写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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「韓日戦は、何があっても勝ちます」
 
 昨年までサガン鳥栖でプレーしていた韓国代表DFキム・ミヌは、12日の北朝鮮戦に勝利した後、ミックスゾーンでこう語った。キム・ミヌが絶対に勝つと言った“韓日戦”とは、12月16日に味の素スタジアムで行なわれるE-1選手権の最終戦のことだ。
 
 出場4か国の総当たりで行なわれている同大会で、日本は2戦2勝を挙げて現在首位。対する韓国は、1勝1分で2位につけている。つまり、この日韓戦の結果によって優勝国が決まるわけだ。日本は引き分け以上で優勝。逆に韓国は、日本に勝利する以外に大会を制する方法はない。
 
 思えば韓国のシン・テヨン監督は、開幕前から同大会2連覇を目指すと宣言し、日本代表が招集メンバーを発表する2日前の11月27日から蔚山で代表合宿を張ってきた。本気で優勝を目指して準備を進めてきたのである。キム・ミヌが冒頭のように意気込むのも無理はないだろう。
 
 それだけに気になるのはチームの現状だが、韓国でもっとも有名なフリーのサッカージャーナリストであるソ・ホジョン記者に話を聞くと、こう切り出された。
 
「中国、北朝鮮との2試合の布陣を見ると、テストも兼ねていた印象がありましたが、韓日戦には、韓国がいま用意できるベストメンバーで臨むはずです。第2戦の北朝鮮戦で、初戦の中国戦から先発メンバーを6人代えていたのも、韓日戦に向けて主力を十分に休ませたいという意図が含まれていたと思います」
 
 実際、北朝鮮戦では、中国戦で先制ゴールを決めた197.5センチの巨漢FWキム・シンウクもスタメンから外れていたし、11月のAマッチ(対コロンビア2-1、対セルビア1-1)でソン・フンミンと2トップを組んで攻撃の主軸として活躍したイ・グノも温存されていた。ソ・ホジョン記者は、「中国戦で2点を取った攻撃力は評価できます。日本戦では、イ・グノが軸になって、さらに強力な攻撃を見せてくれると期待しています」と話す。
 
 ただ、韓国代表には課題も浮上しているという。
 
 例えば、セットプレーでの得点力だ。キッカーを務めるキム・ジンスは、北朝鮮戦をこう振り返った。
「様々なパターンを用意して、練習でも力を注いできましたが、北朝鮮戦ではセットプレーから一度もシュートを打てませんでした。中国戦でも、セットプレーからの得点はなかった。日本戦までにしっかり準備したいです」
 
 前出のキム・ミヌは、攻撃のリズムを強調する。
 
「(北朝鮮戦では)慌てずに攻撃を作っていこうと話し合いました。相手の守備が密集していたので、それを崩すためにどうすればいいか、同じ左サイドでプレーするキム・ジンスと相談しました」
 
 そのキム・ジンスも言っていた。
 
「左右のウィングが中央に切り込んで、両サイドの僕とコ・ヨハンがオーバーラップする。北朝鮮戦では、そういった攻撃を狙いました。その精度をもっと高めていかなければいけない」
 
 実際、北朝鮮戦では、サイドから切り崩す場面が目立っていたし、北朝鮮のオウンゴールも左サイドからのクロスで誘発したものだった。
 
 こうしたコンビネーションには注目したいが、ソ・ホジョン記者はシン・テヨン監督の采配に不安が残るとも語る。
 
「もともとシン・テヨン監督は、戦術を頻繁に変える人です。3つも4つも戦術を使い分けるんです。それはシン・テヨン監督の長所でも短所でもありますが、代表を率いたU-23アジア選手権やリオ五輪で、いざという時の采配が裏目に出てきたのも事実です。そして今大会も、中国戦では4-2-3-1、北朝鮮戦では3-4-3と、フォーメーションをがらりと変えている。韓日戦で新しい戦術を起用して、選手たちが混乱しなければいいですが……」
 
 はたして韓国は、ハリルジャパンを相手に、どのようなサッカーを見せるだろうか。

取材・文●李仁守(ピッチコミュニケーションズ)