サントリーの6種類の和素材を使ったジャパニーズクラフトジン「ROKU」

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 地域ごとに独自の味が楽しめるクラフト(職人技・手作り)ビールが流行する中、今度は蒸留酒ジンのクラフトが人気を集めそうだ。ジンはウイスキーと途中まで製造工程が同じなため、ウイスキーの産地スコットランドが日本へのクラフトジンの輸出に意欲を示す。国内でもサントリースピリッツやアサヒビールが独自性のあるジンの販売に力を注ぐ。今年はクラフトジン元年とも呼ばれ、市場が一気に広がりそうだ。

街おこし
 「スコッチウイスキーのように、クラフトジンでもスコットランドを有名にしたい」―。そう話すのはスコットランド国際開発庁(SDI)日本事務所のスティーブン・ベーカー代表。2018年の対日輸出の重点品目にクラフトジンを設定した。定番である22種類の香草が入った「ザ・ボタニスト」やバラとキュウリの香りが特徴の「ヘンドリックス」に加え、スコットランド最北端シェトランド諸島のジンなど地域色の濃い製品も売り込む方針だ。

 英国では過去2年でジンの販売額が、7億1900万ポンド(約1071億円)から8億6900万ポンド(約1300億円)へと21%増加。英国でつくられるジンの7割がスコットランド産と言われる。

 英国では過去2年だけでも56の蒸留所が新規で開業。地元でしか取れない植物を使ったジンを「特産品」としてアピールし、街おこしにつなげる自治体が相次ぐ。日本でもクラフトビールで似た動きがあり、「次はジン」(ベーカー代表)と予想。SDI日本事務所は、専門家によるクラフトジンの講習会や飲食店でのPRイベントを実施し、ブームに火をつけたい考え。

高価格帯9%増
 一方、日本勢でもサントリースピリッツがジャパニーズ・クラフトジンと称し、煎茶や桜花など6種類の和素材を使った製品「ROKU」を売り込む。7月4日に発売後、1カ月弱で17年の販売計画1000ケース(1ケースは700ミリリットルの12本換算)を突破。同社は販売計画を4倍の4000ケースに引き上げたが、「さらに1割増で着地しそうだ」(広報担当者)という。

 アサヒビール傘下のニッカウヰスキーも、かんきつ類とサンショウのスパイスが特徴の「ニッカカフェジン」の販売を強化。年間の販売目標を当初の1000ケースから倍増した。 同社によると、17年の輸入を含む日本のジン・ウオッカ市場は前年比1%増だが、クラフトジンなど販売価格が3000円以上の高級なジン・ウオッカ市場だけを見ると、伸び率は9%増と2ケタ近い成長を遂げているという。各社とも一段と売り込みに熱が入りそうだ。
(文=大城麻木乃)