北朝鮮が朝鮮労働党機関紙「労働新聞」で公開した「火星15」発射場面=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】聯合ニュースは2017年の韓国10大ニュースとして、大統領だった朴槿恵(パク・クネ)氏の罷免、文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生などを選んだ。10大ニュースは次の通り。

◇朴槿恵大統領の罷免 関係者に相次ぐ有罪判決

 憲法裁判所は3月10日、当時の朴槿恵大統領が「陰の実力者」と呼ばれた親友の崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入を許し、崔氏の利益のため大統領の地位と権限を乱用したなどとして、朴氏の罷免を認める決定を下した。憲法裁の弾劾審理によって現職の大統領が罷免されたのは憲政史上初めてだった。この決定により朴氏は任期を全うできずすぐに失職し、大統領選挙が前倒しで実施されることになった。

 朴氏は罷免決定からほどなくして、弾劾とは別に2016年下半期から国政介入事件を捜査してきた検察によりサムスングループからの収賄や職権乱用などの容疑で逮捕された。4月17日に起訴され、5月23日に初公判が行われた。

 関係者の裁判では有罪判決が相次いでいる。崔順実被告は娘の名門大学への不正入学や不正な単位取得に関わったとして業務妨害罪に問われ、一審、二審で懲役3年の判決を言い渡された。

 朴槿恵政権で、政権に批判的な文化・芸術界関係者や団体をリストアップした「ブラックリスト」の作成を指示・主導した罪に問われた元大統領秘書室長の金淇春(キム・ギチュン)被告は一審で懲役3年を言い渡され、控訴した。

 朴被告と崔被告側に433億ウォン(約45億円)相当の賄賂を提供したり、提供を約束したりしたとして贈賄罪などに問われたサムスングループ経営トップのサムスン電子副会長、李在鎔(イ・ジェヨン)被告は一審で懲役5年を言い渡され、控訴した。

 これら被告と共犯関係にあるか、または収賄側と見なされた朴被告は10月、自身の勾留延長を認める裁判所の決定に反発し、公判を「ボイコット」した。弁護団も勾留延長に抗議するとして全員辞任した。裁判所は国選弁護人5人を指定し、被告不在のまま公判を進めている。

◇文在寅政権の誕生

 16年12月9日に朴槿恵氏に対する弾劾訴追案が国会で可決されると大統領選の早期実施が現実味を帯び、憲法裁が今年3月10日に朴氏の罷免を認めると政界は一気に選挙モードに突入した。憲法では大統領が罷免された場合は60日以内に選挙を行うことになっており、大統領選の投開票日は5月9日に決まった。

 進歩(革新)陣営の選挙戦は、国会で最大の議席を握る共に民主党内での競争主体で展開した。文在寅前党代表、安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事らが党内予備選を闘った末、文氏が同党の大統領選候補に選出された。

 一方、朴槿恵氏の弾劾に大きなショックを受けた保守層の票はさまよった。選挙レースの序盤、保守の支持は潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長に向かったが、潘氏が大統領選不出馬を表明すると革新系ながら穏健派とされた安熙正氏に移った。共に民主党の候補に文氏が決まると、中道系・国民の党の安哲秀(アン・チョルス)前代表に保守の支持が一時傾いた。

 最終的に、大統領選は共に民主党の文在寅氏、保守系・自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、国民の党の安哲秀氏、保守系・正しい政党の劉承ミン(ユ・スンミン)氏、革新系の少数党・正義党の沈相ジョン(シム・サンジョン)氏の5候補が闘う構図となり、文氏が41.08%の得票率で第19代大統領に当選した。

 文大統領は朴槿恵氏の退陣・弾劾を訴えた市民らによる「ろうそく集会」が自らを大統領に押し上げたとする。9月に米ニューヨークで行った演説で、自身を「ろうそく革命で誕生した大統領」と紹介した。

◇北朝鮮の6回目核実験と相次ぐ弾道ミサイル発射

 北朝鮮は今年、15回にわたり20発の弾道ミサイルを発射し、9月には6回目の核実験を行い、朝鮮半島情勢が緊迫した。

 北朝鮮は9月3日に北東部・豊渓里の核実験場で過去最大規模の核実験を強行。金正恩(キム・ジョンウン)体制で4回目、16年9月の5回目核実験から約1年ぶりとなる6回目の核実験を受けて国際社会は北朝鮮への圧力と制裁を強め、朝鮮半島情勢は一段と行き詰まった。

