「なんとなく体調が万全ではないが、かといってはっきりした“痛み”もないし、たぶん病院に行くほどでも……」
 
そういった不調に不安を感じながらも、放置している人は多いのではないだろうか。日本未病システム学会では、未病の概念を広める目的で、12月17日を「未病の日」と定めた。同学会理事長である福生吉裕先生(博慈会記念総合病院附属老人病研究所所長)が、未病について説明する。
 
「多くの方が『病気は健康と対極にある』と考えているようですが、病気と健康は連続しており、その間に未病があります。“第三の体の状態”ですね。学会ではこの未病を明らかにしようと取り組んでいます」(福生先生・以下同)
 
さらに「自分の体を知るのは自分がいちばん。昔は名医が未病を診断していたが、100歳時代を迎える今日、自分が自分を守る未病の先生になってほしい」と訴える。
 
いま日本の“未病人口”は6,000万人以上。未病は2つの観点で捉えることができる。
 
1つは西洋学的未病で「自覚症状はないが、検査では異常がある」ケース。軽症高血圧や高脂血症、骨粗しょう症、脂肪肝、境界域糖尿病など。痛みやつらさを伴わないため、自分では気づかないが、検査をすると数値に表れる。
 
もう1つは東洋学的未病で「自覚症状はあるが、検査では異常がない」ケース。肩こりや頭痛、めまいまど不定愁訴を持ちながら、病院で検査をしても異常が出ないものだ。
 
福生先生は、どちらのケースでも、体に現れる“忍び寄る病気”のサインを知ることで対策が立てられるという。
 
「たとえば、白目が黄色くなっていると肝臓や胆道に何らかの障害があるサイン。まぶたに黄色いふくらみができている人は脂質代謝異常症で動脈硬化が疑われます。耳たぶにしわができていたら心臓や脳血管の病いにご注意ください」
 
こうしたサインに鋭くなっておくと、自分と家族の健康がいまどういう状態で、可能性としてどこが悪くなるのかを把握できるようになる。
 
「もちろん最終的な判断には病院での検査・診断が必要となります。また、安易に病気と決めつけたり、心配しすぎるのもいけません」
 
健康寿命を延ばすためにも病気の早期発見、早期治療はとても重要だ。