昭和電工大分コンビナートのエチレンプラント

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 化学大手の2017年4―9月期決算は当期利益が軒並み過去最高を更新した。世界経済の底堅さを背景に素材需要が伸び、設備トラブルや自然災害で供給量が絞られたことも重なって石油化学市況が高水準で推移。良好な製品スプレッド(利ザヤ)を享受できた。

 三菱ケミカルホールディングスはアクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)事業が全社コア営業利益(非経常的な損益を除いた営業利益)の27%を1事業で稼ぎ出した。価格が前年同期比で約40%上昇し、世界シェア4割を握る最大手として好況を謳歌(おうか)している。

 住友化学も石化部門の営業利益が同3・7倍に急拡大した。市況高を追い風にシンガポールの関連会社などが好調を維持。他社も石化事業の稼ぎが利益全体を押し上げる構図はほぼ変わらない。

 期初に懸念されていた米シェールガス由来のエチレンプラント計画が遅れている点も市況の安定に一役買っている。米国で当初17年内の稼働を予定していた3プラントのうち、実際に動きだしたのは米ダウ・デュポンのみ。

 残る同シェブロンフィリップス・ケミカルとエクソンモービル・ケミカルの稼働は18年前半にずれ込む見通しだ。そのため、シェール由来の安価なエチレン誘導品がアジア市場へ流入する時期も18年央以降となり、短期的なリスク要因は後退していると言える。

 各社はこの10年間、シェール問題などを見据えて市況変動の受けやすい石化汎用品で構造改革を断行し、依存度を下げようとしてきた。

 代わりに注力している高機能品の収益は着実に伸びているものの、空前の石化好況の前にその頑張りもかすんでしまう皮肉な結果だ。

 ただ、現状の業績を「追い風参考値」と語る幹部は多い。市況は“山”の後には必ず“谷”が来る。