お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回は前回のNISAに続き、「つみたてNISA」についてです。

「つみたてNISAに興味があります。これまで投資などをしたことがないのですが、ネットの記事を読むと、“つみたてNISAは初心者向け”とあったからです。本当でしょうか。

普通の株や投資信託とNISAとつみたてNISAの中でやるなら、やっぱりつみたてNISAがいいんでしょうか。つみたてNISAのメリットや注意点、手を出して損をするケースを教えてください」(IT関連会社勤務・36歳)

さっそく、森井さんに詳しく教えていただきましょう。

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専用の口座を開設、運用した利益が非課税になる積み立て型のNISA

つみたてNISAとは、その名の通り、積み立て型のNISAです。

先週お話したように、NISAは少額投資非課税制度です。つまり、少額の投資については非課税になるという制度です。

つみたてNISAはNISAと同様、専用の口座を開設し、その口座で運用した利益について通常約20%引かれる税金がかかりません。

NISAには、つみたてNISAのほかにジュニアNISAというものもあります。

ジュニアNISAとは2016年から始まったもので、ざっくりと言うと未成年者を対象としたNISAです。未成年者を対象に、子供ひとりあたり年間80万円、期間5年、つまり最大400万円を非課税で運用できます。

この制度の特徴は、子供が18歳になるまで資金を引き出せないことです。学費の中でも特にお金のかかる大学入学に向けて資金を、と考えて利用する人が多い制度になっています。子供にとっても、自身の名義で運用できるので、経済を学ぶきっかけにもなりますね。

ジュニアNISAは未成年者対象なので、相談者さんは利用できませんが、お子さんがいる方はジュニアNISAも検討の余地があると思います。

つみたてNISAとNISAの違いはなに?

まず、つみたてNISAのなりたちをお話しましょう。

2000年から「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、政府は個人の資産形成を促進する政策を進めています。

一方で、「NISAを導入したけれど、あまり利用されていない」という現実があります。平成29年6月末時点でNISA口座は約1000万以上の口座が開設されています。しかし、その半分以上は非稼働、つまり1度も取引が行なわれていないのです。

金融庁の調査では、投資を行なわない理由はまとまった資金がない、どのように購入したらいいか分からない、選べない、取引をする時間的余裕がない、などが大半でした。

つまり、少額で積立投資ができればきっと多くの人が利用するだろう、と考えられているのです。そこから生まれたのが「つみたてNISA」です。

つみたてNISAとNISAでは、まず運用できる商品が違います。また、投資枠・投資期間にも違いがあります。

つみたてNISAは、安全性に重点を置いていることから、大きな儲けを狙って特定の銘柄の株を買ったり、株主優待を楽しんだりはできません。投資できる商品は、長期の分散投資に適した積み立て型のもの。一定期間ごとに自動的に投資信託・ETF(上場投資信託)を購入する「積立投資」が対象です。

世の中には、数えきれないほど多くの種類の商品があります。しかし、つみたてNISAの対象になるのは、国の基準を満たした商品で、2017年12月初旬の段階では投資信託128本、ETF3本の131本です。

手数料や信託報酬に上限を設け、比較的安全性の高い投資信託とETFに限られているのです。

「商品選定の要件が厳しく、投資の初心者が高コストでリスキーな商品を選べないようにしている」という点では、つみたてNISAは投資初心者にも優しい制度といえるでしょう。

非課税投資枠も、元本で年間40万円で、月にならすと3万円強です。「大きな利益は期待せずに、少しづつコツコツ積み立ててください」というものです。

投資期間は最長20年。つまり、最大800万円が非課税で運用できます。

現行のNISAは、年間120万円・最長5年間で最大600万円が非課税で運用できるので、つみたてNISAは、NISAよりトータルで200万円枠が大きいといえます。

つまり、通常のNISA以上に少額から毎月コツコツ、長期での資産形成を目指す方に向いた制度です。

つみたてNISAのメリット・デメリット

メリットはもちろん、運用益に税金がかからないことです。また、商品が限られているので選びやすいと言えます。

また、積立投資という形も、メリットと言えるでしょう。

投資の基本は、安値で買って高値で売ることです。しかし、投資商品は日々価格が変わるため、結局買い時は過ぎてみないとわかりません。

そんな中、つみたてNISAのように毎月決まった金額、同じ商品を購入することで、一定程度リスクを抑えることができます。

毎月決まった額を購入に充てるということは、安い時は購入する口数が多くなり、高い時は購入する口数が少なくなる、ということになります。その結果、平均的な購入単価が平準化できます。つまり、よくわからない中で1度に飛びぬけた高値掴みで損をするリスクを抑えることができます。これを「ドルコスト平均法」と言います。

条件によっては、ドルコスト平均法は有利にも不利にもなる可能性がありますが、一定のルールに従って行なう投資は精神的にも実行しやすいですね。

そして、デメリットは損失を出した場合です。これは現行のNISA、ジュニアNISA、つみたてNISA共通です。

先週もお話しましたが、投資は損失がでる可能性があります。そして、NISAでは税金面で損も得もなかったことになります。

株式取引などで損失が発生した場合、ほかの利益と損益を通算することができます。損をした場合には全体として納める税金が少なくなります。もしくは、確定申告をすることで、翌年以降の利益と相殺することができるので、将来の節税につながります。

NISAでは損失がなかったことになってしまうので、そういった損失への救済がないんですね。

注意点としては、現行のNISAと併用できないことです。どちらかを選ばなくてはなりません。一年ごとに変更できますが、管理が煩雑になることやそもそもの目的を考えるとあまり現実ではありません。自分がどのように制度を利用したいのかしっかり考えてからはじめましょう。

月3万円ずつで、最大800万円が非課税になるなら、多少のリスクをとってもチャレンジする価値あり!?



■賢人のまとめ
つみたてNISAは、年間元本40万円、最長20年間、非課税で運用できるもの。商品選定の要件が厳しく、投資の初心者でも高コストでリスキーな商品を選べないようなしくみになっています。ただし、損失がでた場合には、税制面での救済はありません。また、現行のNISAとの併用はできません。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。