シニア世代になればなるほど、自分の年齢よりも低いスコアで回る「エイジシュート」は達成しやすくなります(写真:プラナ/ピクスタ)

ゴルフは「生涯スポーツ」とされている。確かに、ゴルフは60代、70代、80代になってもプレーしている。野球やサッカーも高齢者の方々がプレーしているが、年齢が高くなればなるほどプレー人口は減ってくる。

総務省の報道資料によると、2016年のスポーツの年齢階級別行動者数(上位10傑)で、10代、20代では圏外のゴルフは、30〜34歳で9位、35歳以上で4位と順位を上げている。

他のスポーツ人口が減り、ゴルフは50歳以上の人たちが「続けて」いるからだろう。もっと詳しいデータの2011年では10〜30代まで15位前後だが、50代1位、60代2位、70歳以上3位になっている。

ゴルファー達の夢

ゴルフをする人にとって「夢」と言われるのが「エイジシュート」だ。自分の年齢以下のスコアで回ることをいい、達成者は「エイジシューター」と呼ばれる。ゴルフ場の規定打数パーは72に設定されていることがほとんどなので、72歳の人が18ホールをパープレーのスコア72で回ってやっと達成できる。

今年は70歳の尾崎将司が男子ツアーの「ホンマ・ツアーワールドカップ」で、スコア70をマークしてレギュラーツアーで自身2度目のエイジシュートを達成して話題になった。

そういう性質上、年齢が高くなればチャンスがくるとされる。年を取るほどこうした楽しみができるスポーツは、ゴルフぐらいしかないかもしれない。とはいえ、90台が定位置スコアの筆者はチャンスがくるまで生きていないだろう。

50歳以上のシニアゴルフを取材していると、何度も達成の瞬間に立ち会える。最近では、11月16〜18日に行われたシニアツアー「ISPSフィランスロピー(ハンダカップ)」で2人が達成した。その1人、スコア73で回った75歳の小川清二は「私は試合に行くときは、エイジシュートが仕事だと思っているんです。家族にもそう言っているので、健康にも気を使うんです」と話している。日本プロゴルフ協会の記録に残る試合で小川は昨年まで6回達成している。

プロゴルファーにとってもエイジシュートは特別らしい。今年の「日本シニアオープン」で68をマークした68歳の海老原清治は「プロでも出る人は出るけど、出ない人は出ない。ドキドキしちゃうんだよ、成立しそうになるとね。でも、その緊張感がいいし、目標があるから若くなれるんだよ。この歳で1センチでも2センチでも飛ばしてやろうと思っているんだから」。

小川にしろ、海老原にしろ、エイジシュートの目標があるから健康管理をし、技術も向上させようとする。しかも、たいていの試合で5万〜10万円程度の「賞金」がでて、表彰される。プロの世界でもエイジシューターは特別な存在であり、プロフェッショナルの証でもある。

ゴルフをする元気なシニアを作るには

では、アマチュアは難しいのだろうか。「エイジシュートで生涯ゴルフ」をキャッチフレーズにしている一般社団法人「日本エイジシューター協会」に話を聞いてみた。

協会では、エイジシュートの認定・公認を行っている。稲田賢一代表理事は「目的は、ゴルフをする元気なシニアを作ること」という。認定するには、条件がある。男子は6000ヤード以上、女子は5000ヤード以上のコースで達成すること。そのスコアカードに同伴していた人(マーカー)がサインをして、年齢を証明する書類と一緒に協会に送れば、認定証と盾が授与される。会員(年会費1万2000円)は無料、会員外でも1500円で楯と認定証を手にできる。

現在、協会認定のエイジシューターは36人。エイジシュートに挑戦する公式大会も実施している。「全日本エイジシューターマスターズゴルフ選手権」(スポーツ庁後援)で、自分の年齢をハンディキャップにする大会の中で、エイジシュートに挑戦する。今年は12月4日から来年1月9日までの間に関東、関西、中部の6会場で予選を行い、来春には決勝大会を行う。

以前、ゴルフ仲間の友人から「エイジシュートは距離とかパーなど正式な規定はない」と聞いたことがあった。稲田代表理事によると「歴史的には詳しいことは分かりません。我々の協会として認定する条件が、設定したコースの距離ということです」という。

たとえばパー54のショートコースなら、筆者も可能性があるかもしれないのですが?とたずねると、「あくまで(個人的な)ゲームとしてなら構わないと思います」と苦笑いし「今回の大会では距離を短くした部門も新設します」と話した。

「これからは団塊の世代がエイジシュートを狙える年齢になってきます。飛ばなくなって、パーオンできなくなって、つまらなくなってゴルフをやめる。友人が行かなくなると、自分も行かなくなる。それはゴルフ界にとってよくないと思います。4800ヤードぐらいのコースであれば、エイジシュートを目指すという楽しさを味わえると考えました。シニアの方々がゴルフ場に出かける目標になるようにしたい」というのが、男子4800ヤード以上、女子4000ヤード以上とコースを短く設定した「チャレンジ部門」だという。

先述した条件には当てはまらないが、認定証はもらえる(楯はなし)。予選参加費3000円とゴルフ場のプレー費がかかるが、挑戦したい方はまだ間に合うかもしれないので問い合わせをしてみてはいかがだろう。

無理な夢ではないことも楽しみになる

「ハードルを下げることで、ゴルファーの励みになるようにしたい」というのが、協会の考えでもあるそう。「たとえば、30代、40代の方にはハーフ(9ホール、パー36前後)で認定することも考えています」という。筆者は年齢的に合わないので残念だが、パー72の半分ぐらいの年齢の方なら、18ホールでのエイジシュートまでの途中目標として、達成感はあるかもしれない。

ただ、あまりハードルを下げ過ぎては「夢」ではなくなってしまう。

「そのあたりをどう決めるかが必要だと思います。ただ、無理な夢ではないということも、ゴルフをする楽しみになるのではと思います」と稲田代表理事。「夢」が少し近づいている気のする方、初夢で見られるかもしれない。

(文中一部敬称略)