長谷部も山口もいない中盤で、井手口にかかる期待は大きかったが、結果に結びつけることはできなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1サッカー選手権]日本1-4中国/12月16日/味の素スタジアム
 
 11月の欧州遠征で掴んだ手応えは、いとも簡単に霧散した印象だ。
 
 1-3とブラジルに完敗した後のベルギー戦も、0-1と勝てなかった。ただ「ハメ方は悪くなかったかなと思うし、守備の面では上手くいった部分が多かった」(吉田麻也)。
 
 わずかながら前進が見られたのは、“行く時と行かない時”の判断がクリアになったから。この点について長友佑都は「みんなの感覚がどれだけひとつになっているかはすごく大事」と強調し、ブラジル戦と比べてベルギー戦は「チーム全体の目に見えない意思疎通は良くなったはず。プレスに行く部分は相当に話したので。もう嫌というほど話し合って、それが少しは実を結んだと思う」と続けた。
 
 世界のトップクラスであるベルギーと逞しく戦えていた日本が、しかし韓国を相手に言い訳無用の惨敗を喫した。もっとも、今回のE-1選手権は国内組だけの編成だけに、連係面で難しかった部分は否めない。“感覚”が共有できなかったとしても無理はない。
 
 欧州遠征のメンバーで、かつブラジル戦とベルギー戦でピッチに立った国内組の井手口陽介は、守備面で小さくないジレンマを抱えていたのかもしれない。
 
「(相手の)後ろ3枚くらいを自分ひとりで追っていた。もうちょっと、うまく(後ろから)前に押し出して守備ができれば、良い攻撃につなげられたと思う」
 
 CFに入った小林悠のこの見解も一理ある。間違いではない。ただ、井手口は次のように試合を振り返る。
 
「立ち上がりの10分で、自分たちの戦術ではハマらんというのが分かった。そうなった時に、簡単に言えば、ブロックを引いてやるとか。極端に言えば、もっと前から行くとか。どっちにしろ、中途半端やったんで、やられたと思う」
 
 思うように前から行けない理由のひとつは、サイドでの数的不利にあったようだ。
 
「前から行くと言っても、サイドに(敵が)ふたり、3人といたんで。そういうハメ方は練習していたのに、それがなかなかできなかった」
 
 インサイドハーフの井手口からすれば、ウイングやSBとも連係しながらハメる作業が重要になってくるが、多くの時間を共有していないチームメイトとでは呼吸を合わせられたとは言えず、後手に回るシーンが散見されて苦しい戦いを余儀なくされた。

【日本代表PHOTO】E-1選手権・第3戦の韓国戦。4失点の惨敗で優勝ならず…

 韓国戦の日本は守備がまるで機能せず、4失点をくらった。
 
 個の勝負で厳しさが不足し、それを補う連動したディフェンスもままならない。窮地に陥った際の振る舞いでも臨機応変さがなく、「戦術を変えて、相手の攻撃に合わせることが最後までできなかったから、相手のペースのまま終わったんじゃないかなと思います」と井手口は悔しがる。
 
 ハリルジャパンの中盤で定位置を掴みつつある小柄なファイターには、攻撃面での役割も求められているが、「(ボールを)取った後にどこにつけるとかは、まだまだアカンなと思った」と反省を口にする。
 
「取った後は、一番は裏。それができなかった時にどう組み立てるのか。真ん中から行くのか、サイドから仕掛けるのかは、中盤の選手にかかっている」
 
 縦に素早くボールを運び、敵の最終ラインの背後を狙うのが攻撃の基本戦術となるが、「それプラス、ボールを持つ時間は絶対に大事。そういうメリハリをつけながらプレーしたかった」とも言う。
 
 タイトルのかかる大一番、レギュラー格の長谷部誠や山口蛍のいない中盤のトライアングルで、攻守両面での井手口の役割と責任、期待感はいつも以上に大きかった。今回は残念な結果に終わったが、さらに成長するための糧にできれば、今回の無様な敗戦も意味のあるものになるはずだ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)