マーケターにとっては恐ろしい時代だ。YouTubeのどこかで、自社ブランドのキャンペーン広告が、ISISの動画の前にプレロール広告として流れるかもしれない。

ブランドセーフティは、バハマ諸島で12月初旬に開催されたDigiday Marketing Summitで、真っ先に頭へ浮かぶトピックだった。マーケターは一堂に会し、プログラマティック広告が「ブライトバート(Breitbart)」のような極右サイトに掲載された場合や、新しいソーシャルキャンペーンを派手に展開することになった途端、ハリケーンが海岸地帯に直撃した場合に取るべき正しい行動について話し合った。多くの場合、解決策はブランドの反応にある。危機管理マニュアルが関係することも多い。

ブランドセーフティやインフルエンサーマーケティング、サイロ化、社内組織をめぐり、Digiday Marketing Summitでもっともよく聞かれた声を集め、マーケターが日常的に対処している課題を紹介する。

ブランドセーフティ対策



「ISISの動画と並んで広告が流れたあと、YouTubeからすべての広告を撤収しなければならなかった。まだ事態を把握しようとしている段階で、そうしたリスクは冒せない」

「ブライトバートとかローラ・イングラム(保守派の論客)のWebサイトに広告が流れたのは、共和党か民主党かどちらかの政党を支持しているのだろう、と電話で苦情を言ってくる顧客がいる。一組織として、どこで線引きをすべきなのかがわからない。顧客が不満を漏らしているのは、我々がメディアを直接購入しており、そうしたプラットフォームと関係があると信じているからだ。その解決策がない」

「FOXで広告を流すのは問題か? CNNは? 線引きをすると、一部の番組はブラックリストに入る。だが、何をブラックリストに入れるべきか? 皆を満足させることはできない。同時に、Twitterでの反発が売り上げに本当に影響するのかどうか、思案しないといけない」

「ときどき、コントロールできなくなる。NFLに広告を流してきたが、いまは、トランプ大統領に抗議している選手たちを支持していると人々に思われている」

「マーケターが一致協力して何をすべきかを確認するため、研修プログラムを実施しはじめた。常に更新が必要な危機管理マニュアルを用意している」

コンテンツマシン



「6秒間の動画でストーリーを語るのは不可能だ。どうやって6秒間で理解させ、何を求めているかを皆に伝えるのか?」

「6秒間の枠が何であるのかを理解することが大事だ。ストーリーを語るのではなく、ただひとつの考えを必死で伝えるためのものだ。だから、そうした面でどうすればすべてがかみ合うのかを理解するために助けが必要だ。そうすれば、何がコンバージョンにつながる可能性があるのか、コンバージョンにつなげるために何を何度見せる必要があるのか、誰がコンバージョンにつながらず、時間を無駄にしなくてよいかがわかる」

「誰が3分間の動画を視聴するのか? 世界でもっともいいストーリーかもしれないが、誰もそんなものを観ないだろう」

「CEOに、Pinterest(ピンタレスト)のようなものを説明するのが非常に難しい。Pinterestではコンバージョンに長い時間もかかるので、説明がさらに難しくなる。Pinterestでもっと良いデータが得られ、もっと長期間顧客を追跡できれば、大いに楽になるだろう。Facebookのようにすぐに効果が出ないが、長い目で見るとコンバージョンが優れているそうしたパートナーについて、どう話して論じているのか?」

エージェンシーの仕事を社内で実施



「社内ですべて行っている。つまり、仕上がりがかなりお粗末なことがある。自分たちですべて行っているので、完成させるためには大急ぎだ」

「ビッグデータにともなって処理が大がかりになり、誰かの仕事が損なわれている。しようとしていることをほかの部門に説明しようと試み、利用できるデータをそこで入手し、メッセージを全体に伝えようとしている」

