制したザンダー・シャウフェレ、それにダニエル・バーガー(ともに米国)、エミリアーノ・グリジョ(アルゼンチン)、未勝利ながら力を付けつつあるパトリック・ロジャース(米国)。同期みんなで高め合う彼らの台頭も、いろんな力を寄せ集めた総合力の賜物だ。
2017年はトータルな力が大きなモノを言った1年だった。言い換えれば、これからは総合力がさらにモノを言うゴルフ界になっていくことを、如実に物語った1年だったと言えるだろう。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
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