日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

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十分に代表復帰の資格があると言える本田圭佑

 1-4と惨敗を喫した16日の韓国戦で日本代表はゲームコントロールの拙さを露呈した。相手の裏を狙うスタイルが基本だが、中盤で起点になり相手の圧力を跳ね返せるキャラクターの重要性も明らかになった。課題解消へのキーパーソンはやはり本田圭佑か。ここ最近代表から外れているが、彼の存在はチームにとって大きな拠り所になるかもしれない。(文:河治良幸)

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 クラブW杯は現地16日に3位決定戦と決勝が行われ、本田圭佑を擁する北中米カリブ海王者のパチューカは開催国UAE王者のアル・ジャジーラに4-1と快勝。右足に不安を抱える本田は21日(日本時間22日)にひかえるコパMX(メキシコカップ)決勝を見据えて出場しなかった。

 今後の去就について、現地取材陣にパチューカ残留を強調した本田はコパMX決勝後に短いオフ、17-18シーズンの後期リーグを経て、本大会の最終メンバーに入ればロシアW杯に向かうこととなる。

 現状は10月と11月の代表選考から外れており、“当落線上”の1人と言えるかもしれない。ただし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はクラブでの出場機会を含めたコンディションを重視することを強調している。

 その観点から言えば、すでにメキシコの環境にフィットし、クラブW杯では右足に不安を抱えながらもウィダード・カサブランカ戦、グレミオ戦と中2日で120分を戦い抜き、攻守に渡り存在感を示した現在の本田であれば、十分に代表復帰の資格があると言えるだろう。あとはここから4ヶ月間、良好なコンディションのまま試合感を高いレベルに維持していけるかどうかがカギになる。

“国内組”で臨んだE-1は北朝鮮と中国に終盤の得点で連勝したものの、優勝がかかった韓国戦で1-4の惨敗を喫した。結果を見ればあらゆる面で韓国に上回れた格好だが、最も顕著だったのは序盤の先制後、さらに同点とされた直後など試合が動いたところでゲームコントロールを欠いていたことだ。

持ち味を発揮しやすいのはインサイド起用か

 監督は基本的な設計をするが、試合のコントロールは選手に握られる。

“国内組”の中でもブラジルW杯の経験者で現代表の主力でもある山口蛍、攻撃のオーガナイズに優れる清武弘嗣を怪我で欠いたことは大会を難しくする要因となったかもしれないが、韓国戦は大舞台に飲まれることなく力を発揮できる選手の重要性が浮き彫りになった試合でもあった。

 これは同時期に代表から外れている香川真司と岡崎慎司にも言えることだが、コンディションが良好だとしても川島永嗣、吉田麻也、酒井宏樹、長谷部誠、大迫勇也といった選手たちが戦術的なベースとするならば、3人はオプションの選手たちである。

 だからこそ若い選手や新戦力が同ポジションでテスト的に起用されている側面もあるだろう。そうした選手とメンバー発表まで、そしてそこで残れたとしても直前キャンプまでレギュラー争いをしていく立場にある。

 しかしながら本田のように大舞台で心強い存在になることが分かっている選手は結局、本大会が近づくほど重要度を増して行く可能性が高い。E-1の結果を受け、ニーズはさらに高まったと言えるかもしれない。

 ただ、本田の代表での位置付けを考える場合にもう1つ大きなカギを握るのが基本ポジションだ。

 クラブW杯の2試合は[4-3-3]の右インサイドハーフに配置されたが、メキシコ国内では右ウィングが多く、ゴールに絡むプレーはサイドからの方が多いぐらいだ。

 ただ、これは中盤の3枚がボールをつなぎ、サイドがチャンスの起点として振る舞うスタイルをパチューカが構築しているからであり、“ハリルジャパン”の攻撃スタイル、特に“格上”ばかりが相手となる本大会では様相が異なる。

 そうなると南米王者のグレミオ相手にも確かな存在感を示したインサイドハーフあるいは[4-2-3-1]のトップ下といったインサイドのポジションの方が本田の持ち味を発揮しやすいだろう

中盤の起点が重要であると示された日韓戦

 E-1の韓国戦はゲームコントロールの拙さも目立ったが、中盤で相手のプレッシャーを吸収して、周囲の味方に前を向かせる選手がいなかった。

 終盤に阿部浩之が入るまではほとんどロングボールのこぼれ球からしかチャンスを作れなかった実情を見ても、相手の裏を狙うスタイルでも中盤の起点は重要であることが逆説的に示された試合だった。

 ハリルホジッチ監督としてはその役割を担う候補が清武であり、中国戦で負傷した大島僚太だったかもしれないが、海外組が加わる3月の選考では本田や香川、柴崎岳などが有力候補になってくる。

 本田がこれまで起用されてきた右サイドは浅野拓磨、久保裕也の常連組に加え、E-1組では数少ない“発見”である伊東純也もいる。また3試合にフル出場した小林悠もセンターFWとの兼用でフルメンバーに入ってくる可能性もある。

 インサイドは[4-3-3]にしても[4-2-3-1]にしても中盤の2枚はボール奪取力に優れる守備的MFから構成される傾向が強く、基本的には1枚となるため、23人枠ではオプション的な起用を加味しても最大3人ほどだろう。

 そこを柴崎、香川、清武、森岡、ボランチも兼ねる長澤や大島、小林祐希と争う形となり、非常に厳しい競争となる。

 ただ、やはり全体のゲームコントロールや相手のプレッシャーを吸収できる能力、さらには勝負どころのゴールに絡む仕事と言った役割をこなせるのは本田の強みだ。

 現在の本田が戦術的により機能しやすいのはインサイドだが、右サイドも兼ねるマルチロールとしてアピールできればハリルホジッチ監督も23人を計算しやすいだろう。もちろん、ここから良好なコンディションをキープしていくことが大前提になる。

(取材・文:河治良幸)

text by 河治良幸