16日に日本代表と対戦する韓国代表【写真:Getty Images】

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この大会にかける韓国の思いはそこまで高くない

 日本で開催されているE-1選手権は12月16日に男子の最終日を迎える。現在日本が2連勝で首位、韓国が1勝1分けで2位につけており、最終戦の日韓戦が事実上の優勝決定戦となる。タイトルがかかったこの一戦を前に、韓国の世論はどうなっているのだろうか。(文:キム・ドンヒョン)

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「日韓戦に勝ち、W杯で負けたらどうするんだ」

 13日付の『ハンギョレ新聞』にて韓国のレジェンドであるチャ・ボムグン氏が話した内容だ。このセリフが韓国の世論とは言えないが、少なくとも私はチャ氏の意見に強く同意している。

 韓国と日本は16日に運命の日韓戦に挑む。2017 E-1選手権で韓国は中国と2-2で引き分け、北朝鮮には1-0の辛勝を収めた。一方、ホームの日本は2連勝を飾っている。最後の日韓戦でこの大会の決着がつく形になる。構図としては面白い。

 だが、そもそもこの大会にかける韓国の思いはそこまで高ぶっているわけではない。確かに韓国サッカーに関する世論は良くはなかった。8月と9月、イランやウズベキスタン相手にお粗末な試合をし、悪化の一路をたどっていたとも言える。

 しかしこれを機に世論の風向きを変えようとした試みは11月の時点で既に成功している。コロンビアとセルビアとの親善試合で挽回してしまったのだ。

 もちろん両国とも時差ぼけなどがあったことなどは否めないが、W杯出場国との試合でも攻撃的に、自信を持って試合に挑めば勝てるということをホームグラウンドで証明したのは大きかった。少なくとも韓国国民にはある種の癒しになったのかもしれない。

 今回は韓国にとって特にモチベーションのない大会と言っても過言ではない。11月の試合はFIFAが認める国際試合週間だったため欧州組を全員招集したが、今大会はそれができないため、国内組とJクラブ勢、中国勢でチームを作った。

 もちろん完全に捨てた大会ではない。シン・テヨン監督は出国直前の記者会見で“守備ラインは今回招集した選手たちを中心に固めていきたい”という意見を示している。元Jリーガのキム・ジンスやキム・ミヌが競い合う左サイドバックのポジションは今大会の成績でレギュラーが確定する可能性もある。

 だが一方で攻撃陣は完全なるテストと見たほうがいい。今までシン・テヨン監督が一度も呼んだことのないジン・ソンウクやイ・チャンミン(どちらも済州)を招集している。ソン・フンミンがいない時の想定ではある。結果を出せばW杯メンバー入りを果たすかもしれないが、現時点で彼らがワールドカップのメンバーになるというのは想像しがたい。文字通りテストなのだ。

地上波中継はなし。とはいえ日韓戦はどうしても特別に

 前述したチャ氏の指摘通り、この大会で勝って、W杯に負けたら意味がない。この大会で韓国は逆に悪いところをたくさん探し、そこを来年の6月までに修正する気持ちで戦っているのかもしれない。直近の2試合は確かにそのようなスタンスが見られた。逆にそこが大会への興味を低下させる要因になっているようにも見える。

 またこの大会の熱気を冷ます要因としては中継がないことも挙げられる。日本ではこの大会がフジテレビ系列や衛星放送で伝えられているいっぽう、韓国は今大会の地上波中継が一切行われていない。スポーツチャンネルの「SPOTV」が放映権を持っており、独占的に自社のチャンネルにだけ映像を供給している。

 もし地上波で放送していたならこれだけ話題にならないということはなかったはずだ。またオンラインでの無料中継がないのも関心が低い理由の一つ。韓国サッカー協会は韓国最大のポータルウエェブサイト「NAVER」とも協定を結んでおり、NAVERは親善試合やW杯予選を生中継していた。

 だが今大会はSPOTVが放映権を独占しており、SPOTVのアプリケーションやチャンネルでしか見られない。スマートフォンやタブレットなどでスポーツを楽しむことが主流となった韓国の状況を考えると、その影響はかなり大きい。

 とはいえ最後の試合が日韓戦となると、どうしても特別なことになる。韓国メディア「News1」は14日付の記事で「韓国が日本に勝ったのは、7年前に埼玉で行われた試合が最後。パク・チソンがお散歩をするようなゴールセレブレーションをしたあの試合だ」と意気込んでいる。

 確かに韓国はこの試合以来日本に勝てていない。ここで勝てば確固たる話題のネタにはなる。世論の挽回というより、ブームアップを狙っているとすれば、日韓戦での絶対勝利が韓国にとってのノルマかもしれない。

(文:キム・ドンヒョン)

text by キム・ドンヒョン