中国外務省の陸慷報道官は、韓国の文在寅大統領が訪中した際に、取材中の韓国人記者が中国人警備員十数人に暴行され負傷した件について、警備員は韓国側団体が手配したものだったなどと説明した。

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中国外交部(中国外務省)の陸慷(ルー・カン)報道官は15日の定例記者会見で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪中した際に、取材中の韓国人記者が中国人警備員十数人に暴行され負傷した件について、警備員は韓国側団体が手配したものだったなどと説明した。

事件発生は14日午前11時ごろ。文大統領は大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が主催した中韓経済貿易協力交流会の開幕式に出席した。中国メディアの環球網によると、スピーチを終え引き揚げようとする文大統領の通路に韓国人記者も同時に出ようとしたことで中国人警備員との乱闘が発生。韓国メディアのKBSによると、大統領スタッフが制止しようとしたがすぐには収まらず、記者1人が警備員十数人に殴る蹴るなどされて負傷した。

暴行された韓国人記者は2人だったとの報道もある。韓国政府は中国政府に徹底した調査と相応の措置を求めた。KBSによると、現場では乱闘発生の10分ほど前にも、警備員が韓国メディアのカメラマンを押し倒すなどの事態が発生していた。また、13日に開催された中韓ビジネスフォーラムでも、中国側警察官が韓国人記者の取材を阻止しようとして双方に乱闘が発生し、韓国側メディアが取材を拒否するトラブルが発生していた。

陸報道官は15日の記者会見で、「記者は韓国側団体に招かれており、警備員も韓国側団体が雇った者だ。従って、調査には韓国側団体の情報提供が必要」とした上で、「いずれにしろ、事態は中国で発生した。中国側も調査にしっかりと協力する」と述べた。

陸報道官は、大統領の近くに張りついて取材したいと願うメディア側の立場に一定の理解を示した上で、「警備側の立場から言えば、自らの職業規則があり、警備対象に対して十分な安全と尊厳の保障を提供せねばならない」と述べ、突発的な事態に備えては、警備側がどの程度の臨機応変な行動を取れるかについても、活動の韓国側の主催団体が「明確な規則を事前に定めておかねばならなかった」と主張。改めて、「われわれも、関係者がこの事態を迅速に解明してほしいと願っている。中国側の協力が必要ならば、もちろんわれわれも望むところだ」などと追加した。

陸報道官の発言は、中国の国内法と矛盾する点もある。中華人民共和国刑法は他の多くの国の法律と同様に属地主義を採用しており「中華人民共和国領内のすべての犯罪に対しては、法律に特別の定めがある場合を除き、すべて本法を適用する」(第6条)と明記している。韓国側団体が主催した活動中の事件で、他人を負傷させた者が韓国側団体の雇用した警備員であったとして、傷害事件であるからには中国側の警察が主体的に捜査するのが本来だ。

環球網によると、韓国国内では中国人警備員の暴力行為を「韓国への侮辱」と非難する声、ルールを無視して取材しようとした韓国人記者を「恥ずかしい」と批判する声の双方が発生した。事件が「中国当局のあずかり知らぬ状況で発生」とする陸報道官の主張には、激昂した韓国世論の矛先が中国側に向けられないようにする意図がにじみ出ている。(翻訳・編集/如月隼人)