ロシアワールドカップ出場国チーム紹介 グループB

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『ガーディアン』紙連動特別企画

イギリスの高級紙『ガーディアン』が、そのブランド力を生かし各国の一流メディアと提携し実現した「ロシアW杯コラボレーション企画」。その“日本代表”としてfootballistaが参加! 各国事情に精通する記者による、ロシアワールドカップ出場全32カ国のチーム紹介をグループごとにアップしていく。

翻訳 鈴木達朗

グループB
ポルトガル

文 ヌーノ・トラバソス(『Maisfutebol』)

フェルナンド・サントス監督は「ブラジル、アルゼンチン、スペイン、ドイツそしてフランスがワールドカップ優勝候補の本命だ」と言うと、次のように続けた。「ワールドカップには、他にも優勝を狙えるグループがある。ここに属するチームは、まずは行けるところまで行くことを目指す。そうして、可能であるならば最終的に大会の優勝を狙う。ポルトガルはこの第2グループに該当する」。サントス監督はEURO2016で優勝したにもかかわらず、相変わらず慎重な姿勢を崩さない。だが、同時に彼は楽観的に大会を心待ちにしているようだ。それにも納得できるだけの理由がある。今のポルトガルは1年半前よりも、さらに強くなっているからだ。EURO制覇の基盤となった堅実な守備のオーガナイズに創造力がプラスされた。ベルナルド・シルバとアンドレ・シルバは、このアップグレードされた攻撃の要となり、チームはより深さを確保できるようになった。弱点を挙げるとすれば、おそらく高齢化が進むCBだろう。ぺぺ(来夏には35歳)、ジョゼ・フォンテ(34)そしてブルーノ・アルベス(36)という顔ぶれがそろうが、彼らからポジションを奪える選手を見つけるのは、現時点では至難の業だ。

予選突破までのプロセス:欧州予選B組 スイスを抑え首位
主なシステム:4-4-2
スター選手:クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)
注目選手:ベルナルド・シルバ(マンチェスター・シティ)
監督:フェルナンド・サントス
オッズ:20倍

スペイン

文 ホセ・サマノ(『エル・パイス』紙)

“ラ・ロハ”(スペイン代表の愛称)は相も変わらずラ・ロハのままだ。2014年のブラジルW杯でのGS敗退やフランスでのEURO2016での失望も、最終的には感情が爆発するようなカタルシスをもたらすことはなかった。トップレベルでの経験が豊富とは言えない51歳のジューレン・ロペテギ監督は、これまでスペイン代表を成功に導いてきたエッセンスをそのまま残し、再び軌道に乗せることに成功した。ワールドカップ予選を鮮やかに勝ち抜いたチームの支柱となる選手たちは、1年半前にフランスで苦渋を味わったメンバーと変わらない。仮に今すぐロシアワールドカップが開始されるなら、パリでイタリアに敗れたチームのメンバーから8人はスタメンに名を連ねるだろう。ダビド・デ・ヘア、ジェラール・ピケ、セルヒオ・ラモス、ジョルディ・アルバ、セルヒオ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバ、そしてアルバロ・モラタ。加えて、このベテラン勢が並ぶ顔ぶれの中で、素晴らしいクオリティを見せているイスコが自分の居場所を見つけようとしている。さらに、2013年のU-21欧州選手権で当時ロペテギ監督とともにタイトルを獲得した選手たちがメンバーに加わろうとしている。

予選突破までのプロセス:欧州予選G組 イタリアを抑え首位
主なシステム:4-5-1
スター選手:ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)
注目選手:イスコ(レアル・マドリー)
監督:ジューレン・ロペテギ
オッズ:7.5倍

モロッコ

文 アミネ・エル・アムリ(『Le Matin』)

“アトラスライオン”(モロッコ代表の愛称)が再び咆哮を上げる。1998年フランスワールドカップでの、心が張り裂けんばかりのGS敗退から20年の時を経て、1986年メキシコ大会でアフリカ勢初のベスト16入りを果たしたチームは、ついにワールドカップ本大会に戻ってきた。アフリカ予選を唯一無失点で通過したチームは、強固な守備とハードワークを基盤にゲームを進める。カリム・エル・アフマディ、ムバラク・ブスファ、そしてユベントス所属のメディ・ベナティアらの豊富な経験と、ハキム・ツィエクのインテリジェンスやノルディン・アムラバトの力強さが融合。監督はエルベ・ルナールだが、アシスタントコーチの一人であるパトリス・ビューメルの助言も非常に効いている。また、コベントリーで活躍したコーチのムスタファ・ハッジもこのチームの中で鍵を握る存在だ。代表のレジェンドでもある彼は自身の経験を後継世代の選手たちに伝え、ロールモデルとして貴重な役割を果たしている。このチームの最大の弱点は左サイドだったが、今年の9月以降はレアル・マドリーでプレーするアクラフ・ハキミが見事にその穴を埋めてみせた。

予選突破までのプロセス:アフリカ大陸予選C組 コートジボワールを抑え首位
主なシステム:4-5-1
スター選手:ハキム・ジエク(アヤックス)
注目選手:ソフィアン・ブファル(サウサンプトン)
監督:エルベ・ルナール
オッズ:250倍

イラン

文 ベナン・ジャファルザデー(『varzesh3.com』)

“チーム・メリ”(ペルシャ語で代表の意)は歴史上初めて2大会連続でワールドカップに出場する。カルロス・ケイロス監督が率いる選手たちはアジアで最も早く予選を突破したチームであり、12試合連続クリーンシートを達成してみせた。ケイロス監督の戦術的な主眼は、自陣深くにディフェンスのブロック構築するリアクション・フットボールと鋭いカウンターアタックだ。ただ、直近のロシア、パナマ、そしてベネズエラとの親善試合では、それぞれ異なる戦術を採用。高い位置からプレッシングを行うなどより攻撃的なアプローチも見せている。ケイロス監督は、その熱い気質や短気な性格が災いし、意味のない議論をここ数年のうちにたびたび巻き起こしてきた。だが、代表チームの結果とパフォーマンスの内容から、彼の(イラン国内での)人気は高い。多くの人々は、ケイロス監督がチームに本当の精神を叩き込んでくれた、と感じている。現在のイラン代表には、ヨーロッパでプレーする選手が多い。そして、ケイロス監督はイランの国外でプレーする選手たちを好んで招集する傾向がある。

予選突破までのプロセス:アジア最終予選A組 韓国を抑え首位
主なシステム:4-2-3-1
スター選手:サルダル・アズムン(ルビン・カザン)
注目選手:サマン・ゴドス(エステルスンド)
監督:カルロス・ケイロス
オッズ:-

『ガーディアン』紙連動ワールドカップ出場国チーム紹介

12月14日(木)公開:グループA
12月15日(金)公開:グループB
12月18日(月)公開:グループC
12月19日(火)公開:グループD
12月20日(水)公開:グループE
12月21日(木)公開:グループF
12月22日(金)公開:グループG
12月25日(月)公開:グループH

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Photos: Getty Images