エンジンもプラットフォームも刷新した

 2011年に初代が登場したN-BOXは、2017年1月にはN-BOXシリーズ累計販売台数100万台を突破。発売から約5年で4度もの年間軽自動車販売台数第1位を獲得するなど、幅広い層のユーザーから支持される大ヒットモデルだ。ホンダにとっても、屋台骨を支える最重要機種のひとつと言ってもいいだろう。

 それだけに新型の開発を担当するエンジニアたちには、想像を絶するプレッシャーがあったに違いない。開発責任者を務めた白土清成さんは、その職責を任されたときのことをこう振り返る。

「率直に言えば、困ったなぁという感じでした。大ヒットしたモデルをフルモデルチェンジする場合、売れているんだからそれほど変えなくてもいいという考え方もあります。たぶんそれが一番間違いないし、失敗も少ないんでしょうね。けれど、私はホンダに入社してからずっとLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー=開発責任者)になりたいと思いながら仕事をしてきたんです」

「せっかく与えられたチャンスに、自分のやりたいことをやらないでどうする、お客さまに新しい価値を提供しないでどうするんだと、そんな想いでプロジェクトに臨みました」

 これほどヒットしたモデルなのだから、半端なことではお客さまは評価してくれない……。当時はそんなことを考えていたと語る白土さん。そしていよいよ正式デビューを飾る新型N-BOXは、半端どころか部品の約9割を見直し、プラットフォームからエンジンまで刷新するというきわめて規模の大きなフルモデルチェンジとなった。

 プラットフォームの開発には莫大な開発費がかかる。エンジニアが刷新したいと言っても、そうそう簡単に実現できるものではない。実際、新型プラットフォームを採用してフルモデルチェンジを行ったクルマの多くは「プラットフォームの刷新とモデルチェンジの時期が幸運に重なった」という背景を持っているものが多い。だが、新型N-BOXは違う。もともとはプラットフォームもエンジンも先代を継承して企画がスタートする予定だったが、開発メンバーの要望で刷新にこぎつけたのである。

「もちろん、ただ新しくしてほしいと言ったわけじゃありません。刷新の必要性をストーリーにして訴えるわけです。そのストーリーのなかには、同一条件下で170圓侶變眠修鮗存修垢襪箸いΔ海箸睫正しました。今から考えるとかなり無謀な目標だった気がしますね。2トンもある大きなクルマならまだしも、950堋度の車重しかないところからそれだけの軽量化って言うのはね(苦笑)」

 確かに誰が見ても無謀に思える目標値だ。だが、開発チームは驚くことに約150圓發侶變眠修鮹成させている。最終的には性能向上や新たな装備の追加などで約70圓鮖箸ぁ▲函璽織襪任鰐80圓侶變眠修箸覆辰討い襦それでも驚きに値する数値と言っていいだろう。

 こうして誕生した新型N-BOX。白土さんはインタビューの最後にこんなメッセージをくれた。

「新型N-BOXで3回の感動を体感していただきたいです。まずは見て感動。そして乗って感動。さらに走って感動です。N-BOXらしい魅力を先代から踏襲しながら、しっかりと新しさがあるエクステリア。乗りこんでドアを閉めた瞬間にわかる、これまでの軽自動車とはまったく違う感覚。そしてホンダらしい気持ちのいいスムースな走りを味わっていただく感動です。この3つの感動をどうか存分に味わってください」

 強い団結力で、侃々諤々の議論を積み重ねてきた開発チーム。新型N-BOXには、そんなエンジニアたちの熱い想いがこもっていると言えるだろう。