世界各地域に専門員
 模倣品はより精巧になり、流通も世界規模に広がる。アジアで製造された模倣品が中東を経由し、アフリカに流れるなどというケースも、珍しくはない。そのため経済産業省・特許庁では米国、ドイツ、中国、韓国、インド、UAE、シンガポール、タイ、ブラジルといった世界の各地域に専門員を配置し、現地の知財に関する法制や政策を調査しつつ、日本企業をサポートしている。加えて海外で日本製品の真贋判定セミナーを開催したり、政府機関職員などを招へいして関係構築や産業界を含んだ意見交換などを実施。グローバルに広がる模倣品の対策に乗り出している。

 国内では国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)が組織され、91団体、164企業が参加している(2017年3月現在)。2002年からは官民協力して定期的に官民合同訪中団を組織して中国に派遣しており、ここで要請したことの一部が、中国での知財法改正や摘発活動として具現化しているという。

消費者の意識
 ただ模倣品や海賊品のはん濫を最終的に抑えることができるのは、消費者の意識にほかならない。特許庁では2003年から模倣品・海賊版の撲滅キャンペーンを実施。15回目となる今年は12月1日からスタートしており、体感型イベントなどを実施した。今回は10代後半の若者に狙いを定め、特設ウェブサイトの開設、体感型イベントの開催を行っている。特設ウェブサイトでは、「本物」を買うことが自分の幸せ、世の中の幸せにつながるという内容の動画配信や、模倣品を購入しないためにチェックすべきポイントについて解説する。動画中で、ラップ調で訴えるメッセージが当たり前になることが最大のニセモノ対策である。

※このキャンペーンについては、METIジャーナル60秒解説[https://meti-journal.jp/p/147{「平成29年度『模倣品・海賊版撲滅キャンペーン』を実施」}]をご覧下さい。

        <平成29年度キャンペーンイメージ>