試合終了間際に同点ゴールを叩き込んだU-20日本代表FW小松蓮(産業能率大)

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[12.15 M-150杯決勝 U-20日本代表2-2(PK3-4)U-22ウズベキスタン代表 タイ]

 最後の最後に意地の一発を叩き込んだ。2017年の“シンデレラFW”小松蓮(産業能率大)は、森保ジャパンにおける初陣を、「何もできていなかった」ままでは終わらせなかった。

 後半途中からの投入。ベンチで受けた指示はシンプルなものだった。「走って、点を決めてこい」。その言葉どおりに前線を駆け回りながら、チャンスを待ち続けた。後半41分にやって来たビッグチャンスでは決め切れなかったが、すぐに主将のMF神谷優太(湘南)から「まだあるぞ、もう1個いくぞ」と声を掛けられて、前を向き直した。同43分、その神谷が蹴り込んだCKに対し、ニアに走り込んでキッチリ合わせ、ゴールネットを揺らしてみせた。

 続くPK戦でも自らキッカーに志願してキッチリ成功した。「別に特別(PKが)得意というわけではないですけれど、いくしかないと思ったので。外す気はしなかったですね」と、もう一つの持ち味である心臓の強さをしっかり見せ付けた。

 惜しくもチームは敗れて準優勝となってしまい、自身のパフォーマンスも決して納得がいっているわけではない。だが、それでも小松は収穫の多い大会だったことを強調する。同い年の大学プレーヤーで、今大会で代表デビューとなったFW上田綺世(法政大)にも大いに刺激を受けた。

「今回の遠征で初めて綺世と会って、あいつが北朝鮮との試合で2点を決めるのを観て、『負けてられないな』という気持ちにもなった。今大会は何もできていなかったし、練習でも足りないことを思い知らされてばかりだった。もっともっとやらないといけないと思えた」

 トゥーロン国際大会での大抜擢に始まり、AFC U-23選手権予選では「テレビで観ていた人たち」と一緒にプレーする機会を得て、そして今回のタイ遠征へとつないだ。松本U-18からトップチームに上がれず、産業能率大へ進路を定める中で「思ってもいなかったことがいっぱい起きた1年だった」と刺激的なシーズンを振り返る。その上でこうも語った

「それまで経験したことのない仲間の上手さだったり、練習で求められることだったり、本当にいろいろなことを味わえた。その上で、もう一度自分自身を見つめ直せば足りないところがたくさんあるし、個としての力をもっと上げないことには生き残っていけないなと思いました」

 突如として現われた“シンデレラFW”は、魔法にかけられたような夢の時間を終えて、あらためて現実の自分自身と向き合い、もう一度力を蓄えたいと強く願う。3試合1得点に終わった今大会でのプレーについての満足はないが、まるで歯が立たなかったわけでもない。代表での活動を通じて強烈な野心と向上心を持つこととなった小松が、来年どこまで伸びていけるか。そのセカンド・ブレイクを、静かに待ちたい。

(取材・文 川端暁彦)
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