日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

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Jリーグでおなじみの選手も名を連ねる韓国代表

16日、E-1選手権で韓国代表と対戦する日本代表。引き分け以上で優勝となる一戦だ。これまで幾度も激闘を繰り広げてきた韓国との試合であるが、今回はどのようなプラン・人選が有効だろうか。中国戦、北朝鮮戦を踏まえ、ハリルジャパンの注目ポイントを展望する。(取材・文:河治良幸)

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 E-1サッカー選手権は16日に3試合目を迎える。ここまで苦しみながらも2連勝で韓国戦にのぞむ日本は北朝鮮戦と中国戦で評価を高めた選手をベースに韓国を分析しながら布陣を決定して臨むと見られる。

 最終予選の途中でウリ・シュティーリケ前監督が更迭された韓国だが、彼を引き継いで何とか予選突破に導いたシン・テヨン監督も厳しい立場に立たされていることもあり、日本で行われているE-1は是が非でも日本に勝利し、二連覇を成し遂げて母国に帰りたいだろう。

「良いゲームをしていけば優勝はついてくる。最善のやりかたで優勝を目指す」と語ったシン・テヨン監督は中国戦で[4-2-3-1]を採用し、長身FWのキム・シンウクをターゲットにトップ下のイ・ミョンジュ、右ウィングのイ・ジェソンがスペースに飛び出す形がはまり、序盤に2点を奪った。しかし後半になると3バックに変更してきた中国ディフェンスを崩せず、逆に反撃を食らって2-2と引き分けている。

 北朝鮮戦は相手の徹底したロングボールに対応するためか[3-4-2-1]で中央を固め、サイドからのクロスはチャン・ヒョンスを中心とした3バックが跳ね返すなどして危なげなく無失点。攻撃面は北朝鮮の[4-1-4-1]のブロックに苦しんだが、キム・ジンス、キム・ミヌの元Jコンビが左サイドを攻略し、クロスからオウンゴールを誘う形で1-0と勝利している。

中盤のキーマンは井手口と今野。もう一人は倉田か、高萩か

 伝統的なフィジカルの強さをベースとしながら、グラウンダーのパスをつないで高い位置に起点を作り、そこからはFWのクサビを使った中央突破かサイドの2人の選手が絡む崩しからのクロスという2パターンが主体となる。ただ、よりコンパクトにプレッシャーをかける日本に対してはキム・シンウクの高さやサイドの走力を生かし、ロングボールを増やしてくるかもしれない。

 おそらく中国戦と同じ[4-2-3-1]で来ると思われるが、[4-1-4-1]も引き出しとして持っており、日本の布陣を見ながら中盤の形を変えて来る可能性もある。

 組み立ての中心は神戸などJリーグで5年間プレーしたチョン・ウヨンで、欧州組のキ・ソンヨンがいない中盤を仕切り、長短のパスで攻撃をコントロールしている。そこにいかにプレッシャーをかけて周囲でインターセプトを狙えるかが日本にとって1つの生命線になりそうだ。

 やはり中盤でキーマンになるのは今野泰幸と井手口陽介の2人だが、もう1人を中国戦で先制点の起点となった倉田秋にするのか、韓国サッカーを良く知る高萩洋次郎にするのかが1つの注目どころ。

 戦術的には一度前にボールを当てたところから飛び出してフィニッシュに絡める倉田がより適任にも思えるが、「ボールをしっかり早く動かして、タテに入れて、出し入れできれば、相手もボールに食いついてくると思うんで、そこをかわせればチャンスになると思います」と語る高萩の懐の深いボール捌きとスルーパスはサイドから入り込む選手を生かせるメリットはある。

前線で期待したい川又堅碁と阿部浩之

 前線で期待したいのが川又堅碁と阿部浩之だ。ともに北朝鮮戦と中国戦で途中出場だったが、韓国のディフェンスに対して背負いながら起点を作れるのは川又だろう。

 もともと体は強かったが、しっかりボディシェイプしながらボールがおさまるようになっており、一瞬でマークを外して受けるプレーもできる。そこからゴールに向かう迫力もあり、韓国ディフェンスにも厄介な存在となりそうだ。

 阿部は中央の堅い韓国のディフェンスに対し、ワイドから直接ゴールを奪う能力が生きやすい。もう少し左サイドに張ったところからゴールに関われればより理想的だが、韓国のディフェンスはペナルティエリアの少し外側にスペースがあることが多く、阿部が狙いやすい。

「状況にもよりますけど、GKの届かないところに速いのを打つっていうのはつねに意識しています」と語るように、ワイドな位置からグラウンダーでファーサイドを狙うようなシュートや、逆サイドから飛び込む選手に落とすようなショートクロスは韓国の屈強なディフェンスに対しても非常に有効だ。

 右サイドは小林悠が起用される可能性もあるが、やはり伊東純也の起用が面白い。スピードと縦の突破力でキム・ジンスの外側から裏をどんどん狙うことで、韓国のディフェンスを揺さぶっていけるはず。

 これまでのハリルジャパンにはライン際を縦にえぐる仕掛けがかなり少なく、サイドの1対1のシチュエーションをなかなか生かせていない現状がある。韓国戦はそのシミュレーションとしても適しており、伊東がここで持ち味を発揮して存在感を出せれば戦術的な前進になる。

 ドリブルだけでなく、サイドのロングボールに対して体を張れるので、奥行きを出しやすいメリットがある。

中国戦は右SBで起用された植田。韓国戦では?

 ディフェンスでは植田直通の起用法が大きなポイントになりそうだ。高さと1対1に自信を持つ植田をセンターバックに置くのか中国戦と同じ右サイドバックで起用するのか。筆者としてはセンターバックを推奨する。

 中国戦はユー・ダバオというターゲットマンが左ウィングにいたこともあり、植田の特徴をサイドで生かしやすかったが、韓国は196cmのキム・シンウクが中央におり、サイドはキム・ジンスやキム・ミヌといったテクニカルで機動力のある相手となる。そうした相手に対しては運動量が豊富で、サイドの守備に慣れている室屋成の方が安全だ。

「大きい選手なりに競りかたっていうのはあるけど、シンプルに戦って勝てる自信はある。それでも試合の入りのファーストコンタクトっていうのはすごい大事になってくるし、最初でどれだけ怖い選手かっていうのを思い知らせることが大事だと思う」

 韓国戦に向け、そう意気込みを語る植田。いきなり韓国を相手にセンターバックで起用するのは1つのリスクだが、鹿島と同じく昌子源と組めば持ち味を発揮しやすく、GKの中村航輔や室屋ともU-17、U-20、五輪代表とやってきており、不安が少ない状況でキム・シウンウクに挑めるはず。

 セットプレーの守備を考えても必要な選手であり、どちらにしても先発に入れたいところだが、サイドバックは高さのあるサイドアタッカーがいる場合のオプションとして、ここは本職で起用する方が有効と考える。

 韓国戦は来年3月の代表戦に向けて国内組の最後のアピールの場となるが、何より勝利すること。優勝のためには同点で終盤になった場合に引分けで終えるというプランを取ることも重用かもしれないが、まずはホームの大会を3つ勝利で飾り、その結果として1人でも多くの選手が候補として残る状況に持って行ってほしいところだ。

(取材・文:河治良幸)

text by 河治良幸