日本のビール大手・アサヒグビールがこのほど保有する青島ビールの全株式の売却を検討し始めたとのニュースが、ビール業界に日系ビールの中国での現状を改めて考えさせることになった。資料写真。

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日本のビール大手・アサヒグビールがこのほど保有する青島ビールの全株式の売却を検討し始めたとのニュースが、ビール業界に日系ビールの中国での現状を改めて考えさせることになった。北京で小売の現場をのぞくと、日系ビールを置いているスーパーは少なく、消費者の購入率もずっと低いままで、外食で飲めるのは日本料理店くらいだ。業界の専門家は、「ビールの特徴や口当たりということでいえば、日系ビールは中国産ビールとそれほどはっきりした違いがあるわけではなく、競争における優位性が弱い。また、日系ビールは中国で発展を模索する中で合併買収(M&A)の窓口期を見過ごしてしまい、欧米ブランドや中国ブランドにより徐々に隅に追いやられていった」と指摘する。

▽中国業務を縮小

消費量世界一とされる中国ビール市場で、日系ビールは思うような発展を遂げられずにいる。北京で小売現場をのぞくと、日系ビールを置いているスーパーは少数で、カルフール方荘店にはアサヒビールしかなかった。外食ルートでは、主に日本料理店に卸されている。

日系ビールのスーパーや外食での状況と対応するのは、日系ビールメーカーの中国業務の持続的な縮小だ。たとえばアサヒビールは保有する青島ビールの全株式を売却しようとしている。同じく日系ビールメーカーのキリンビールも中国市場で思うような発展を遂げていない。データをみると、世界のビール市場では、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)とSABミラーが合併してシェアが30%を超えたのに対し、アサヒのシェアは2%、キリンは1%だ。これについてビールの専門家・方剛(ファン・ガン)氏は、「日系ビールはもともと世界規模での競争力が高くはなく、中国市場ではさらに競争できる可能性が低く、基本的に中国市場から撤退したと言っていい」と指摘する。

▽価格に優位性なし

調査でわかったのは、日系ビールの販売不振は価格の高さと直接関係があるということだ。カルフールの店員によると、「輸入ビールでは、ドイツとベルギーの製品の売り上げが好調で、価格は5〜10元(約85〜170円)に集中する。一方、アサヒのスーバードライ・ドライブラックは1瓶が14.8元(約252円)で、購入率は低い」という。また、日本料理店でアサヒやキリンを飲むと1瓶で30元(約510円)くらいする。和食バイキング・東田之村では、198元(約3300円)コースでは青島ビールと雪花ビールしか飲めず、298元(約5000円)のコースを頼まなければアサヒとキリンは出てこない。

こうした状況について、中国食品産業評論員の朱丹蓬(ジュウ・ダンフォン)さんは、「日系ビールの標準価格は他の輸入ビールよりも高く、消費者側からみると、価格が無駄に高いという印象があり、これが消費者の選択に一定の影響を与えている」と述べた。

実際、日系ビールはいずれも中国市場を喉から手が出るほどほしがっているが、真の急成長は達成できていない。一方、ABインベブとカールスバーグは都市や地域を攻略するやり方で中国市場の陣地を迅速に固めていった。公開された資料によると、インベブは中国市場の東部での発展に集中し、ABは東北での業務に集中した。2008年に両社が合併すると、中国ビール企業上位5位に入った。その後、ABインベブは中国市場でM&Aを続け、カールスバーグも拉薩(ラサ)ビール、新疆ビール、蘭州黄河、寧夏ビールなどへの相次ぐ投資により、最終的に重慶ビールの買収に成功し、中国西部のビール市場で版図を広げた。

ABインベブやカールスバーグのような直接のM&Aに比べ、日系ビールメーカーの中国での発展は投資方面に集中する傾向がある。たとえばアサヒグループがこのほど述べたところでは、青島ビールへの投資は完全に財務的な観点から行われたものだという。業界でも日系メーカーは財務投資を偏重しすぎるきらいがあり、双方の間にブランドやルートをめぐる協力はなく、管理権の提携もなく、投資に力を借りて新市場開拓へ乗り出すのは難しいとみられている。