経験豊富な今野は今大会、抜群の安定感を誇っている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 北朝鮮との初戦に続き、2戦目の中国戦でも実に落ち着いたパフォーマンス。急造チームにもかかわらず、抜群の安定感で中盤を仕切っているのが代表92キャップの今野泰幸だ。中国戦のあと、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督もこのMFの活躍を次のように称賛している。
 
「今野は素晴らしいパフォーマンスを見せた。ディシプリン(規律)が素晴らしかったし、守備も良かった。アンカーとしてしっかり攻撃もオーガナイズできていた。私は完璧主義者だから、左だけじゃなく右をもっと使ってほしいと思っていたが、いずれにしても素晴らしかった。UAE戦(17年3月のW杯予選)の今野が戻ってきたね。今度もこの調子を続けてほしい」
 
 指揮官の、今野に寄せる信頼は次のコメントからも分かる。
 
「最初は今野にキャプテンをやってもらおうと思っていた。しかし彼は、『俺なんかがキャプテンでいいのか……』と考えてしまうような、とても謙虚な男でね。ディスカッションしたが、結局は『監督が求める通り試合中はしっかり喋るから、キャプテンは他の人間にやってほしい』と言ってきたんだ」
 
 キャプテンをやってもらおうと思った──。仮に長谷部誠が不測の事態でワールドカップの試合に出られない場合は、この今野を代役として抜擢するのではないか。もっとも、それは今野が韓国戦でも良いプレーを披露できたらという“条件付き”の推測になるのだが、今野は代表での処世術をこう話していた。
 
「いろいろ監督から要求されるなかで自分の特長を出さないと生き残れない。それはもう分かっていることなので、それができないなら外れていくだけです。僕の場合は、(そうした柔軟性を)身につけた。いろんな監督を経験していて、監督が代わる度に工夫してきたから、それが今に活きていると思います」
 
 あくまで勝手な印象ながら、余裕すら窺えるコメントだった。こういうどっしり構えている歴戦の戦士がいるからこそ、日本代表は今回のE-1選手権で連勝を飾れているのだろう。明日の韓国戦を制すうえで、今野は間違いなく重要なキーマンになる。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)