2013年の東アジア杯から一気に日本代表に台頭した柿谷曜一朗(左)と山口蛍(右)【写真:Getty Images】

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4年前の東アジア杯からW杯行きを掴んだ柿谷ら

 16日に日本代表はE-1サッカー選手権最終戦で韓国代表と対戦する。今大会の優勝をかけた重要な日韓戦だ。4年前の同大会で日本は2-1と韓国を下し、当時活躍した山口蛍らが2014年ブラジルW杯メンバーに選ばれている。東アジアのタイトルを獲得することで、今回招集されているメンバーの中からも、同じような道程でロシアW杯行きの切符を掴む選手が出てくる可能性は十分にありそうだ。(取材・文:元川悦子)

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 北朝鮮、中国に2連勝し、E-1選手権制覇に王手をかけている日本代表。明日16日の韓国戦(味スタ)に勝つか引き分けるかで、2013年韓国大会以来、2大会ぶりの優勝が決まる。

 2日前となった14日夕方のトレーニングには韓国メディアも数多く取材に訪れたが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にはピリピリムードはなく、急きょ練習を全公開に変更。右太もも打撲の伊東純也(柏)は依然として別メニューだったものの、それ以外の21人はボールコントロールや6対3+フリーマンなどの軽めのメニューを1時間程度消化した。

 キャプテンマークを巻く昌子源(鹿島)やムードメーカーの川又堅碁(磐田)らが声を出し、金崎夢生(鹿島)からも笑顔がこぼれるなど、今はチーム全体がポジティブな状態だ。

 ハリル体制初の国際大会だった2年前の中国・武漢大会は1分1敗と未勝利で最終戦を迎えただけに、前回とは雰囲気が対照的。「勝っている時はあまり疲れは感じない」と2試合連続スタメンの倉田秋(G大阪)も過密日程も関係なくフル稼働するつもりだという。

 指揮官も最終決戦はもちろんベストメンバーで戦う意向だろう。チームの骨格を形成する昌子と今野泰幸(G大阪)、小林悠(川崎F)の3試合連続スタメンは決定的。4年前の韓国戦を振り返ってみると、日本は青山敏弘(広島)のタテパスに反応した柿谷曜一朗(C大阪)が先制。前半のうちに相手のミドル弾で同点に追いつかれたが、後半ロスタイムに原口元気(ヘルタ)のドリブルシュートのこぼれ球に柿谷が反応。劇的決勝ゴールを決め、2-1で逃げ切った。

 韓国戦の2発を含む大会通算3得点で得点王に輝いた柿谷、MVPを獲得した山口蛍(セレッソ大阪)、守備を統率した森重真人(FC東京)は揃って翌2014年ブラジルワールドカップ行きを勝ち取った。今回の昌子、今野、小林も同じ道のりを歩む絶好のチャンスに直面しているのだ。

連続ゴールが欲しい小林。アンカーで存在感を示した今野

 とりわけ小林は、柿谷同等のインパクトを残すべく、さらなるゴールを奪いたいところ。12日の中国戦で待望の代表初ゴールを叩き出したものの、初キャップから3年で1得点というのは、欧州組の大迫勇也(ケルン)や岡崎慎司(レスター)らと比較すると物足りない部分があるのも事実。柿谷が日本を優勝に導く2ゴールを4年前の韓国戦で叩き出したように、明日の最終決戦で結果を残せるか。

「(柿谷選手のような韓国戦の複数ゴール?)狙っていきたいですし、自分のとっては最後のチャンスだと思ってるので、結果にこだわりたい。チャンスに顔を出す部分はいつも通り、フロンターレでやっているようにできているので、最後の精度を高めていければと思います」と本人も相当な覚悟を持ってラストアピールの場に挑むという。

 代表初先発だった2014年10月のブラジル戦(シンガポール)でクロスバーを直撃した決定的シュートに象徴される通り、小林は過去の代表戦でも点の取れるポイントまで繰り返し入り込んでいる。が、決めるべきところで決めきれないという課題を抱え続けてきた。

川崎では今季23得点を奪い、Jリーグでは壁を乗り越えたものの、代表でその領域に達し切れたとは言い切れない。韓国戦は小林が真の世界レベルに飛躍できるか否かの試金石。イザという時にゴールできる男への変貌と遂げてほしい。

 日本人最年長ワールドカップ目指す今野も今大会経由のロシア行きが期待される選手。井手口陽介(G大阪)とダブルボランチを組んでプレーした9日の北朝鮮戦こそ「自分の位置が低かった」と反省しきりだったが、中国戦では代表で初めてのアンカーでフル稼働。長谷部誠(フランクフルト)以上の存在感を示し、本人も「楽しかった」と充実感を吐露していた。

「ボールを奪うところは長谷部さん以上」と同じガンバの守護神・東口順昭も太鼓判を押していたが、相手の出方を確実に読んで攻撃の芽を摘むプレーの数々は、4年前の山口蛍以上のインパクトに達している感もある。仮に今野がMVPを獲得すれば、2018年ロシア大会参戦が有力になる。

 来年1月に35歳になる男は「先のことは考えなくていい。一歩一歩前に進んでいくだけ」と目先の戦いに集中しているが、大舞台になればなるほど輝く今野ならば、チームを力強くけん引してくれるはずだ。

ロシア行きの選手が多数出れば、理想的なシナリオ

 中国戦で40m超のロングシュートを決めた昌子もロシア当確と言われるが、守備面では不安定さも垣間見せている。北朝鮮戦では谷口彰悟(川崎)と初めてセンターバックコンビを組んだこともあって、何度か相手の侵入を許し、背後に陣取る中村航輔(柏)のスーパーセーブに救われる形になっていた。中国戦も土居聖真、山本脩斗の鹿島トリオの三角形を崩されて決定的スルーパスを入れられるシーンがあった。

 一瞬のミスが致命傷になるのは、本人が誰よりもよく分かっていること。そういうスキがあったがゆえに、最終予選終盤に吉田麻也(サウサンプトン)のパートナー役をつかんだにもかかわらず、槙野智章(浦和)に定位置を奪回されるに至ったのだ。

 ここから再び成りあがっていくために、韓国を完封したい。キム・シンウク(全北現代)、チン・ソングク(済州)ら強力FW陣をいかに守るか。4年前のゲームではユン・イルロク(FCソウル)にミドルシュートを決められたことも忘れてはいけないだろう。寄せが甘ければ遠目からでも打ってくるのが韓国だ。そこは守備陣全体で共有すべき部分。昌子が中心となって意思統一を図っていくことが肝要である。

 4年前の劇的勝利を経験している高萩洋次郎(FC東京)は「韓国は相変わらず球際が厳しいし、チームとしてまとまっている。相手を打開するためには、ボールをしっかり速く動かして、タテへの出し入れができれば、相手もボールに食いついてくると思う。そこをかわせればチャンスになる」と試合のキーポイントを語っていた。

 ラストパスの成功率を上げることに関しては、ハリルホジッチ監督もここ数日、選手たちに強調している点。それを増やすことが、小林らFW陣の得点アップにも直結する。貴重な生き証人の経験値も注入して、まずは3戦全勝の完全制覇を果たすこと。

 そのうえでロシア行きの切符をつかむ人間が多数出れば、理想的なシナリオと言っていい。泥臭く貪欲に戦う国内組の姿をぜひとも見せてほしいものだ。

(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子