 北朝鮮は11月29日には新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星15」を発射し、「国家核武力(戦力)の完成」を宣言した。北朝鮮の相次ぐ挑発に、国連安全保障理事会は今年だけで2件の北朝鮮制裁決議を採択した。

 米国は北朝鮮核問題の外交的解決を前面に出しながらも、米本土に到達する北朝鮮核ミサイルの完成が現実味を帯びる中、北朝鮮への軍事的選択肢にも言及している。

◇南東部でM5.4の地震 大学入試1週間延期

 11月15日午後2時半ごろ、南東部の慶尚北道浦項市でマグニチュード(M)5.4の地震が発生した。16年9月12日に慶尚北道慶州市で起きたM5.8に次いで韓国で観測史上2番目の規模の地震だった。

 浦項の地震では全国で揺れが感知され、人々の間で韓国がもはや地震のない国ではないという警戒心が高まった。施設物の被害額は551億ウォンで、慶州地震(110億ウォン)の5倍以上に達した。12月9日までに計70回の余震が発生した。

 政府は地震を受け、翌日の16日に予定していた大学修学能力試験(日本のセンター試験に相当)を1週間延期し、23日に実施した。浦項地域の試験会場のうち一部で壁にひびが入ったり窓が割れたりする被害があり、震源に近い地域で生徒や保護者の余震への懸念が大きかったことを勘案した。自然災害で同試験が延期されたのは初めて。23日の試験は大きな余震も起きず、無事に終了した。

◇保守政権の「積弊」巡る捜査拡大

 文在寅政権が、保守政権時代の積み重なった弊害を正すとする「積弊清算」を国政課題に掲げたことから、検察は7月以降、過去の政権を見据え息つく暇もなく捜査を行ってきた。

 検察は情報機関の国家情報院(国情院)の内部資料を基に、李明博(イ・ミョンバク)政権時に国情院が民間人を動員して世論操作を行っていたことを突き止めた。また、軍のサイバー司令部が12年の大統領選を前に世論工作を行った疑いがあるとみて、当時の国防部長官の金寛鎮(キム・グァンジン)氏ら軍首脳と李明博元大統領の関与を調べた。検察は、朴槿恵政権の国情院も革新系の政治家や民間人に査察などを行っていたことをつかんだ。

 また、検察は国情院が大企業に圧力をかけて保守団体を支援させた疑惑を捜査する中で、いずれも国情院の院長だった南在俊(ナム・ジェジュン)氏、李丙ギ(イ・ビョンギ)氏=元駐日大使=、李炳浩(イ・ビョンホ)氏の3氏が朴槿恵氏側に特殊活動費40億ウォン余りを上納していた事実も把握した。南在俊氏、李丙ギ氏は逮捕され贈賄などの罪で起訴された。

 このほか、全国の検察庁では公共機関のリゾート型カジノ・江原ランドの採用不正、歴史教科書国定化を巡る世論操作疑惑など、保守政権と関連したさまざまな「積弊」疑惑に関する捜査が行われた。この状況に、野党からは反発も起きた。

◇THAADの在韓米軍配備と中国の「報復」 韓中関係悪化

 米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備問題を巡り、韓中両国の関係は今年も冷え込んだ。

 3月にTHAADの発射台2基が在韓米軍の烏山空軍基地(京畿道)に到着し、4月末にTHAAD配備地の南部・星州の在韓米軍基地に発射台、射撃統制レーダーなどが搬入されたことで韓中のあつれきは最高潮に達した。

 韓流芸能人の出演禁止など文化分野から始まった中国の報復は、今年に入りTHAAD配備用地を提供したロッテの中国内店舗の営業停止、韓国への団体旅行商品の販売中止措置などに拡大した。

 韓中関係は5月の文在寅政権の発足で転機を迎えるかに見えた。しかし北朝鮮が6回目の核実験を実施した直後の9月7日に残りの発射台4基と装備が星州に臨時配備されたことにより、両国の関係悪化は続いた。

 両国は10月に行われた中国共産党の第19回党大会に合わせて水面下で交渉に乗り出し、10月31日にあらゆる分野の交流協力を正常な発展軌道へと速やかに戻すよう合意したと発表した。

 しかし中国は韓国政府の▼THAADの追加配備をしない▼米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない▼韓米日の安保協力は軍事同盟に発展しない――という「3不」原則を事実上の「約束」とみなして履行を求めるなど、火種はまだ残っている。

