画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●アトピーの素因をすべて取り除くのは難しい

かつては子どもの頃に発症しても、自然治癒していくと言われていたアトピー性皮膚炎。だが、今は大人になっても症状が治まらない人や成人後になって発症する人が急増しているという。

今回は東京女子医科大学皮膚科教授・講座主任の川島眞医師に大人のアトピー性皮膚炎の対処・予防法についてうかがった。

○アレルギーへの対処法が大事

アトピー性皮膚炎を発症するとその原因を探り、アレルギーの原因を無くすことを考えがち。だが、アトピー性皮膚炎はさまざまな要因が複合的に重なって現れるため、 アトピー素因を取り除くことはもちろん、100%の除外は難しいとされている。そうなると、「アトピー性皮膚炎は治せないのか? 」と感じてしまいそうだが、アトピー性皮膚炎を回復することは充分に可能なのだという。

川島医師は「アトピー素因を100%取り除くことは難しいですが、悪化要因に対する対処法や予防策を知っているだけで、アトピー性皮膚炎の症状を回復することはできます」と話し、アトピー性皮膚炎の主な症状である「かゆみ」と「炎症」は取り除けると説明する。

そのためには、「かゆみのもととなる炎症を止めること」と「肌の基礎力を高めるための対処を行うこと」が重要であるという。

○かゆみを止める方法は薬を正しく使うこと

まず、炎症や炎症に伴うかゆみを止めることから知っておこう。アトピー性皮膚炎は、軽い炎症でもかゆみを生じて皮膚をひっかいてしまい、その結果、激しい炎症や色素沈着を起こしてしまう。特に肘の内側、膝の裏側など皮膚の弱い部分は要注意。かき続けると、症状が悪化してしまう。

現在、かゆみを軽減する薬として医療現場で推奨されているのは、かゆみを抑える飲み薬や患部に塗るステロイド剤だ。ただ、ステロイドと聞くと「怖い」「肌がただれる」などのイメージが先行し、薬の使用を控える患者もいるとのこと。

それでも、ステロイドは医師の指導のもとで正しく使えば、かゆみや炎症を抑えられる効果が期待できる薬だ。刺激もなく、小さな子どもでも使用できるため、慎重に減らしていけば炎症を繰り返すこともなくなる。過去のイメージや間違った認識で使わないというのはもったいない話と言えるだろう。

●「薬を塗っても症状が治まらない」の原因

川島医師は「ステロイドの塗り薬を塗って、もなかなか症状が改善しない」という声も聞くそうだが、使用方法に問題があるケースが大半とのこと。

たとえば、風邪を引いて病院で診てもらい、薬を処方してもらうとする。2〜3日後に熱が下がり、体のだるさもなくなったら「もういいや」と薬を飲むのを止めてしまうことだろう。だが、ここで止めてしまうと治ったつもりでいても風邪をぶり返したり、原因不明の体調不良が続いたり、最悪の場合は症状が悪化したりするというケースも無いわけではない。

アトピーの症状も同様だ。医師が処方する薬の種類や量は、ちゃんと理由があって決められている。目に見える炎症を抑え、さらに中に潜んでいる隠れ炎症にもアプローチするには、一定の期間を必要とする。正しい使い方をすれば、回復力も格段に上がるのだ。

「薬は塗っているのに効果が確認できない」という場合は、塗り方に問題があるケースが多いという。個人差はあるが、ステロイド剤使用時に全顔を塗る際の目安としては、中指の第一関節分の量(0.4〜0.5g)が適量と言われている。少しずつ出していると適量を守れないため、全顔量を取り、おでこや両頬、あごの4カ所に置いてから塗るのがよい。「1フィンガーディップユニットが全顔の量」と覚えておこう。

○炎症軽減後に肌の基礎力を高める

最後に川島医師に薬を使うことなくかゆみを和らげる方法を教えてもらったので紹介しよう。

■かかない

アトピー性皮膚炎はかけばかくほど炎症がひどくなり、かゆみは増していく。それならば、かゆみをぐっと我慢して「かかない」ことが大切。川島医師は患者に対して「手を組むこと」を対処法として伝えているが、意外に効果があるとのこと。

■ゆっくりと息を吐く

これは怒りを抑えるときにも使用される方法。ゆっくり息を吐くと「かきたい」という気持ちが落ち着くという。

■対象部位を冷やす

「どうしてもかゆい」という場合、保冷剤や冷水で患部を冷やすのも手だ。逆に温めてしまうと、血行が促進されてかゆみの症状がひどくなるケースもあるので注意するように。

かゆみや炎症が軽減したら、肌の基礎力を高めるケアを行う。肌のバリア機能を高める方法、それは「保湿」だ。

(1)「肌の水分量を高める」⇒(2)「皮膚を保護する」というステップは普段行っているスキンケアのお手入れ法と一緒。保湿力が高まるとバリア機能が高まり、炎症を抑えられる。

「最近では、紫外線がもたらす肌ダメージの影響を考慮し、保湿ケアと同時に紫外線対策を行うこともおすすめしています」

からだエイジング