医療ドラマはなぜシリーズ化が多いのか? 『コウノドリ』『ドクターX』『コード・ブルー』の共通点

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 今期ドラマの中でも、『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)『コウノドリ』(TBS系)といった医療ドラマが人気を呼んでいる。前クールの『コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)しかり、そのすべてにシリーズ化という共通点がある。シリーズ化は、視聴者の支持があってこそ実現するもの。一体なぜ、私たちは医療ドラマに惹かれてしまうのだろうか。

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 周知の通り、医療ドラマの人気は今に始まったことではない。古くは1967年に山崎豊子原作『白い巨塔』(テレビ朝日系)が高視聴率を記録し、何度もリメイクされた。そしてその後も、『救命病棟24時』『ナースのお仕事』『Dr.コトー診療所』『医龍-Team Medical Dragon-』(すべてフジテレビ系)『DOCTORS〜最強の名医〜』(テレビ朝日系)と、多くの医療モノがシリーズ化されてきた。

 一括りに“医療ドラマ”といっても、神の手を持つドクターが必ず命を救うタイプ、助からない命も描くなどリアルを追求したタイプ、院内の派閥争いといった心理戦を描くタイプに分けられ、なかには複合型もある。そんな裾野の広い医療ドラマだが、どのタイプであれ平均的に高視聴率というのも興味深い。

 その魅力はどこにあるのかと考えると、やはり物語のわかりやすさにあるだろう。医療スタッフ側のパーソナルな部分については全編を通して描かれるが、基本的には一話完結。一度見逃しても物語に戻りやすく、視聴者が離れにくい。さらに、毎回ゲストを投入することで目新しさがあり、飽きることがないというメリットもある。

 たとえば恋愛ドラマの内容は、よほど突飛な設定でない限り私たちの日常の延長にあるようなもの。正直、それほど何度も刺激的な出来事が起きるわけではないし、あまりに何度も大事が起きてしまえば「ありえない」と視聴者はそっぽを向いてしまうだろう。だが、医療現場は別だ。日々新たな患者が訪れ、それぞれ病状や心情が違うのが当然。それゆえテーマも無限大で、主役の立ち位置にそれほど変化がなくても無理なくシリーズ化ができるのだ。

 さらに各話ごとに“出会い、葛藤、治療、別れ”という起承転結がはっきりしているのも特徴。それらは刑事モノにもいえることだが、医療モノの舞台となる病院は、警察と比べて私たちにとってはるかに身近な存在。だからこそイメージが湧きやすく、より感情移入しやすいのかもしれない。

 『ドクターX』は、神の手×心理戦の複合タイプ。大門未知子(米倉涼子)が「私、失敗しないので」と手術で完璧な手腕を披露する一方で、院内では熾烈な権力闘争が渦巻く。それに対して『コウノドリ』は、完全なるリアル追求タイプ。主人公のサクラ(綾野剛)は良き産科医ではあるが、母親の死、子宮内胎児死亡、流産といった悲しみと向き合うシーンが何度も描かれてきた。物語の根底にあるのはチームの温かな支え合いで、その絆も見どころの一つとなっている。ちなみに『コード・ブルー』は、神の手×リアル追求の中間タイプと言えそう。救命医(脳外科医)として卓越した腕を持つ藍沢(山下智久)だが、すべての命を救えるわけではなく、時に苦悩や自責といった心模様も映し出されてきたからだ。

 既出の3作品は、同じ医療ドラマとはいえ、着眼点やテーマとしている部分がまったく異なる。それでも、主に一話完結、多数のゲスト、起承転結がわかりやすい……といった医療ドラマのひな形にはしっかりと当てはまっており、それらが高視聴率への強みとなっていることは間違いない。そして、確立されたひな形の中で、いかに登場人物を魅力的に描き、視聴者を物語に引込むことができるかが、シリーズ化のカギと言えそうだ。

 最終回を迎えた『ドクターX』は、未知子が余命3ヶ月という衝撃の展開を迎えるも、院内の仲間たちの手により見事生還。海外の病院に拠点を移し、活躍するひとコマで幕を閉じた。一方『コウノドリ』も、ペルソナメンバーの進む道が描かれるなどクライマックスへと突入。物語の行く末にも注目が集まるが、命の尊さを教えてくれる唯一無二の医療ドラマとして、早くも続編を希望する声が上がっている。なお劇場版『コード・ブルー』は、2018年7月27日に公開決定。監督、脚本ともにドラマ(3rdシーズン)からの続投が発表されている。

(nakamura omame)