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Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)で先送りになっていた「TimeLine」だが、次のWindows 10 Insider Previewで実装すると、Microsoftは2017年11月28日(現地時間)の公式ブログで発表した。

さらにインサイダーに対しては、Microsoft EVP Windows and Devices Group, Terry Myerson氏の名前でメールを配信している。TimeLineがWindows 10の利用スタイルを大きく覆し、新たなUX(ユーザー体験)を提示するという同社の注力具合がうかがえる好例だ。

ただ、本校執筆時点ではビルド16046に変わるWindows 10 Insider Previewが配信されなかったため、まずは概要を紹介したい。TimeLineは、複数のプラットフォームやデバイスを利用する現状を踏まえて、Windows 10上の作業状態やアプリケーションのファイルに素早くアクセスする機能だ。Microsoftは「ファイルやアプリケーション、Webサイトに時間を感じさせず容易に戻ることができる」と説明している。

だが、今回注目すべきはTimeLineではない。複数のアプリケーションを単一のウィンドウに結合し、タブWebブラウザーと同じくタブで切り替える「Sets(仮称)」だ。

Microsoftは「仕事の再開をスムーズにする」ことで作業効率を高めることを目的として、本機能をInsider Programを通じて検証を重ねるとしている。

言葉で説明するよりも、YouTubeの動画を目にするのが1番早いので、いくつかのポイントを抜粋して紹介しよう。

このように1つのウィンドウに複数のアプリケーションを、MDI(Multiple Document Interface)のようにまとめ上げるのがSets最大の特徴だ(子ウィンドウを並べる訳ではない)。

動画を視聴する限り、WordやPowerPointといったOfficeアプリケーション、Microsoft EdgeをベースとしたWebブラウザーをタブで切り替えている。今回の動画は学生がOneNoteやWeb情報を基に書類とプレゼンテーション資料作成するというシナリオだが、ユーザーが成すべき作業に集中できるという観点で見れば面白い取り組みだ。

他方で気になるのがタスクバーの存在である。文字通りアプリケーション(タスク)を切り替えるため、Windows 95からいまに至るまで実装してきた機能だが、作業に集中するのであればユーザーは1つのウィンドウに集中した方が作業効率も高まるだろう。

ただ、すべてのアプリケーションがSetsに対応できるのか不明確な部分も残るため、タスクバーがなくなることは考えにくい。Microsoftはユーザーの応答や使用頻度などを検証した上で判断するだろうが、Windowsが重視する互換性を鑑みると、しばらくの間はタスクバーも健在だろう。

Setsに関して興味深いのが作業内容(タブの状態)をクラウド上で記憶し、Azure AD(Active Directory)アカウントを使って別PCにサインインすると復元できるという。

動画ではOffice 365 Educationのアカウントと説明しているが、Office 365で使用する"職場または学校アカウント"の実体はAzure ADアカウントである。そのため、Office 365 Soloで同じUXを得られるのか現時点では不明だが、Microsoftは「今後は本機能を継続して微調整しつつ、機能の追加などを行っていく」と述べている。

さらにMicrosoftの説明によれば、Windows 10のタスク切り替えとSetsに対する使用状況と満足度を調査するABテストを実施するため、すべてのインサイダーに対してSetsを提供するわけではないという。

TimelineもSetsもデバイスをまたいで同一の作業環境をユーザーに提示するというUXの向上を目指した機能だが、Windows Insider Programを通じて生産性の向上につながるのか検証する取り組みは実に面白い。"中の人"の判断でUIを変更し、不評を買ったWindows 8.xの轍(てつ)を踏まず、Windows 10は順当に成長していくのだろう。

阿久津良和(Cactus)