スポーティで硬派な若手俳優の台頭ーー山田裕貴が進む独自路線を読む 

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 現在放送中のドラマ『陸王』(TBS系)で奮闘する竹内涼真や佐野岳、『亜人』で驚異の身体能力を披露した佐藤健など、スポーティで硬派な魅力溢れる若手俳優の台頭が目覚ましい昨今。山田裕貴は間違いなく、その中心に位置する俳優であり、加えて彼には“狂気”という言葉がよく似合う。特に下半期の、勢い止まらぬ“狂犬っぷり”が印象的だった。

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 ヤンキーアクション映画『ガチバン』シリーズで演じた安藤忠臣役、そして彼を主役に据え、裏社会で生きる人間たちを描いた『闇金ドッグス』シリーズ。また『HiGH&LOW』シリーズで演じる村山良樹役と、シリーズものに同じ役で連投することで、ワルなキャラクターも板についてきた山田。触れると火傷しそうな危なっかしい彼の姿は、今年の、それもとりわけ下半期の活動で、作品ごとにさらに凶暴さが増していった印象を受ける。ゴールデンタイムにきわどいラインで攻めた描写が目立った『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ系)でも、劇中で最も過激なキャラクター、原野玲夢を演じている。不死身の「亜人」であることを、子供のように楽しむ高橋役を好演した映画『亜人』では、軽快な身のこなしに殺人への享楽性すら感じさせ、佐藤健と綾野剛の激しい攻防の脇で、あまりに危険で爽快な一面を見せた。

 菅田将暉と凄まじい魂と肉体のぶつかり合いを見せた『あゝ、荒野』では、ボクサー・裕二役を演じた。壮絶な試合後の、泣き笑いのような彼のあの表情、そして菅田と互いにロードワークですれ違う場面での、あのランニングフォームの美しさには、たしかなアスリート的素質も感じさせた。

 現在公開中の最新作『デメキン』では、本作が映画初主演である健太郎を支えつつ、引っ張りつつ、この映画のもうひとりの顔として、抜群の安定感で相方の不良・合屋厚成を演じる。今まで彼が走ってきた路線上の作品のひとつに位置づけられる本作で、さらにアツく走り抜けているのだ。

 たしかに「硬派」や「狂気」という言葉がピッタリと重なる山田だが、彼の魅力はそれだけではない。『青空エール』で竹内涼真に見せた先輩としての優しい器の大きさや、現在27歳である彼が『二度めの夏、二度と会えない君』で証明した、まだまだ高校生役もいける柔軟性。『亜人』や『デメキン』に見られる、少年のような純粋さ。それらもまた、俳優・山田裕貴をかたちづくる要素となって、独自の路線へと進ませる。

 ここまで数々の作品を例に上げてきたが、ここに書ききれなかった出演作も数知れない。連ねる2018年には、ふたたび菅田将暉のライバルとして登場する『となりの怪物くん』や、台湾・香港でヒットを飛ばし、日本でも話題となった「男子って、バカね」的傑作青春ラブストーリー『あの頃、君を追いかけた』のリメイク作では主役を務めるなど、期待は大きくなるばかり。今年の彼とはまた違う顔を見ることができそうだ。(折田侑駿)