「実は韓国ではハリルホジッチ監督に対する好感度が高いほうなんです。メディアと衝突しても信念を貫くアルジェリア代表監督時代の逸話や、ブラジルW杯で韓国戦やドイツ戦で見せた采配が強烈で……。ただ、ハリル監督のスタイルと、有機的な連係とパスサッカーを得意とする日本サッカーと合うかという点については常に疑問でしたが、フルメンバーではなかったとはいえ、今回もそうしたジレンマを露呈したように映ります」
 奇しくも、その乖離はソ・ホジョン記者が指摘していたことでもある。
 
「正直、今日の日本でもっとも脅威的だったのは、ときたま対角線的にスペースに刺してきたスルーパスであったり、小刻みでリズムの良い2対1のパス交換でした。それはいわゆる日本の伝統的な長所であり、強みだと思うのですが、以前も話したようにハリルホジッチ監督になってそういった日本の良さが霞んでいるように映ります。
 
 語弊を恐れずに言えば、ハリルホジッチ監督が要求するサッカーができない状況に選手たちがプレッシャーを感じ、本来うまくできることもできなくなってしまっている。もちろん、日本が自分たちが持ってないものを求める理由も分かります。ただ、本来のカラーを土台にして進化したほうがいいのでは。フィジカルとメンタルの強みをベースに、イ・ジェソンやクォン・チャンフンらテクニシャンを加えて答えを探そうとしている韓国のように……。

 ロシアまであと6か月しかないことを考えると、ハリルホジッチ監督が少し譲歩して、日本が本来持つ良さとシンクロさせるべきだと思います」

【日本代表PHOTO】E-1選手権・第3戦の韓国戦。4失点の惨敗で優勝ならず…

文:慎武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。