支援機関による28年度の事業承継は430件 一方、22万社以上が「後継者不在」

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 経営者の高齢化が進み、中小企業を中心に事業承継が大きな課題になっている。政策の後押しがあるものの、解決までの道のりは遠いようだ。

 独立行政法人中小企業基盤整備機構は、経済産業大臣の認定を受けた全国47の認定支援機関が実施した中小企業再生支援業務を評価し、その結果を経済産業大臣に報告した。これを受けて中小企業庁は、平成28年度に実施した事業引継ぎ支援事業の事業評価報告の概要を、10月24日に公表した。

 事業評価法報告書によると、平成28年度に全国47カ所の引継ぎセンターにおける相談企業数が6,292社、相談回数が1万3,057回、成約件数が430件で前年を大きく上回った。平成27年度(引継ぎセンター数46カ所)の相談企業数は4,924社、相談回数は8,265回、成約件数は209件だった。また、事業引継ぎ支援事業を開始した平成23年10月以降の累計は、相談件数が1万6,988社、相談回数が2万9,665回、成約件数が791件となっている。

 平成28年度の事業引継ぎの成約実績をみると、第三者承継が67%、従業員承継が21%、親族内承継が12%だった。譲渡企業の従業員数規模別にみると、「1名〜5名」が41%、「6名〜10名」が23%で、全体の64%が従業員数10名以下の企業となっている。「11名〜20名」は16%、「21名〜100名」は18%、「101名以上」は2%だった。業種別では「卸・小売業」が23%、「製造業」が21%、「建設工事業」が13%、「飲食店・宿泊業」が8%、「運輸業」が4%、「サービス・その他」が31%となっており、多様な業種で事業の引継ぎが行われた。

 一方、帝国データバンクは同社の企業概要データベースなどから、2015年以降の後継者の実態について分析可能な33万4,117社を対象に「2017年 後継者問題に関する企業の実態調査」を実施し、その結果を11月28日に発表した。

 後継者の有無を集計すると、66.5%にあたる22万2,257社が「後継者不在」と回答し、2016年2月の前回調査より0.4ポイント、2014年の前々回調査より1.1ポイント上昇した。社長の年齢別に後継者不在率をみると、「50歳代」が74.8%、「60歳代」が53.1%、「70歳代」が42.3%、「80歳以上」34.2%となり、事業承継が大きな課題になっている様子が分かる。だた、前回調査の後継者不在率は「50歳代」が75.7%、「60歳代」54.3%、「70歳代」が43.3%、「80歳以上」が34.7%でいずれも低下した。

 事業承継は政策の効果などで一定の成果がみられるものの、高齢社長の事業所でも後継者不在率は高い。今後も経営者の高齢化は進むことから、さらなる対策を検討していく必要がありそうだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]

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