多くみられる新卒1年目のタイプと彼らの本音とは?(写真:cba / PIXTA)

2017年も残すところあと少し。4月に新卒入社した新人たちは少しずつ頼もしくなり、ある程度の業務を任されている頃だろうか。

年始にありがちな「サプライズ離職」

ところが、この時期になって頭を抱えはじめる上司は意外と多い。入社後数カ月は研修など学びに徹する時間が多かった新人たちも、下半期ともなれば実務が中心。そこで初めて本人の素養や仕事への資質が見えてくるからだ。年末年始休暇を挟むと、突然「退職することにしました」と、新人からの予期せぬメッセージにさらされ、もう少し早く言ってくれれば……とうろたえる上司も少なくない。

そこで今回は筆者がコンサル支援する企業において、多くみられる新卒1年目のタイプと彼らの本音をご紹介。実例を交え、マネジメントが新卒社員と接する際のNGと好例を解説する。

ある総合商社の新人Aさんは、社会的意義の高い仕事がしたいという理由で今の会社に入社した。インフラやエネルギーなど公共性の高いビジネスにかかわれることが楽しみだったが、配属された部署で待っていたのは先輩の仕事のアシスタント業務。新人だからと手加減されているように感じた。

もっと責任のある仕事がしたいし、意味のない仕事を押し付けられて残業するなんてありえない。そこで上司や先輩に早く認められればいいと考え、「この仕事にはどんな意味があるんですか?」「この仕事のやり方の根拠を教えてください」と積極的に発言した。

ところが上司はそんな自分を煙たがっている様子。Aさんは、上司のせいでやりたい仕事ができないと不信感を募らせていた。

Aさんのように目的意識が高い「なぜ?なぜ?タイプ」は、近年非常に増えている。彼らは仕事のモチベーションに金銭よりも社会的意義を挙げる傾向にあり、学生時代はインターンやNPOといった活動にも積極的で、志の高さから優秀な学生という評判で入社してくる。しかし、いざ現場で育成を任された上司の皆さんからすると、「理屈っぽくて素直さや行動力に欠ける」「夢ばかり大きく、実力が伴っていない」と感じる瞬間も少なくない。意味のない社内の飲み会には参加しないという姿勢を貫くあまり、協調性がないと見えてしまうこともある。

「なぜ?なぜ?タイプ」へのNGワード

しかし、Aさんの本音から見えてくることがある。「なぜ?なぜ?タイプ」は非常に成長意欲が高いと同時に、論理的にものごとをとらえようとするのが強みであることだ。一見すると協調性がないように思えるが、そう見えるのは、無駄を嫌う生産性への意識の高さや、「目的へ最短距離で到達したい」という姿勢によるものである場合も多い。このタイプの新人に、パワーマネジメントスタイルで「とりあえずやろう」や「新人なんだから言われたとおりに」と伝えてしまうのはNGだ。

こういったタイプには、仕事の全体感を踏まえて、今の仕事が、世の中に対してどんな影響や価値を生んでいるのか、その意義やつながりを丁寧に説明すると、本人も腹落ちしやすい。「社会に価値を創りたい」など志は崇高だが、新人自身ではそれがどういうことかを具体化・言語化できていないケースも多いのだ。

また、一方通行で説明するだけでなく、本人になるべく判断させることも大切だ。Aさんのケースでは、「なぜ?」と質問されたとき、「キミはどう思う?」「どうするべき?」と考えさせ、そこから論理的に対話を行うことで、Aさんが求めていた仕事の意味を自身で見いだせるように促した。

それでも自信過剰な新入社員には、あえて顧客とのやり取りを1人で任せ、クレームになるまで手を出さずに見守ることで、自身のレベルを自覚させるようなつわものの先輩もいる。

こうして、ひとたび仕事の意義と自身のレベルの自覚が腹落ちすれば成長は早い。もともと論理派だったAさんは、その差をどうしたら埋められるのかを考えた結果、ビジネススキルの基礎を磨くためには先輩と一緒に動く仕事も大切だと気づき、今では現場でしっかり活躍している。

ネット広告代理店に入社し、企画部に配属されたBさん。Bさんの会社では現場での実践的な育成を重視しており、初めの1カ月こそ先輩の担当する仕事を横で見ているだけだったが、すぐに小さな仕事を任されるようになった。

上司や先輩もフォローしてくれるし、もらえるアドバイスは勉強になることが多いのだが、どうしても実践になるとうまくいかない。たとえば企画書を作成するときも、何から手をつけるべきかわからなくなり、手が止まってしまう。一度教えてもらったことを聞き直すのも気が引けるし、何より先輩たちは忙しく、席にいないことも多い。資料の提出締め切りまであと1時間。まだ1文字も書けていない……。