サイロ化の打破



「社内にさまざまな部門があるだけではない。事実、各部門がそれぞれ異なるエージェンシーと仕事をしている。現時点で私の仕事の大半は、難しい状況を克服するためサイロ化を打破することだ。時間がかかるし、そのために会社のすべての理解しなければならない。誰も彼もが自分の仕事にただ集中している」

「あるいは、おそらくサイロ化を打破しようとしないほうがいいのだろう。機械のようなものだ。機械を殴って、数十年間にわたる社員の仕事の仕方を変えることはできない。異なる解決策について考えなければならない。サイロ化を打破するのではなく、それを中心に構築していくだけだ」

「新しいキャンペーンについて話すために63人に電話したが、彼らが何をしているのかわからなかった」

「かつてオフィスを持っていた者全員をオープンフロアのスペースに押し込んで、『楽しんでくれ! 互いに協力してほしい!』というわけにはいかない。戦略を用意する必要があるが、そんなものは存在しない」

インフルエンサー関係



「現在は、インフルエンサーによるオーガニックなDIYタイプの投稿のほうが、大物インフルエンサーよりももっと収益アップに貢献している。大物インフルエンサーはこぎれいに整えすぎている」

「ブランドはひとりの大物に社運を賭けたくない。だから、インフルエンサーとそのフォロー状況をよく知り、インフルエンサーとの関係構築の準備を整える必要がある。20人のインフルエンサーを使ってオーディション形式でキャンペーンを行い、誰が結果に貢献しているか確認すればいい。それに、求めている結果を明快にしておこう。求めているのはエンゲージメントと知名度なのか、フォロワーを増やすことなのか? このふたつは異なる最終結果だ」

「積極的にマイクロインフルエンサーを頼っている。とはいえ、マイクロインフルエンサーのフォロワーは少ない。マイクロインフルエンサーのコンテンツ投稿から何を得ようと期待しているのか? それでも、ほかの誰かを雇う経済的余裕はないので、彼らとオーガニックな関係を持つ必要がある」

「なぜ、インフルエンサーマーケティングとそれに絡む法律は、まだ未開拓なように感じられるのか? 米連邦取引委員会(FTC)は、前進しながらルールを書き換えているだけのように感じられる。どうすれば最新の情報に通じていられるのかわからない」

ブランドとの提携



「ブランドは提携について混乱している。ルールや、どういうことになるのか理解すらしていない。そのせいで、かなり苦痛を伴う提携になっている」

「クリエイティブディレクターとしての有名人は、基本的に、広告明示のハッシュタグを避けさせるレベルで、ブランドにうまく組み込まれているインフルエンサーだ」

社内組織



「徐々に会議の時間が短くなるとしても、どんな会議であれ参加メンバーを4人以下にしようと努めている。『我々がすべきと思うことについて皆の情報を聞こう』という会議には参加しない。そうした会議では、10の新しいアイデアが出されても、行動しないままに終わる」

「誰もが、自分はマーケターだと考えている。経理のボブから、マーケティングに関する別のアイデアを聞いたら、『ボブ、君は畑違いだよ』という」

「我々は時間を無駄にし、金を無駄にしている。我々は決定を下す必要があり、決定を下す人々には権限が必要であることを知る必要がある。皆の意見を聞く必要があるわけではない」

「事業所内にマーケティングとコミュニケーションを担当する複数のチームがあり、それぞれに独自の会議が行われている。それらの会議の多くは重複しており、出席者も似通っている」

「会議で終日時間を無駄にしている者の仕事量を確認したい。終日会議で時間を無駄にするのが彼らの仕事なのか?」

「会議に出席させないとFOMO(Fear Of Missing Out:取り残されるかもしれないということへの恐れ)になってしまうというプレゼンティズム(疾病就業)を作り出してきた。デジタルマーケティングに関する会議のことで、FOMOなることができるとは知らなかったが、どうやら可能なようだ」

Hilary Milnes(原文 / 訳:ガリレオ)