スポーツファンの間でアイスホッケーが話題にならなくなってから久しい。1970年代から80年代にかけて、王子製紙や西武鉄道、国土計画、雪印などらが中心となって頻繁にテレビ中継されるなど隆盛を極めたが、その後は徐々に衰退。1998年の長野五輪や、2004年に木村拓哉がアイスホッケーに情熱を注ぐ青年を演じたドラマ『プライド』(フジテレビ系列)が放送されたときは再び人気に火がついたようにも見えたが、結局はそれも一瞬の灯(ともしび)だった。


全日本選手権は8チームのトーナメント方式で開催される

「氷上の格闘技」と言われるアイスホッケーは、体でぶつかる”チェッキング”がある程度許されているため、他のスポーツに比べてボディコンタクトが激しい。だが、基本的にはサッカーやバスケットボールと同じような点取りゲームである。もちろん、ルールに違いはあるが、得点までのチャンスメイクや組織的なディフェンスなど、戦術的なな一面もある。つまり、タフさだけでなく、スマートさも兼ね備えた競技と言える。

 また、アイスホッケーには大きな特徴がひとつある。選手が反則を犯した場合、その内容によってある一定の時間、退場を課せられることだ。しかも退場を命じられた選手は”ペナルティボックス”という部屋に入れられ、ある意味”見せしめ”を受ける。2分間のマイナーと、5分間のメジャーという2つのペナルティが基本だが、場合によってはそれ以上の時間、退場を命じられることもある。

 当然、反則を犯した側は少ない人数で戦わなければならず、試合は大きく動く。人数の多い方を”パワープレー”、少ない方を”キルプレー”と呼ぶように、何ともシュールな光景だが、この間、奇跡的な逆転などエキサイティングな場面が見られる可能性が高い。

 アイスホッケーの試合は各20分の3ピリオド制で行なわれ、合間には15分の休憩が入る。それらすべてを合わせても2時間ほどで終了するため、ファンにとっては前後のスケジュールも立てやすい。

 このように観戦向きのスポーツでありながら、なかなか人気拡大につながらなかった理由のひとつに、場所的な問題が挙げられる。

 現在、日本で行なわれているプロのアイスホッケーは2003年に創立されたアジアリーグのみ。日本から4チーム、韓国から3チーム、ロシアから1チームの計8チームによるホーム&アウェーの総当り4回戦が行なわれ、その後、5位までに入ったチームによるプレーオフで王者が決定するのだが、日本の4チームの本拠地は苫小牧(王子イーグルス)、釧路(日本製紙クレインズ)、栃木(H.C.栃木日光アイスバックス)、八戸・郡山(東北フリーブレイズ)と、いずれもファンが気軽に行ける場所ではない。

 そんな中、日本のトップレベルでありながら、首都圏のファンにとっては観戦しやすい大会がある。12月15日から17日まで行なわれる全日本アイスホッケー選手権大会は、東京都にあるダイドードリンコアイスアリーナ(西東京市東伏見)で全試合が開催されるのだ。全日本選手権は、アジアリーグに参加の4チームに、中央大、明治大、関西大の3大学と、日本アイスホッケー連盟会長杯優勝の釧路厚生社IHCの計8チームが出場し、トーナメント方式で優勝を争う。いわばサッカー天皇杯のアイスホッケー版のようなものだ。

 ダイドードリンコアイスアリーナはアイスホッケーの”聖地”と呼ぶにふさわしく、リンクと観客席の距離が抜群に近いのが特長で、どこからでもパックや選手の動きが確認できる。

 2018年2月には平昌(ピョンチャン)五輪が開催される。アイスホッケーは正式競技であり、女子の日本代表にはメダルの期待もかかる。迫力あり、スリルありのアイスホッケーを、全日本選手権をきっかけにぜひ生観戦してほしい。

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