Bさんのようなタイプは、よくいえば素直でまじめ。どんな仕事でも任されたからにはまっとうしたいという思いを持っている。周囲の状況にも敏感で“空気を読む”のも長所だが、それゆえに行動がやや消極的。周りに相談することが苦手な「抱え込みタイプ」といえるだろう。

このタイプが自発的に行動しづらい原因の根本は、失敗を恐れる気持ち。上司や先輩からの指示については、「わかりました」。とは言うものの、実はよくわかっていない。後々それに気づいても、今さら「わかりません」「もう少し詳しく教えてください」と言えずにいる。

また、昨今の働き方改革によってリモートワークの活用や残業時間の抑制が進み、かつてのように新人の仕事に伴走しづらくなったことも、このタイプが増えている1つの要因だといえる。「本当はじっくりフォローしてあげたいけれど、そこまで時間をかけられない」とジレンマを抱えているのが、先輩側の本音だろう。

「抱え込みタイプ」へのNGワード

この新人に、アウトプットだけを見て「もっと真剣に」や、「やる気あるのか」といった叱責はNGだ。意欲がないわけではないので、こうした発言はさらに状況を悪化させる。Bさんタイプの新人には、先輩・周囲側からのこまめな声かけや理解が重要だ。まずは相談してもいいという安心感を上司との関係やチームでどこまで醸成できるか。

併せて、仕事のタスクを細かく分けてから任せることも有効だ。「ここまでできたら1度見せて」と報告の頻度を上げることでコミュニケーションの総量を増やし、都度仕事ぶりを評価。Bさんは、しだいに順序立てて業務を整理できるようになり、迷ったときにはすぐ相談するようになった。それでも、業務上の先輩には相談しにくい場合、配属部署とは異なる先輩をメンターにつけることで、利害関係のない“ナナメの関係性”の仕組みで新入社員のフォローを行う企業も多い。

消費財メーカーに勤めるCさんは、有名私立大学を卒業した女性だ。配属された営業の仕事にも意欲的で、持ち前の人懐っこい性格からすぐに職場にも溶け込むことができた。

しかし、入社して半年経った頃、大きく不安になる出来事があった。業績が悪いわけではないし、むしろ同期の中ではいいほう。けれど、隣の課に配属された同期が早速受注を取っており、「期待の新人」と言われているのを聞いてから、心がざわついたのだ。

努力が足りないのではないかと考えたCさんは、これまで以上に仕事に必死になる。夜中まで働き、体調が悪くても無理をして出社した。ところが上司は「このご時世なので残業しすぎはNG」「体調が悪いなら休め」と言ってくる。私はこの会社に必要とされていない人間なのかもしれないと、さらに落ち込んだ。

このタイプの人たちは、基本的に子どもの頃から「いい子」と言われて育ってきており、何ごともそつなくこなす器用さを持ち合わせている「優等生タイプ」といえるだろう。その反面、挫折経験が少なく、勝負に負けたり怒られたりした際のダメージは人一倍大きい。

「優等生タイプ」へのNGワード

このタイプの新人への禁句は「○○さんくらい頑張れ」や「○○さんはもっとできた」といったほかの新人や、かつての新人と比較した発言だ。無理をして自分を追い込むのも、「頑張っている自分を認めてほしい」という気持ちがそうさせている。他者と比較して自分を卑下するのも、内心では「そんなことないよ」と言ってほしいからだ。

Cさんが持ち直したきっかけになったのは、上司が社内イベントのリーダーにCさんを抜擢したことだそうだ。もともと頑張りやで器用な彼女はその役割に真剣に取り組み、イベントの評判も上々。小さな役割かもしれないが、成功した・認められたという経験をいかに設計してあげられるか。その経験を積むことで、しだいに自信がついてきたという。

あなたの会社の新人に、今回紹介したタイプのような人はいないだろうか。もちろん社会人1年目なので多少は至らないことがあっても当然だろう。「最近の新人は……」と語る前に、彼らが持つ本来の強みをどう生かすかに気づいてあげられると、飛躍的に成長を遂げられるかもしれない。

これは入社1年目の皆さん自身にも言えること。もちろん、今の組織に固執する必要はないが、「隣の芝」は青く見えやすい。「こんなはずじゃなかった」と安易に結論を出す前に、まず自分の強み・弱みを再認識し、仕事の進め方や先輩・上司とのコミュニケーションの取り方を工夫してみることで自分の望む仕事が近づいてくるかもしれない。

新人の弱点や、会社・上司への不満は、裏を返すとその個人・組織が持つ強みであり個性であることもある。2018年、前向きにスタートを切るためにも、年末年始の休暇は部下ないし自分の個性に注目し、ポテンシャルを生かすやり方を考えてみてはどうだろうか。