◇来年の最低賃金増加幅16%超 17年ぶり高水準

 労使と政府推薦者でつくる最低賃金委員会は7月15日、2018年の最低賃金を時給7530ウォン(約780円)で確定した。17年の最低賃金6470ウォンから16.4%の増加で、00年9月〜01年8月(16.6%引き上げ)以来の引き上げ幅となった。これは20年までに最低賃金1万ウォンを達成するという、文政権の大統領選の公約履行への意志が反映された結果だ。

 今回の引き上げ決定で最低賃金が適用される単身世帯の労働者は、月給ベース(209時間)で今年より22万1540ウォン多い157万3770ウォンを受け取ることになる。

 一方で中小、零細企業などの人件費負担が大きく増加するため、被害を懸念する声も少なくない。

 また、最低賃金の引き上げとともに通常賃金に対する議論も過熱している。

 ソウル中央地裁は8月31日に起亜自動車の労組員が会社を相手に起こした賃金請求訴訟で、労組側が主張した定期賞与金や昼食費などは残業代などの算定のベースとなる通常賃金に当たるとの訴えを認めた。

 しかし財界はコスト増加による経営上の困難を理由に、通常賃金の算定基準を変えるべきだと主張している。

◇新古里原発5・6号機 市民の討論で建設再開決定

 文大統領は大統領選挙の際に新古里原発5・6号機(蔚山市)の建設中止を公約に掲げたが、政府が既に1兆6000億ウォンを投じた同機の建設進捗率は29.5%(施工11.3%)に達していたこともあり、討論型の世論調査を行う方法が選択された。

 国民の意見を取りまとめながら建設の是非を議論する「公論化委員会」は、1次調査となる電話調査で2万6人の国民から回答を得て、その中から500人を抽出。2次〜4次調査での討論を経て、最終的に建設再開を求める意見が59.5%、建設中断が40.5%と19ポイント差で建設再開という結論が出た。

 議論では同時に原子力発電を縮小する方向で政策決定を求める結果を導き出し、「熟議型民主主義」の実験は成功だったとの評価を受けた。

◇3年ぶりに引き揚げられたセウォル号 来年3月から捜索再開

 2014年4月に韓国南西部の珍島沖で沈没した旅客船セウォル号は、3年後の今年4月11日に木浦新港の埠頭(ふとう)へ陸揚げされた。

 船尾のランプを切断し、船体に穴を開けて重量を減らすなどの困難な過程を経て引き揚げが完了した。

 陸揚げの後、捜索当局は9人の行方不明者を探すために客室区域と貨物室、沈没海域で捜索を続けてきた。

 捜索が行われた7カ月間に4人の遺体が発見され葬儀が行われたが、まだ5人の遺体が見つかっておらず、家族らは11月18日に遺体のないまま葬儀を行った。

 捜索過程ではセウォル号を木浦新港に移動させる半潜水式船舶の甲板の上で動物の骨片が発見され、混乱を招いた。また船内から先月17日に見つかり、家族が木浦新港を去った後の同22日に存在が明らかになった骨について、さらなる捜索を求める世論が高まらないよう海洋水産部が骨が見つかった事実を隠蔽(いんぺい)した疑惑が浮上し、波紋を呼んだ。

 船体の捜索は12月で一時中断され、準備作業を経て来年3月に傾いた船体を起こした後、機関室区域を新たに捜索する計画だ。

 セウォル号船体調査委員会は事故原因の調査を終え、船体保存と活用策を盛り込んだ最終報告書を来年5月に政府に提出する。

◇政府が不動産対策発表 投機的取引を抑制へ

 新政権は8月に投機過熱地区を6年ぶりに復活させるなど、住宅市場安定化のための強力な政策を発表した。

 ソウル全域と京畿道果川、世宗市を投機過熱地区に指定したほか、ローン資産価値比率(LTV)と総返済負担率(DTI)を40%に引き下げるなど融資を厳格化し、再建築が決まった建物の組合員の地位譲渡を禁止するなど再建築規制も新設された。

 ソウルの江南4区をはじめ、竜山、麻浦など11の区と世宗市は新たにローン規制などが適用される投機地域に再指定された。

 一方で、政府の強力な規制にもかかわらず過去の政権で数年間続いてきた不動産ローン規制の緩和と低金利の長期化の影響により家計債務(個人負債)が急激に増加し、1400兆ウォンを超えた。

 韓国銀行(中央銀行)の利上げにより今後ローン金利が上昇するとみられ、ローン返済の金利負担が大きくなって金融界の不良債権が膨らむことが懸念されている。