次から次へと犬崎(古田新太)の魔の手が襲い掛かる/(C)フジテレビ

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「昨日の敵は今日の友」「昨日の友は今日の仇(敵)」人の運命なんて移ろいやすいし、立場が変われば相対の仕方も変わる。前者は例えば中学生男子などにありがちな不良同士の縄張り争いで敗れたら、勝った相手につくようなもの。

【写真を見る】愛くるしい親子ツーショットは本作の癒やしのシーンだ/(C)フジテレビ

後者は例えば、それまで同等のレベルの立場だった人同士が、いつの間にか相手だけ出世(あるいは権力を持って)しまう時によくある話。これまでそんな話はごまんと聞いてきたが、特に後者はタチが悪い。シーソーのように、それまで深い仲であればあるほど、反発したときの跳ね返りも大きいのだ。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は、誰が仲間で誰が敵なのか、人々の感情が入り乱れて油断も隙もない世界を描く、篠原涼子主演の市政エンターテインメントドラマ「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」(毎週月曜夜9:00-9:54フジテレビ系)第9話を取り上げる。

12月18日(月)放送の第9話は、市長・佐藤智子(篠原)が頼んでいた副市長就任を藤堂誠(高橋一生)は了承する。だが、まだ市議会の承認を得たわけではなく、正式に決まったわけではなかった。

特に犬崎和久(古田新太)が認めるわけはなく、犬崎はあの手この手を使い徹底抗戦の構えを見せ、市長のリコールに向けて動いていた。

智子、小出未亜(前田敦子)、園田龍太郎(斎藤司)は居酒屋で誠の副市長就任承諾の祝杯を挙げ、その席で誠たちはもう一度、智子の政治姿勢を考える。

それはもちろん、目の前の一人を幸せにするために、多数の人々を犠牲にできるかどうかだ。智子は一人ずつ幸せにしていくことで、徐々に数を増やすというのだが、果たしてそれで良いのか。未亜と園田は難しいと水を差すが、誠はとりあえず進めてみようという。

翌朝、智子は未亜から市のキャラクター、あおバッタ君がおかしなチラシを配っていると連絡を受ける。あおバッタ君が配っていたのはアミューズメントパーク「あおばランド」建設計画のチラシだった。

一方、平田和美(石田ゆり子)は誠が副市長就任を了承したことに疑問を抱いていた。エリート政治一家の息子が議員を辞めてまで副市長になる意味があるのだろうか? また、誠の兄、明(山中崇史)が最近、頻繁に地元であるあおば市に戻ってきていることも気になっていた。

そんな時、前田康(大澄賢也)が記者会見を開く。それはニューポート建設に伴う地区開発で「あおばランド」を作るというもの。それは、智子はもちろん、誠にとっても寝耳に水の話で…というストーリーだ。

■ 独断と偏見のレビュー

よくぞここまで悪の総合商社のようなキャラクターを生み出したものだな、というのがここまで本作を見てきた中で犬崎の印象だ。それこそ「越後屋、お主も悪よのう」「いえいえお代官様ほどでは」どころではない、“狡猾”という言葉の意味を新語辞典で調べたら、「犬崎のようなこと」と出てくるくらいのレベルの悪どさだ。

某“失敗しない女医”だったら、間違いなく「ねえ、顔怖いよ」って言っているであろう、悪そうな顔つきもさることながら、芸が細かい。そして、相手を貶めるためなら何歩でも先まで見据える手。“ひふみん”顔負けだ。その手じゃないっての。

さておき、それくらい悪役が立っているからこそ市長こと主人公の智子を応援したくなるってものなのかもしれない。高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんな。未亜も言っていたが「みんなで寄ってたかった佐藤さんをいじめるから悔しくて」というのも分かる気がする。

良い時はどんどん持ち上げて、旗色が悪くなるとこれでもかってくらいたたきつぶしにかかる。いやはや本当に怖い時代ですな。それはもちろん今に始まったものではなく、みこしを高い所までかついで、かついで、かつぎまくってから突き落とすってやり方は、戦国時代だろうか平成の世だろうが一緒だ。

個人的には、未亜が最初は「長いものには巻かれる」という姿勢だったはずなのに、智子市長の市政に触れてから?なのか、人間味が増してきたのが見ていて心地よいところではあるし、菅原大吉の演技も相変わらずスゴイ。

この人、何だか頼りないおっちゃんの演技をさせたらそれはそれは見事なまでにくしゃっとした表情を見せるのに、今回のように硬派な役柄をやらせたら、対峙しただけで思わず頭を下げて逃げたくなるくらいの威圧感があるように思う。彼の出ている場面では、つい正座している自分がいる。

そしてキャラクターという意味では、気になって夜も眠れない案件が1つ。それはみんなが気になっていると思うが、“一生サマ”こと、誠の人物像だ。

正直なところ、最初は智子に理解を示していて、面白がって協力するものの、最終的には犬崎の方に付いて、奈落の底に突き落とすと思っていたら、副市長就任の打診も受けてしまった。

ただし、それですら何か策略の1つなんじゃないかなと思うくらいのニヒルな笑みを浮かべるのが“一生サマ”の演技。実際、結末がどうなるのか全く読めないのだが、それと一緒に誠がまことに智子にとって味方なのか、敵なのか、最後まで分かりますまい。

だって、深い仲になればなるほど突き落としたときの衝撃が大きいのだから、見ている人は面白いわけでしょ? 

でも、万が一そんなことになってしまったら、それこそ画面に向かってこう叫んでしまいそう…。

「世の中、おかしくないですか!?」(ザテレビジョン)