電池事業でトヨタとの協業を検討するパナソニック(豊田トヨタ社長<左>と津賀パナソニック社長)

写真拡大

 世界的なEV(電気自動車)シフトで完成車メーカーが自前主義や系列といった従来の枠組みを超えて部品メーカーと手を組む動きが目立ってきた。ホンダは日立オートモティブシステムズ(日立AMS)と、仏グループPSAは日本電産とそれぞれ電動車の基幹部品であるモーター事業での提携を発表した。

 「小型から大型まであらゆる用途のモーターに精通する日本電産は我々にとって最良のパートナーだ」。PSAのジル・ルボルニュ品証・生産担当副社長は4日、都内で開いた会見で日本電産との協業に期待を込めた。PSAと日本電産の仏子会社がEVの駆動に必要な「トラクションモーター」の合弁会社を2018年春に設立し21―22年をめどにPSAのEV向けに量産する。

 ホンダは日立AMSとモーターの合弁会社「日立オートモティブ電動機システムズ」を7月に茨城県ひたちなか市に設立した。すでに両社のエンジニアが新しいモーターの開発に着手しており、19年度に日本で、20年度にEV需要が拡大する中国と米国でモーターの生産を始める。

 電動車を巡っては19年から新エネルギー車の製造・販売を義務づける中国など各国の規制対応に向け、国内外車各社が本格的に開発に取りかかる。ホンダやPSAが部品メーカーと協力を深める背景には、限られた時間の中で競争力の高い商品を投入する必要に迫られている現状がある。

 30年までに世界販売の3分の2を電動車にする目標を掲げるホンダは自社でモーターを内製しているが「(モーターは)非常に投資がかさむ部品」(八郷隆弘社長)。日立AMSが蓄積してきたモーターの生産技術を活用すれば、コスト面の課題をクリアできる。

 「日本の家電メーカーの事例を見れば分かる。自前にこだわりすぎた会社が負けた」。日本電産の永守重信会長兼社長は日本が過去に液晶テレビで韓国勢に追いつかれ覇権を握られた過去をあげ水平分業の重要性を指摘する。

 一方、パナソニックは中国とインドの現地企業にEVの生産を支援する提案を始めた。部品単位だけではなく、EVの生産を丸ごと支援することも想定する。その場合、津賀一宏社長は「OEM(相手先ブランド)メーカーの形になる」と、完成車の生産に参入する可能性も示唆する。

 二次電池やモーターといった重要部品の提供に加え、EVの設計、生産も支援する。2018年度にも事業化する。国がEV普及を後押しする中印でサプライチェーンの上流に入り、部品販売を伸ばす。同時に生産や関連サービスなどEV事業のノウハウを蓄える。

 EVの開発を開始したこと発表した英ダイソン。2020年の発売開始を目指し、開発に20億ボンド(約2900億円)以上の投資を行なう。家電で培ったモーターや電池などの技術を活用する

 創業者であるジェームズ・ダイソン氏が従業員に宛てたメールで明らかにした。すでに社員や自動車業界の専門家ら400人以上が開発に携わっており、今後も人員を増やすという。

 ダイソン氏は同社が開発するEVについて、テスラなどの自動車メーカーが設計しているものとは「根本的に異なる」ものになると説明。「他社と同じように見えるものでは意味がない。スポーツカーではなく、非常に安い車でもない」と話している。電池は、充電が容易でリサイクルもしやすいといわれる全固体電池を使用する。

 EV開発では大手自動車メーカーが競っているが、家電メーカーのモビリティビジネスへの参入意欲が熱くなってきている。長期的な目線で、自動車産業への参入障壁は確実に低下していくだろう。