植田は攻撃時にもっと積極的にポジションを前に取って、プレッシャーを掛けなければいけなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1選手権]日本1-4韓国/12月16日/味の素スタジアム
 
 韓国は決して強豪ではない。それだけに結果、内容ともに「ショック」以外の言葉が出ない。正直、何も見るべきポイントはなく、屈辱的な敗戦だったと言っても過言ではないだろう。勝利が大前提だっただけに、本大会に向けて新戦力の発掘は振り出しに戻ってしまった。
 
 まず「国内組だけで構成した急造メンバーだから」という言い訳は通用しない。大会3試合目であり、それなりにトレーニングだってこなした。しかし、攻撃では3人目や4人目の動き出しがなく、2人だけの関係性も破綻気味。スムーズさを欠き、連動性も皆無だった。
 
 例えばトップに入った小林悠は、大迫勇也のように最前線で身体を張ってひとりで時間を作れるタイプではない。味方と適切な距離感を保ちながらパスワークで崩す、または裏へのボールに抜け出す能力に優れるが、それを活かし切れていなかった。
 
 植田直通は攻撃時にもっと積極的にポジションを前に取って、プレッシャーを掛けなければいけなかった。しかし、韓国の高さを怖れて最終ラインを下げたことも相まって位置取りが中途半端に。結果としてウィークポイントとも呼べる泣きどころになった。
 
 加えて、誰がリーダーシップを発揮するのかも整理されていなかったように見えた。昌子源なのか今野泰幸なのか、それとも各セクションごとに誰かが引っ張る役目を担うのか。前半に3点目を奪われ、あれで気持ちが切れてしまったのではないだろうか。
 
 なんにせよゲームコントロールという意味で稚拙過ぎた。早い時間に先制したのだから、セーフティに相手のリズムを断ち切る選択肢を選んでも良かった。リードしているからこそ、危険を冒さない。わざわざプレーを難しくする必要だってなかった。
 
 選手個々に関していえば、局面局面でまったく勝てていなかったことも寂しい。Jリーグは順調に成長してきたと思っていたが、伸びていないのだと実感した。気持ちを引き締めて来年を迎えなければ、本大会で勝点を奪えない。もっとJリーグで戦っている選手が強い覚悟で臨んでほしい。

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 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の指導力のなさ、ベンチワークのレベルの低さも気に掛かった。選手間に共通理解がなく、今まで何をやってきたのか聞きたいくらいだ。簡単に“解任論”を口にしたくないし、彼にも悪いけれど、「このまま任せていいのか」と疑問が湧いた。
 
 引き分け以上で優勝となるシチュエーションで、注文通りに試合開始早々に1-0とスコアを動かした。これで相手は出てくるしかない。つまりハリルホジッチ監督が目指している「守備ブロックを構築して相手の攻撃を撥ね返し、奪ってから縦に速いサッカー」を、本番を想定して出せる状況になった。
 
 だが、分かっていたはずの韓国のプレッシャーに慌ててしまった。これは積み上げが意味をなさなかった証左でもある。また、戸惑った選手たちに、ハリルホジッチ監督は何をできたのか。采配や戦術のバリエーションが少ないのは認識していたが、それにしても頼りない。
 
「デュエル」を強調して「勝て」と声高に叫ぶが、どうやって世界との差を埋めるのかの具体的な提示がない。新しい引き出しを作れない、あるいは現在の戦術をブラッシュアップができないのであれば、新監督の招聘も視野に入れなければいけないだろう。
 
 とにかくアジアを相手に勝てないのでは、世界に勝つなど夢のまた夢だ。チームもベンチも重症だと気付かせてくれた一戦で、指揮官も選手たちもロシアまで生き残れない可能性が出てきてしまった。